爪染めて 何処へ散ったか 鳳仙花

Where did the girl who painted the nail red with Housenka go?  I hope her to live healthily wherever she went.

花言葉「私に触れないで」にあるように、実が熟すと皮と実の細胞の膨圧の差が蓄積され、何かちょっとした刺激を受けるとパッと弾け、種を遠くへ飛ばすこの特性が昔から人の目を引いてきました。

赤い花は、昔から女の子が爪を染めるのに使っていたため、ツマクレナイとかツマベニとも呼ばれ、年頃になった少女が爪を赤く染めるようになり、やがて恋心を抱くようになり、そして弾け散るという女性の変化を見る思いで鳳仙花を見てきたのでしょう。

加藤登紀子が歌った「ほうせんか」は韓国民謡からアレンジしたものですが、韓国では、秋にこの鳳仙花で赤く染めた爪が初雪まで色が残っていれば恋が実るという、とてもロマンティックな伝承があります。

さだまさし、島倉千代子、中島みゆき、ボカロの黒澤まどかなども「鳳仙花」を歌っています。どれも悲しい歌ですが、女性の定めがそうなのか、そのほうが人から共感を呼ぶのか、いずれにしろ秋と言う季節には合った花であり、歌であり、エピソードです。

レッドパールも 良くお似合いの 黒真珠

Leaves are black, flowers are purple, fruits are black or red. Black pearl is an elegant plant like a lady.

黒真珠は、あの高価な真珠の黒真珠じゃなくて、れっきとした植物の名前です。

黒真珠には二系統あって、ペチュニア黒真珠と唐辛子黒真珠です。

ペチュニア黒真珠のほうがポピュラーですが、ここに掲げたのは唐辛子黒真珠です。

葉が黒くて、花は紫色、実は黒真珠の様に光沢のある黒色そして赤。まさしく黒真珠の名にふさわしい気品のある植物です。

花言葉は「悪夢から覚める」で、食べるとまさしく唐辛子、ピリッとし、それと、コウモリを連想させる神秘的な姿がその由来でしょう。

葉も最初は緑色をしていますが、太陽光を受けるごとに黒くなります。これも紫外線から身を護るための防護策で、人間の黒人も同じです。

実はまさしく黒真珠のようで光沢のある黒色をしていますが、日を経るに従って赤く変色していきます。鳥たちに目立つように赤くなって実を食べてもらい、種を拡散する工夫です。

前回の「酔芙蓉」といい、この黒真珠といい、種を保存していくために様々な進化を遂げているんですね。

祭り酒 酔って頰染める 酔芙蓉

Suifuyo, drunkard cotton rosemallow, is white in the morning when it begins to bloom, in the evening it gets pink like a drunkard. That is the origin of the name.

酔芙蓉の花期は8月下旬から9月。花の色が一日で白から桃色、紅色に変化します。咲き始めの朝は白、お昼は桃色、夕方にはお酒に酔った様に紅をさすことから「酔芙蓉」と呼ばれるようになりました。

一日のうちに、朝、昼、晩と色を変える花は珍しいですが、ランタナのように、夏の初め、夏の盛り、夏の終わりに合わせて、黃、橙、赤(紫)と色を変えるもの。

バンマツリのように、数日、数週間をかけて紫から白に色を変えたり、スイカズラ(金銀草)も同じように白から黃に色を変えるものもあります。

バラなどは温度を変えれば色を変えるものもあります。

紫陽花は土の酸性、アルカリ性によって花の色を変えることはよく知られていますね。

アサガオも酔芙蓉と同じように一日のうちに色を変えることがあるそうです。

すべてこれらは何も人を喜ばせるために色を変えているのではなく、太陽からくる紫外線から実を守るためとか、昆虫を引き寄せ受粉しやすくするためとか、生き、そして種を存続させるために努力しているわけですね。

今日は和歌山県の紀の川市にある植物センターで見かけた「酔芙蓉」に因んでのお話でした。

立ち姿 城にも負けぬ 大工方

A guy who commands while dancing or bouncing with a fan in his hand on the roof of Danjiri, the festival ground car, is called a carpenter. It is very dangerous and he sometimes falls off the roof and may cause serious injury. Still there are many men who volunteer for carpenters every year.

16日(日曜日)は予報では雨でしたが、すっかり晴れ渡り、澄み切った青空が広がっていました。

岸和田だんじりの「本宮」の日です。台風21号の影響もあって、観覧席も資材不足で設けられなかったそうですが、晴れて良かったです。

岸和田だんじりは300年前から引き継がれている伝統行事で、今では約40万人の人が訪れるそうです。

岸和田っ子にとっては「だんじり無くして何が人生」という一大行事で、もう梅雨明け時分から街全体が浮足立っています。

教え子にも相撲で大阪のナンバーワンと言う子がいましたが、高校進学の際、全国の有力高校から特待生のお誘いが掛かっているいるのに断って、地元の高校に進学した子がいました。地方に行ったらだんじりができなくなるというのが理由です。

地域社会が希薄化する中で、こうした伝統行事を守る事によって人の連帯感が育まれることは大切なことです。全国各地にもこうした例はいっぱいあって、これが日本の社会基盤になっているように思います。

だんじりの上に立って団扇片手に飛んだり跳ねたりしながらだんじりの指揮をとる人を「大工方(だいくがた)」といいますが、皆の憧れの的です。

もともと荒々しい祭りなので、だんじりの応急修理を受け持つことから欠かせない人材で、それが「大工方」の起こりだそうです。

「角回し」といって、だんじりを街の角で全速力で駆け抜けることが醍醐味で、そのときにこの「大工方」が屋根から転げ落ち、場合によったら死ぬこともあるそうですから、まさに命がけ。

五穀豊穣を祝っての秋祭りは、こうして人の情念を掻き立てる祭りでもあります。

あと七日 満を持しての 彼岸花

The buds of Higanbana, cluster amaryllis, have inflated. It is the Autumnal Equinox Day after seven days. By that time they will open the flowers all at once.

来週の日曜日、9月23日はお彼岸の中日です。

彼岸花は蕾を膨らませ、その日を今か今かと待ちわびている風です。そしてお彼岸には確実に花を開きます。まるでカレンダーに合わせるかのような正確さです。

春の桜のように絢爛さはありませんが、野山のいたるところ、今では街中のちょっとした空き地にも、真っ赤な花を咲かせます。

一つ一つの花は、桜のひとひらの花に比べるとはるかに絢爛です。花街の花魁を思わせる妖艶な姿です。

北原白秋は「曼珠沙華」で今は亡き赤子を偲ぶ女性を詠いました。華やかそうに見えるけれども、その裏にある悲しさを感じさせる詩です。

以前にこんな投稿もしましたから見て下さい。

曼珠沙華  ・彼岸花

複雑な 思いで秋刀魚に 舌鼓

We had a good catch of sanma, saury, this year. And it is delicious. But seeing it, I remember the earthquake in Hokkaido.

今年は例年になく秋刀魚が豊漁だそうです。

平成20年(2008年)には30万トンを超えていた漁獲量が年々減り続け、昨年は10万トンを切ったそうで、今年は7月時点では更にそれを下回ると予想されていました。

ところが意外や意外、8月下旬の水揚げが昨年を大きく上回り、昨年の20万トンも超えるかもしれないと思える状況だったそうです。

スーパーではこの時期、冷凍物で一尾100円前後、新物で180円前後で売られていたものが、今年は新物でも100円を切るかもしれないと予想されていました。

しかし、北海道のあの大地震。一時は北海道全道が停電になり、一般家庭はもちろん、北海道に進出している企業が大打撃を蒙りました。

秋刀魚もいくら水揚げがあっても冷凍設備が言うことを聞かなければ一時保存もできないし、輸送手段もままならない状況では、せっかく取ってきた秋刀魚も陸揚げできないで捨てるしかない。豊漁がかえって仇になる状況が続いています。

今日は、秋刀魚の新物を出す店で食事を取りましたが、やはり美味しい。いつもの年よりも何倍も美味しい気がします。

不思議ですね。たくさん取れる年の秋刀魚はなぜ美味しいんでしょう。

しかし、秋刀魚の目を見た途端に北海道のことを思い出し、涙が出てきそうになりました。いけない。味わい深くいただこうと・・・。

逝く夏を 目にしっかりと 八重ムクゲ

A double-flowered Mukuge is in full bloom as if missing the end of the summer. Although it was a summer with many disasters, I feel nostalgia.

台風21号が去ってからも愚図ついたお天気が続いています。朝晩はすっかり涼しくなり、もうすっかり秋の気配です。

岸和田のだんじりも今日が宵宮、明日、明後日が本宮です。と言っても、実は岸和田のだんじりは、「9月祭礼」と「10月祭礼」に分かれています。「9月祭礼」は海側、「10月祭礼」は山手で、マスコミなどで取り上げられるのは「9月祭礼」の方。

日本の三大喧嘩祭りの筆頭に掲げられるほど荒々しいお祭りです。「です。」と言いましたが、正確には「でした。」で、昔は必ず死人が何人も出たほどで、喧嘩祭りのNo1に祭り上げられたのですが、今は怪我人を出してもいけないと細心の注意が払われています。それでも街角の要所要所や電柱には防御用の紅白幔幕が貼られ、いっそうお祭り気分を盛り上げています。

街中いたるところに櫓提灯が立ち、夜には灯も灯りました。だんじりを収納しておくだんじり倉庫の扉は開けられ、朝早くから練習の笛や太鼓の音が聞こえてきます。

今のご時世、普段は、街の商店街も大型スーパーもすっかり人影が絶え、勢いが感じられません。老人だけがやたら目に付きます。しかし、この「だんじり」の日だけは違います。街中が弾けそうなほど人で溢れ、駆けずり回り、歓声が鳴り響きます。起死回生といいますか、起死再生といいますか、一気に街が蘇ります。

遠くから祭り囃子の音が聞こえる中、近くの里山で今年最後のムクゲが目に止まりました。

祇王寺の どなたの化身か 秋海棠

The flowers of Shukaido are in blossom in the precinct of Gioji temple where the rain falls. The flowers that shake their heads each time they get hit by raindrops make me think of the incarnation of Gio nun.

♪♪♪ 嵯峨野さやさや♪♪♪

京都嵯峨野は関西屈指の観光スポットです。四季を問わず京都を訪れる観光客は今では毎年5000万人を超えています。そのうち外国人観光客は10%の500万人くらい。狭い地域に日本のあらゆる文化が閉じ込められていて、まるで盆栽を見るよう。訪れる外国人客は一様に感嘆します。

誰もが知っている源氏物語、平家物語の世界が今にまで残っていて、ここに掲げた祇王寺にまつわるお話は平家物語中でも圧巻の場面です。

時の権力者清盛の寵愛を受けた仏、妓王、妓女、そして妓王姉妹の母、刀自が世の儚さを悟り、西方浄土に救いを求めた地がこの嵯峨野です。

今はこうして一大観光地に変わりましたが、平安時代の嵯峨野は京都の西のはて。原生林に囲まれたこの地には、きらびやかな世界に疲れた人たちや、世を厭う人たちが多く集まってきました。日本人の心の原点でもあるような地です。

春、夏、秋、冬、いつ訪れても季節季節の風情を満喫できますが、やはり秋と春が一番。

秋海棠は江戸時代に持ち込まれた花ですが、苔むす祇王寺の片隅に今ではすっかり溶け込み、訪れる人達の心を癒やします。

原色で この夏描く 秋野菜

What a vivid color the harvested autumn vegetables have! If you add autumn sky blue, it is correctly three primary colors.

懸念していた台風22号も日本のはるか南、台湾の南部をかすめて中国大陸に向かうようだ。現在中心気圧が905hpaというから、今年最大の台風である。もし日本に上陸したら、21号でこれだけの災害になったんだから、壊滅的被害を及ぼしたかもしれない。やれやれだ。

色の三原色は二種類あって、「光の三原色」と「色の三原色」だが、収穫したピーマンは「光の三原色」の赤と緑。これに秋の澄み切った青を加えれば「光の三原色」になる。三色加えれば真っ白。我々の住む世界はまさしく「光の三原色」の世界なのである。不思議な世界だ。3色を加えれば、どう考えても「色の三原色」のように黒もしくは濁った色になると思うのに、白になるんだから。

だから、真っ白の花は、太陽の光を取り込んで真っ白なんだ、とへんちょこりんな学説を語りたくなる。

前にこんな記事も投稿した。http://ces-inter.com/santa330/花の色は-2/

鮎が跳ね 釣り人ひとり 刷毛(はけ)の空

An angler is fishing an ayu, a sweetfisf, in the clear stream. The air also is clear and brush clouds are drifting in the sky and it is a sign of autumn all the way.

今朝方は寒くて目が覚めた。横着者だから夏布団のまま寝ていて、しかも窓という窓は開けたままだから、当たり前といえば当たり前だ。寝ぼけ眼をこすりながら間(合)の布団と毛布を取り出して横になるとすとんと眠りにつけた。

まだなんとも言えないが、こんな秋の迎え方は珍しい。いつもはこの時期まだまだ暑く、年によったら10月まで暑さが続いたように思う。今日の写真のような刷毛雲もだいたい10月ころに見かける雲で、そういう意味でも今年の秋の訪れは早いようだ。川下の先にまだ夏雲の名残が写っているが、海はまだ夏を留めているのだろう。

鮎も、一番美味しいと言われるのは夏の初めの鮎で、長良川の鵜飼に代表されるようにこの頃の若鮎は香りもよく「香魚」と呼ばれる所以でもある。

しかし、今のこの時期の鮎は「さびあゆ」と言って、橙色と黒が混ざったような色をいていて、香りも見かけも若鮎に負けるが、脂が乗っていてとても美味しい。

また、この時期の鮎を「おちあゆ」ともいう。産卵のため川を下り、そこで産卵受精して、一年という短い一生を終えることから付いた名だ。しかし、中には川で越年する鮎もいるそうで、それも全部雌だそうだから、

鮎も雌は強い。