寒風を 受けて灯台 ひいと泣き

The coldest sea breeze of winter hits the lighthouse standing at the cape and makes a sound with howls. It seems to be crying with trembling in the cold.

正月明けからこちら、連日いい天気が続いています。雪国は大変らしいですが、寒いことは寒いですが耐えられないほどでもなく、時には3月上旬の気温だったり、冬の花水仙が満開かと思えば、菜の花の便りあり、桜の便りあり、冬なのか春なのかこんがらがえっちゃいます。

ふらっと立ち寄った岬の灯台はちぎれちぎれの綿雲が浮かぶ青空を背景に屹立しています。海から吹いてくる風はさすがに冷たくて強く、灯台に当たって篠笛のような音を奏でています。

岬の先端に立ってはるか向こうを見渡すと、水平線がくっきり見えるほど空気が透き通っています。碧空と群青の際立ちが素晴らしいです。

でも寒くて寒くて。ものの数分も立っていられません。早々に車に帰り暖を取りました。

七草を 摘んで歩いた 里の道

In Japan there are customs to eat rice porridge containing seven kinds of herbs on the 7th of January. Contrary to the New Year ‘s luxurious meal, it is a plain diet. We hope that we can do great this year.

道を歩いていると、小さな食堂の前に『七草粥』と書いたスタンド看板が立っている。そう言えば今日は1月7日の七草の日だと思い起こし、ふっとお店に入った。

5つほどのテーブルが並んでいて、子供二人の家族連れと若い女性が二人が先客だ。午後3時前だから、昼食の時間でもない。

最近は朝晩の二食にしているので、こんな時間に食事をとったことはないが、お店に入った途端、セリの香りが匂ってきて、お腹がグッと鳴った。気付かれてはいないだろうが、ちょっと恥ずかしい思いだ。

七草粥といえば思い出すのは、お正月が過ぎた頃、よく母や叔母と近くの河川敷に出かけたことだ。

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、はたして全部採ったのか、ともかく籠をいっぱいにしたことを覚えている。スズナは小カブラ、スズシロは幼大根だから、これは多分近所のお百姓から頂いたんだろう。セリは水際にあり、匂いも強いから子供の僕にもよく見分けが付くので取りやすく、上手、上手の言葉におだてられ、得意げに採ったものだ。この香りが、今この店に誘い込んだに違いない。

それにしてもスズナ、スズシロ以外はほんとに野草なのに、よくもこんな組み合わせを考えたものだ。調べてみたら、体に大切な栄養分がたくさん含まれている。

お正月のお節とは正反対の実に質素な七草粥だが、味わい深い昼食になった。

百合見れば カサブランカの バーグマン

Casablanca lily, which I put in a vase, has bloomed a flower. Every time seeing this flower the movie “Casablanca” and Ingrid Bergman remind me.

食卓の上に挿しておいた百合のカサブランカが咲きました。純白の大輪の花を咲かせ、まさに「百合の女王」にふさわしい姿です。

原種は日本の鹿児島県トカラ列島口之島に自生していたタモトユリで、その美しさと甘い香りで乱獲され今は絶滅しましたが、その前にアメリカに持ち込まれ、それからオランダにわたり、品種改良されて「カサブランカ」と命名された由来があります。

カサブランカはもちろんアフリカのモロッコ王国の都市名で、「カサ」は白い、「ブランカ」は家という意味を持ち、大西洋の紺碧に浮かぶ白亜の家を連想させることから付けられた名前です。

この花を見るたびに、往年の名作映画『カサブランカ』を思い出します。

モロッコで酒場を営むアメリカ人リック(ハンフリー・ガボット)の元に、元恋人のイルザ(イングリッド・バーグマン)が夫の反ナチ活動家ラズロ(ポール・ヘンリード)を伴って現れ、リックがイルザにしばしば投げる”Here’s looking at you, kid”(君の瞳に乾杯)は名訳として今に語り継がれています。

小正月 待てずに菜の花 忙しやな

Canora flowers are blooming now as soon as the New Year is over. As the date passes quickly, I feel awfully rushed.

南伊豆では20度を超える気温になったそうです。

下田街道沿いにある菜の花畑には菜の花が咲き、訪れる観光客もびっくり顔。早咲きで有名な河津桜もちらほら咲き始めているというから、15日の小正月を待たずに、なんとまあ季節の移り変わりの早いこと。

北国秋田からの便りでは積雪2mを超え、屋根からの雪下ろしに汗だくというから、季節感がこんがらがっちゃっています。

今の時代はこうしていたるところから情報が届くので、昔なら自分を取り巻く環境でしか判断しなかった時代とは大違いです。

寒い冬が早く開けて、温かい春が来てほしいとは思うのですが、冬も中途半端に終わってほしくないという複雑な気持ちです。

まあここ関西は冬もまだこれからだから中途半端には終わらないでしょうが、なんとも気忙しい気はします。

自然もそうだし、食べ物もそう、何でもが季節感喪失の時代になってしまいました。

 

 

鳴き交わし ステップ合わせ 鶴の舞

A pair of Japanese cranes call out to each other and step on the step and dancing courtship dance.

ブラジルの友人が送ってくれた写真です。おそらく日本の写真を送ってくれたのでしょう。

日本の国鳥はキジですが、ツルといえば日本。中でもタンチョウヅルがその代表です。日本を代表する日本航空のロゴマークもタンチョウヅルをあしらった鶴丸です。

ツルの学名はGrus japonensis。『japonensis』は「日本産の」という意味だし、英名もJapanese crane「日本のツル」といいますからほぼ国鳥扱いです。

繁殖地はロシア、中国国境のアムール川周辺で、中国の江蘇省、朝鮮半島で越冬しますが、日本の釧路湿原には留鳥として一年中生息しています。

日本のツルとしては、山口県周南市や鹿児島県出水市に冬鳥として渡来するナベヅルやマナヅルなどもいますが、これらは渡り鳥で、姿形からしてもタンチョウヅルには叶いません。

鳥類の中でも最大級の大きさで、両翼に広げた羽の長さは2.5m、重さも10kg近くあります。しかし、細くて長い脚。頭頂部の赤い帽子。真っ白な体の中にところどころ真っ黒な羽。その均整の取れた美しさは鳥類の中でも秀逸です。

つがいでほぼ一生連れ添い、甲高いツルの一声を掛け合い、気が向けば寄り添ってダンスし、人も羨む夫婦仲です。

鶴は千年亀万年といいますが、タンチョウヅルの寿命はほぼ2,30年、鳥類の中では特別長生きです。

何から何まで、タンチョウヅルの美しさと気高さは、富士山と並ぶ日本の代表的、象徴的存在です。

初春に モルゲンロートの 槍ヶ岳

It is Mt. Yari which stands out in the morning glow being viewed from Mt.Tsubakuro. We call this view Morgenrot by the mountain word. The etymology is German.

懐かしい光景です。

昨夜NHKで放映された『北アルプスドローン大縦走』から取った写真です。モルゲンロートとは山岳用語で朝焼けのことです。ドイツ語です。

燕岳から見た槍ヶ岳、大キレット、前穂高岳から奥穂高岳。

若き日、大胆にも一人で縦走しました。

手の届く所にある槍の穂先に立つまでの怖さ。大キレット手前の南岳で遭難しかけた時の怖さ。というのも、昔の地図はいい加減で、南岳小屋が山頂の反対側に描かれていて、いくら探しても見つからず、元の槍ヶ岳山荘に帰るには時刻も遅く、頂上に立って声を限りに「ヤッホー」を叫び続けたところ、濃霧の向こうからカンテラの明かりが見えたのですが、ああ幻覚だ、もうダメだ、と死を覚悟したのですが、実は本物で、九死に一生を得たわけです。

大キレットの縦走は、今思い出しても震えが来るほどの怖さでした。『飛騨泣き』とか『何とか泣き』とか、危険箇所に付けられた名前ですが、そんなのが何箇所あったでしょうか。やっと大キレットを通過して前穂高岳の小屋で一杯50円の片栗粉を混ぜたような『カルピス』のなんと美味かったことか。

奥穂高岳の山頂に立った時の達成感。

うーん、もう一度行きたいけれど。

若き日を思い出すテレビ鑑賞で今年のお正月は閉じました。

お正月 ブーゲンビリアが 狂い咲き

Bougainvillea was blooming in the garden of one house on the way to going to a New Year’s visit. It is surprising that tropical flowers bloom in this cold season.

びっくりです。

初詣での道すがら、一軒の庭先に咲く赤い花に目が留まりました。近付いて見るとブーゲンビリアです。気温は5度。ブーゲンビリアといえば、ハワイや沖縄を連想するのですが、よくもこんなに寒い季節に咲くもんだとびっくりしました。

やはり気候変動によるものか、ブーゲンビリアがもともとこんな季節にも咲くものなのか、はたまた品集改良で四季咲になったブーゲンビリアなのか、よくわかりませんが、ともかくびっくりです。

最近は初詣も遠くに行きません。名の通ったお寺や神社は人でいっぱいです。車で行くのでまず駐車するのが大変。何時間も待たねばならないことがしばしばです。

それに引き換え、近場の初詣には地元なりの良さがあります。歩いて行けるのもいいし、すれ違う人にも近親感を覚えます。お正月の衣装を着飾った人もいれば普段着のままお参りする人も多い。絵馬やお守りもお値段が安い。かえってお賽銭もはずみたくなります。

お正月三が日もあっという間です。さてさて今年の運勢はどうなのか。お御籤は小吉です。

茜さす 初日に浮かぶ 羊蹄山

Mt. Yotei is floating in the sea of clouds against the sky stained in red in the morning glow.

元旦早々、朝焼けで茜色に染まった空をバックに青雲の雲海に浮かぶ富士山の写真が送られてきた。折り返しお礼の返事を送ったら、富士山ではなく北海道の支笏洞爺国立公園にそびえる羊蹄山とのこと。どう見ても富士山だ。

そういえば日本各地に何々富士という郷土富士というかご当地富士がたくさんある。三省堂の『日本山名事典』によると、218の郷土富士があるそうだ。しかしもっとあるそうで、マニアが各地から情報を収集してみたら320を超えたという。

ウィキペディアを開けたら、あるわあるわ郷土富士の写真がいっぱいだ。中でも鹿児島の開聞岳、それに今日の羊蹄山はもっとも富士山に似ている。間違えたのも無理はないと納得。

日本の真ん中に本家本元の富士がどんと座り、日本人全体の心の拠り所になり、各地方には親しみのこもった何々富士が鎮座して地域の人たちの心の拠り所になっている。

そういえばなぜ富士という名が生まれたのか。

記録で最初に出てくるのは、奈良時代の『常陸国風土記』の「不慈」で、それから万葉集の「不尽」とか「不二」。また長い山の斜面を表す大和言葉「フジ」から来たという説もある。その他、アイヌ語の「フンチヌブリ」、朝鮮語の「プット」、マレー語の「プシ」などにも語源をたどれるという。

ひょんなことで富士山にちなむ話題を拾ってみたけれども、「なぜ」と思ったことをwebサイトをたどれば必ず回答が得られる。パソコンを、さらにスマホを片時も離せないわけだ。

猪の 勢い載せて 年賀状

Animal that symbolizes 2019 is a boar. This year is going to be a year when it will rush to the target.

新年明けましておめでとうございます。

今年の干支(えと)は猪。猪と言えば猪突猛進。脇目も振らず目標に向かって突き進んでいくという意味で、言葉自身は良い意味にも悪い意味にも取れるますが、ニュアンスとしては後者の意味合いが強い。思慮浅く、周りの忠告にも耳を貸さず、ともかく猛進するといった具合です。

そう言えば、近年里山のあちらこちらで、人に危害を加えたり、農作物に損害を与えたりというニュースを目にすることが多くなりました。

近くにある神戸六甲山はもう幾度も登ったことのある山ですが、3,40年前は、猪が出るという噂は耳にはしていましたがめったに出会いませんでした。ところが、最近もお年寄りの女性が、住宅街を流れる芦屋川を散歩している時猪に襲われ、指を食い千切られるという事件があったように、人が住んでいるところにも頻繁に姿を表わすそうです。

4,5年前に登ったときも、登山途中のお多福山でお弁当を開いていると、またたくまに5,6頭の猪が現れ、非常に怖い思いをしました。

自然環境が変わって食物を得にくくなったという事情もあるでしょうが、猪だけでなく鹿、猿の出没で困っている農家が全国的にも増えているそうです。

2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博を控え、2019年も猪の良い意味での猛進の年と願いたいのですが、以前の東京オリンピック、大阪万博のときとは状況がすっかり変わっているようです。バブルその後の崩壊を繰り返さないかと懸念もされます。

新年早々、両手を上げて万歳ではないお話になってしまいました。

明日を待つ 大門松は 静かなり

A pair of the Big Kadomatsu has just decorated at the Ohmiwa Shrine in Nara. Today is quiet. From Tomorrow there’s going to be a big fuss in the New Year’s visit.

今日は大晦日。元旦を迎える準備が、各家庭、神社やお寺ですっかり整ったことでしょう。
と言っても昔ほどの仰々しさもなく、各家庭でも形ばかりの正月料理をこしらえ、デパートやコンビニで予約しておいたお節が列ぶ家庭も多いとか。これも二極化していて、やたら凝る家庭と元旦もトーストにサラダという家庭というふうに「保守」と「革新」に分かれるようです。
一方、神社やお寺は衰え知らず、東京明治神宮の319万人をトップに、100万人を超える神社・お寺がめじろ押しいうから驚きです。以下何十万人は数知れずといった具合ですから、この現象だけを取り上げても日本文化の謎に迫れるといった具合です。
特に最近は若者の初詣客が多く、こうした若者の保守化と言っていいのか、物珍し志向と言っていいのか、注目に値する傾向です。
関西でも、上に挙げたナンバー10の内、京都の伏見稲荷、大阪住吉大社など4つが入っているから驚きです。奈良県にある大神神社は日本でも最古参の神社ですが、ここでおよそ50万人。
もう正月三が日は参拝することは諦めています。
こうして、前準備が整ったプレ初詣がいちばんいいです。