春まだき


 

「春まだき」は造語だそうだ。「朝まだき」という使い方はあっても「春まだき」という使い方はないという。まあしかしいいだろう。

3週間前には2、30cmも雪が積もって、車の屋根の雪かきで汗をかいたのに、静岡ではもう早咲きの桜が咲いたという。

今年は寒さが厳しく、大阪では大阪城の梅が3月1日に開花宣言が出て、例年に比べて19日遅れだそうだ。

梅が2月、桃が3月、桜が4月と言われるからなるほど遅い。

琵琶湖畔にある我が家の近くにも梅、桃、桜があり、沈丁花も植わっているが、漂ってくるのは梅の香ばかりで、沈丁花のかぐわしい香りは聞こえてこないし、桃がやや、桜はまだまだ蕾は堅い。

はーるよこい、はーるよこい」という歌がいつもこのころになると耳の奥から聞こえてくるが、相馬御風作詞、弘田龍太郎作曲のこの童謡は「おうちの前の桃の木の 蕾もみんなふくらんで」と歌い、松任谷由美の「春よ、来い」は「いとし面影の沈丁花 あふるる涙のつぼみから」と歌っていて、誰もが今か今かと春を待ち焦がれている。

重く沈んだ雪景色は水墨画にぴったりだし、梅が咲き、桃が咲き、桜も咲けばもう濃絵の世界だ。

春夏秋冬、時折々の景色が人の心に浸み込み、耐えること、弾けること、闘うこと、想うことに人をいざない、そして様々な情念を生み出してきた。

ほんとうに日本はいい国だ。


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