2019年 元旦


元旦の一日はまず交響曲「新世界」を聴くことから始まる。初日の出を彷彿とさせると同時に新年の展望が開けるような出だしがお正月にぴったしだからである。
さて展望が開けても、今年2019年に見えてくるものはあまり希望の持てるものではない。
米中の新冷戦時代の幕開けがはっきりしてきた。貿易戦争を巡るいざこざはまだ単なる序章でしかない。トランプ、習の電話会談が頻繁に行われているようだが、こんな小手先ではどうにも収まらない力学が働いているからだ。
一言で言えば「覇権争い」。それも根が深い。
中国の覇権争奪にかける執念は有史以来と言っても過言ではない。チベットからウィグル地区を初め今や南シナ海における中国の動きが如実にそれを証明している。中華思想のまさしく歴史的核心部分なのである。
それに引き換え、アメリカはトランプがよく言う「America as No.1」はかなり閉鎖的で孤立主義的な覇権主義である。何と言ってもアメリカは歴史も浅く、建国当初からいわゆる「モンロー主義」が常に底流にあり、19世紀前半のラテンアメリカ各地で起こった独立運動に端を発した南北アメリカ大陸とヨーロッパ諸国の不干渉宣言や、20世紀中盤に起こった対外援助廃止やNATO脱退、国連反対など冷戦下のモンロー主義と言われる孤立主義的な運動と同じで、トランプの「America as No.1」は何も目新しいものではなく、アメリカの建国以来の国是なのである。
もっと平たく言えば、中国の覇権主義は国内に何億もの貧乏人を抱えているがゆえの略奪的、歴史的覇権主義であるのに対して、アメリカは建国以来せいぜい300年、常に富を蓄積し、今や冠たる世界ナンバーワン。この豊かさをこれ以上他国からせびられたくない、そして常にお金持ちナンバーワンであり続けたいという成金的覇権主義なのである。
この二国間の覇権争いは、20世紀の米ソ軍拡争いの冷戦とは違い、世界経済をも巻き込んだ新冷戦だから深刻だ。日本はもちろん世界の国々にとばっちりが向かう。
ヨーロッパはヨーロッパで、イギリスはEU離脱協定問題でメイ首相の不信任問題で揺れ、イタリアの経済問題もかなり深刻、フランスの政情不安定で若き大統領マクロンが失脚に追いやられるかどうか、等なども含め、ユーロ圏の結束も崩れかけている。
さらにアメリカとイラン、アメリカとロシア、さらに北朝鮮、ジャーナリスト殺害で揺れるサウジを含めて相も変らぬ中東問題、どれをとってもこれからの世界に明るい展望がみられない。
日本国内においても同じで、昨年末、といっても先週のことだが、リーマンショック以来の株価暴落を受けての新年幕開けが今年10月の消費税10%へのかさ上げにどう影響するのか、再度の延期もせざるを得ないかもしれない。
当初予算7000億円のはずの東京オリンピックがいつの間にか3兆円にも膨れ上がり、オリンピックから波及する経済効果は5兆円と目論んでいたがこれも目減りし、最近のオリンピックでは波及効果どころか、その後のバブル崩壊で元も子もなくなるケースがほとんどというから、これもかなり灰色。
次の大阪万博だって予算ばかりが膨れ上がって、結局は赤字転落を予想する経済アナリストも結構多い。
老齢化対策費用の拡大。人口減少によるGDPの下落。そして何よりも憂慮すべきは1000兆円に上る財政赤字だ。これが一向に減らない。タンス預金がこれを超えるから大丈夫なんてのんきなことは言っていられない状態だ。
トランプのご機嫌伺いではないだろうが、1機100億円の最新鋭戦闘機F35を100機合計1兆円の買い物をしている余裕はないはずである。
こうして2019年の先から見えてくる日本の将来はまさしく内憂外患。
新年早々だから何か明るい話題でもと思ったが、こんなことが頭にこびり付いて書かずにはおけなかった。
年寄りの取り越し苦労に終わってくれたいいが。


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