リメンバー311

ドイツ国営テレビ放送ZDF『福島の嘘』
 

ちょうど買い物からの帰り、車に乗っていたんだが、突然 iphoneアプリの「ゆれくるコール」のサイン音が鳴った。間もなくカーラジオから同じサイン音が流れ、「ただ今東北地方でかなり強い地震が起きました。沿岸部のみなさんは津波のご注意ください。」と言う。
アプリの設定は「予測地点=大阪、通知震度=震度1以上」に設定してあったから、東北と言えばずいぶん離れているわけで、これはかなり強い地震なんだなとは思った。
ラジオは続けて「東北地方沿岸部には6m以上の津波が押し寄せる可能性があります。・・・」と何度も警告を発している。
家に帰ってテレビをつけるともう実況中継が始まっていて、これは何だ!たくさんの車が電気洗濯機に投げ込まれたように舞い、大きな漁船が高速道路の橋げたにポールをぶつけている。家が通りを何軒も何軒も流されていく。まるでCG映画を見ているような光景だ。うーむ・・・
あれからはや1年。テレビ各局が流す特別番組を見るたびに、あらためてこの大震災の凄まじさといまだに進んでいない復興状況にいらだちを覚える。
今回の大震災は地震と津波の災害に加えて原子力発電所の事故が追い打ちをかけたのが特徴だ。
今までにも地震国日本には何度も同じような規模の地震が襲いかかったが、あくまでも天災の範囲でとどまり、誰に怒りをぶつけようもない、誰を恨むにも恨みようのない、諦めるしか仕方のない災害だった。
日ごろから多くの恩恵を被り、苦しいときにも悲しいときにもその懐に抱かれて癒されてはまた新しい活力を与えてくれた自然は、怒りをぶつける対象でもなければ、恨みに思う対象でもない。
天罰だと、かえって自己を顧み、せっせと復興、復旧に取り組み、新しい暮らしに工夫を加え、様々な災害にも耐える生活を生み出してきた。
しかし今回の地震と津波による原発事故による災害は違う。天災以上の人災が諦めようがない現実を次から次に生み出している。
日本でも最も危険な太平洋岸の地域に建てられた福島原発は、35mのせっかくの台地を削り、5,6mの津波を想定した言い訳程度の津波対策を施し、災害時に備える二次電源は屋上にではなく地下に設置して作られたわけだから、設置当初からそもそも安全性確保は全く放棄されていたに等しい(詳しくはWikipedia;福島第一原子力発電所)。
およそ40年前に設置された原発だから原発初期の時代物である上に、40年間ほぼ安全に稼働していたものだから非常時の対策とか訓練もなおざりにされていたのであろう。原子炉の暴走を食い止めるベントという作業も、二次電源喪失時の手動による作業工程が定かでなかったという事実がその証左の一つである。
一時は所長一人を残して職員全員の避難を画策、菅の一喝でそれは食い止められたというから、身の毛もよだつ東電の周章狼狽ぶりと無責任ぶりが明らかになっている。
その後の政府の対応も目を覆うばかり。最近明らかにされた通り、当初はどこが司令塔なのか定かでなかったと当時の閣僚が証言している混乱ぶり。
アメリカには福島原発事故に関して3200ページに及ぶ詳細な記録と録音が残され、事態の深刻さと自国民の80㎞以遠への避難を早々と勧告していたのに、当事国の日本では100億円以上をかけて作られたSPEEDⅠ(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)はなぜかその機能をまったく果たせず、地域住民の避難対策が後手に後手に回ったとか、当然記録しておくべき政府機関のやり取りに至っては、今になってやっと聞き取り調査から起こした72ページというお粗末極まりない当時の記録(?)が再現されたという。
自衛隊や警察や消防はもちろん、多くの地方自治体、政府関係者の多くもそれなりに必死に事に当たったことは理解しているから、粗探しばかりをしているわけではないけれども、政府中枢、当事者の東電のお粗末ぶりが天災を超えた人災をもたらした事実は否めない。
さてさて、これからの日本をどう立て直していくのか、待ったなしの財政再建、景気対策、税制と年金問題、沖縄問題、外には緊急のホルムズ海峡問題、中国やロシアとの領土問題、まさに崖っぷちに立たされている日本だ。
東北復興はぜひともやり遂げねばならなし、日本国民こぞってこの国難を背負って立つ覚悟を持たなければならない。

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