突発性めまい

突発性難聴という言葉は聞いたことがあるが、突発性めまいという言葉は聞いたことがない。ぼくの造語だ。

今年のゴールデンウィークは東京にいる孫の世話に駆り出された。次の孫が誕生するんだが、早産気味でママが入院することになり、普段は北海道にいるママ方の母親と関西在住のこちらの母親が交代交代で東京に出かけ、今の孫の世話をしている。
東京までは新幹線で行けばいいのに、向こうでも車があれば何かと便利だろうという、今から思えば浅はかな思いから車でと相成った。
今年2歳になった孫は元気元気。体は大きいし、よく食べ、よく遊ぶ。ママ方のお婆さんが集めたというチョロキュウがお気に入りで、遊び出したら止まらない。ぼくを相手に、2メートルほど離れて座った孫とチョロキュウのやり取りだ。これが朝晩家にいる限り1、2時間は続く。
昼間は近くの公園に行ったり、児童館に行ったり、買い物に出かけたり、時には少し遠出をして、ぼくの希望もあり、鎌倉を訪ねたり、柴又の寅さん所縁の帝釈天、矢切の渡しを訪ねたり。
そしてゴールデンウイークの最後にダウン。

ふらふらふらふらして真っ直ぐ歩けない。歩いていても崩れ落ちそうになる。めまいといえばくるくるくるくる周りが回るものだと思っていたが、こういうのもめまいだということは初めて知った。立ちくらみは若いころからも何度もあったし、誰にでも起こることなんだそうだが、こんな体験は初めてだ。
家に戻ってソファに静かに横たわっていたんだが、しばらく経つと吐き気がしてくるし、冷や汗が出だした。ちょっと心配になってきた。歳が歳だし、疲れからくる一過性のめまいであればいいんだが、脳や心臓に原因があったりしたら大変だ。連休中だしどこの病院も閉まっている。大袈裟で迷惑をかけるのも嫌だと思ったんだが、救急車を呼ぶことにした。10分位で救急車が来てくれたんだが、意識が薄れていたのか、そのあたりからは朧げだ。
運ばれた病院では、当直の若い医師が、指先の検査をしたり、立って歩行をさせたりして、脳には当面障害が見受けられないということで、次に心電図をとってみたが、これもおおむね正常。残るは三半規管系統だが、これは担当医師もいないし、緊急事態でもないので、家に帰って安静にし、後日詳しく診断しておくようにと言われて帰宅した。
翌日になってもふらつきが止まらない。車は東京において新幹線で大阪に帰ることにした。新幹線での車中、インターネットでいろいろ調べてみたんだが、メニエール病その他で起こるめまいは短くて数秒、長くても数分程度で収まり、それが頻繁に起こるかどうかが単なる一過性のめまいか、何らかの病理現象によるものなのかの違いだという。ぼくのようにめまいが長時間続くようなら、まず考えられるのは前庭神経炎、そしてやはり脳梗塞とか脳血栓に伴うめまい、あとは脳への血行障害。心臓は東京の救急病院で問題なしの診断が下っているので、椎骨あたりの血行障害が気がかりだ。

帰阪した翌日、まず脳神経外科を訪ねた。そこにはCTスキャンしかないのでとりあえずそれを受けたが、脳梗塞、脳血栓の兆候はなく、脳への血行障害に関してはMRIでしかわからないというので、設備のある病院を紹介してもらった。その足で次に向かったのが耳鼻咽喉科。ここはアレルギー治療で現在通院しているので、今回の症状を説明したら、まず問診から始まり、眼振検査、体平衡検査、聴覚検査と続き、三半規管の何らかの異常が原因であろうが特定できないとのこと。考えられるのは、やはり予想した前庭神経炎か、三半規管内のリンパ液濃度の異変によるものということで、とりあえず前庭神経炎を抑えるためステロイド剤の点滴を受けた。三半規管のリンパ液濃度の調整剤は、眼圧や脳圧の降下剤に使われるイソバイドを処方してもらった。
翌日紹介してもらった病院でMRIの造影をしてもらい、昨日の脳神経外科医院に持ち込んだら、脳への血行障害も見当たらないとのこと。
結論としては、やはり前庭神経炎あたりが今回のめまいの原因のようだ。

この前庭神経炎、他が原因であるめまいと違って、激しい回転性のめまいが急に起こり、普通それが数日〜1週間程度続き、めまいには、吐き気や嘔吐、冷や汗を伴うが、難聴や耳鳴りなどの聴覚の症状を伴わないのが特徴。めまいはその後、少しずつ軽くなっていくが、発症から1週間程度は歩行に困難を感じ、めまいは発症から3週間くらいでほぼおさまるが、体を動かした時や歩く時のふらつきは、しばらくは持続するのが一般的。時には6カ月くらい経ってもふらつきが持続することがあるとのこと。
原因は不明だが、めまいが起こる前にかぜのような症状があることが比較的多いので、ウイルスなどの感染が原因として考えられているそうだ。

前に右耳を突発性難聴が襲い、ステロイド両方その他で治療したがとうとう治らず今に至っているが、どうも右耳はウィルス感染しやすいようで、疲れがたまった時など免疫力が低下した時ウィルスの勢いが増し、前庭神経を攻撃されたようだ。ぼくが名付けて突発性めまいということになる。
突発性難聴もそうだが、今回の突発性めまいもはたして完治するのか。完治しなければこのめまいとも付き合っていかねばならない。
昨日からまた早朝のウォーキングを始めたが、これも一種のリハビリで、人間には損傷したところを補完する人体力学が作用するに違いないと信じるからだ。

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