2016年の夏

 
今日はリオ・オリンピックの閉会式。8月3日から始まって8月21日までのおよそ3週間、世界はブラジル・リオに釘付けになった。
リオは南半球にあるから、日本でいえば冬なんだが、緯度も低いから気温は20℃前後。日本の秋よりも少し暖かめだろう。
しかし日本は、特にここ関西では連日35℃を超す暑さで、クーラー嫌いのぼくもさすがにクーラーは付けっ放しだ。

やはりオリンピックは素晴らしい。世界のトップアスリートが競い合う競技はどれも見ごたえがあり、それが日本のアスリートだともう他人事ではない。
内田航平くんが引っ張る体操が団体で金メダルを取ったときは鳥肌が立った。
柔道にレスリング、水泳にバドミントン、金メダルを取った選手諸君の活躍はもちろん素晴らしく、金メダルを取るたびに、自然とTwitterで「おめでとう」をつぶやいた。
しかし、特に事情に詳しいわけではないぼくには、やはりマスコミで常に取り上げられてきた選手の動向が気になった。
レスリングの吉田沙保里選手が負けた時にはこちらも涙が止まらなかったし、卓球の愛ちゃんが日本が銅メダルにとどまった責任を自分の責任だと慟哭したときにも涙が止まらなかった。
日本の女子レスリングを、日本の卓球人気を、ここまで引き上げてきた彼女たちの功績は計り知れない。
しかし競技は競技だ。勝ち負けははっきりしている。それまでの功績がどうのこうのではなく、相手が強ければ負ける。
吉田沙保里選手が負けてしばらくマットに伏せていた時の気持ちを思うと、こちらまで悔しくて打ちのめされた。
しかし、勝った相手のマル―リス選手と泣き顔で抱き合い、相手を称え合う姿は真のスポーツマン・シップを見た思いだ。(https://www.youtube.com/watch?v=H1alysW5nCQ

確かに気温は高く夏の区切りはないが、多くの感動を呼んだオリンピックも終わり、自分の夏休みも終わった今は、もう今年の夏は終わったも同然だ。
オリンピックの最中、孫の様子を見に東京へ。その合間を縫って、一度は訪ねたいと思っていた九十九里浜を訪ねたが、あいにくの台風来襲で、青々と広がるはずの太平洋は見られず、怒涛逆巻く砂交じりの荒波。
海水浴場に立つ監視台には遊泳禁止の赤旗がちぎれんばかりにはためいていた。
九十九里浜北端の犬吠埼では、灯台の立つ断崖絶壁の向こうにある岩に当たった波が砕け散り、さらに先には高さ10m以上にも及ぶかという大波が波頭立てて押し寄せる姿は、雄大を通り越してまさしく怒涛だ。
昔懐かしい醤油と磯の香をあてにさまよった銚子の町も台風接近で店を閉ざし、全国屈指の銚子漁港には避難船がびっしり。
残念ながら九十九里浜の旅は日常の姿ではなかった。

東京からの帰りは、もう何十年も前に訪れた伊豆半島を一周することにした。
東名高速の厚木インターからは快適な小田原厚木道路を通り、海岸沿いを走る真鶴道路を辿ると熱海に出る。熱海には昔、浄瑠璃の師匠をしていた大叔父夫妻が住んでいて時々行ったことがある。大きな大浴場があって混浴。晩になると高島田姿そのまんまの芸者さんが入浴していて、子供ながらに綺麗と思ったものだ。
熱海を南下すること1時間、熱川温泉近くに別荘を構える友人と落ち合って、徳造丸魚庵で名物金目鯛の煮つけ料理を満腹。
下田ではどの宿も満杯で、偶然電話を掛けたビジネスホテルが1室キャンセルが出たということでそこに泊まり、早朝はペリーゆかりの史蹟を辿る。
伊豆の踊子の宿、河津温泉。海水浴客でにぎわう弓ヶ浜海岸。さらに南下して、伊豆半島の先端石廊崎。ここは昔、同僚の先生方と訪れ、漁師宿で伊勢海老や鮑をたらふく食べた思い出がある。灯台も訪ねたかったが、車を降りての山歩きは暑さに耐えられず断念。
西海岸を辿って、堂ヶ島では海岸淵に立つ露天風呂で旅の垢を流し疲れをほぐす。大海原を前に見ての温泉はもう極楽。四畳半ほどの風呂は独り占め。
もう思い残すことはないと帰路に就いた次第である。

帰宅して翌日、旅の余韻は冷めやらず。奥吉野の大台ケ原を訪ねたくなり、寝袋と少々の食料品を車に積み込んで出発。国道169号を辿るが、昔、十津川温泉から新宮に抜けて勝浦温泉に行ったときには、雨が降れば土砂崩れ、道路の拡張工事で片道通行にぶつかると離合待ちで1時間待機はざら、そんな道だった。その後、大滝ダム建設時には、道路はもちろん、水没する村ごと高台に移転の大工事で迷路のような道を辿らねばならない難所だったが、今や紀伊半島を縦断する山岳道路にしては街中の道路よりはるかに快適。
大台ケ原は昔そのまんまだった。あいにくの雨だったが、1年365日のうち300日は雨が降るといわれるところだから仕方がない。正木が原の枯れ木風景も変わらず、散策道だけは昔よりよく整備されていた。
翌日は、大台ケ原の麓にある小処温泉を訪ねた。ここも昔は秘湯中の秘湯。大台ケ原登山を終えた山男だけが知る温泉だったが、今は道も整備され、さすがに車は少なく、というよりも出くわす車もなく辿り着く。
もちろんただ一軒の温泉だが、総檜造りに建て替えられ、これも秘湯の面影すらない。横を流れる川のせせらぎを聞きながらの一人風呂。

こうして2016年のぼくの夏はもう終わった。

IMG_6614IMG_6619IMG_6625
IMG_6630IMG_6631IMG_6632

IMG_6654IMG_6656IMG_6664
IMG_6669IMG_6670IMG_6673
 
 
 
 
 
 
 

IMG_6709IMG_6714
 
 
 
 
 
 
 

IMG_6716IMG_6719
 
 

*リオ⇒東京

コメントを残す