さん太が学生時代に、ある事情があって当時フランスの植民地であったアルジェリアに行くことになりました。
その手続きを行うために東京の外務省を訪れたところ、入口で初老の上品な外国人女性から突然声をかけられたのです。
流暢な日本語で「あなたはアルジェリアに行ってはいけません。」
びっくり仰天。アルジェリア渡航のことは誰にも話したことはありませんし、こんなところで全く見ず知らずの外国人女性から心を見透かされたような内容で話しかけられたのだから、ぼくの驚きはわかるでしょ。
わけを聞きたく、すぐ近くの瀟洒な喫茶店にその女性をお誘いすると、女性はうれしそうについてきました。
名前をお聞きしても答えない。ただイスラエルに国籍があること、ときどき日本に来ること、日本が大好きであることなどをを聞き出せたくらいで、結婚しているのやらいないのやら、家族がいるのやらいないのやら、全く分かりません。
どうしてぼくにあんなことを言ったのかと聞くと、目が合った瞬間に神様が語らせたというのです。
さらに驚いたことに、その女性、小さな、日本ではあまり見かけたことのないような皮のカバンから奇妙なデザインのトランプカードを取り出して、占いをしてあげようという。
渡された滑りのいいトランプを女性の指示通りシャッフルし、指示通りにカードを並べ、ことを進めていったら数枚のカードが残りました。その残ったカードをその女性は並べなおし、ぼくの顔を見つめながら、ぼくの過去のことや、今現在の状況をそれはそれは正確に言い当てていく。まるで夢を見ているようです。
女性の母親はジプシーの出で家の召使として働いていたが、不思議な能力を認められ父親と結婚したんだが、父親はその女性と結婚してからはやる事業やる事業が成功し、一大財産を築いたといいます。
その母親から教わったのがこの『ジプシー占い』だというのです。
占いや超能力のことがテレビでもよく取り上げられていたころで、ぼく自身はまったく信じてもいませんでしたが、あまりに不思議な事が眼の前で起こっているんで、もう頭はパニック状態です。
女性は別れ際、英語で何かいっぱい書かれた便せんをぼくに手渡し、ここにカードの読み方、占い方が書いてあるから覚えたら、火にくべて煙にしなさいと言い残しました。
アルジェリア渡航は出発10日前、アルジェリアで軍事クーデターが勃発し、とうとう行くことはありませんでした。
アルジェリア渡航は出発の10日前、アルジェリアで軍事クーデターが勃発し、とうとう行くことはありませんでした。命拾いをしたのかもしれません。
1960年代当時、アルジェリアからのフランス撤退に反対する在郷軍人の秘密組織OASは、フランス大統領ドゴールの暗殺を企てました。OASはフランス当局には名前も顔も知られていない謎の殺し屋“ジャッカル”を雇います。孤高の殺し屋ジャッカルと、彼を阻止しようとするフランス警察との戦いをドキュメンタリータッチで描いた、フレデリック・フォーサイス原作の『The
Day of the Jackal(ジャッカルの日)』は実話に基づく社会派サスペンスです。 1973年にはイギリス・フランス合作映画として公開されました。
それから何十年か経ったある日、本棚を整理していると、一冊の本の中から例の女性からいただいた『ジプシー占い』の便箋が出てきたのです。その本の題名は『The Day of the Jackal』。先に挙げたイギリス・フランス合作映画の原本です。
「火にくべて煙にしなさい」という約束を反故にしていたわけです。
Windows95が世に出て、インターネットが爆発的に広まったころ、よし、この『ジプシー占い』を世に問うてみようと企画したのがこのサイトの前身でした。
当時はホームページを立ち上げるのもたいへん。それでも何とか立ち上げたのですが、アクセスはパラパラといった状態でした。
あれからもう何十年たったでしょうか。パソコンのwarehouse(倉庫)に埋もれていた『ジプシー占い』を見つけ出し、再び世に問うてみようと改良を加えて復刻版として立ち上げました。
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