気象庁が毎年発表している「桜の満開状況」によると、大阪の今年の満開日は3月26日だそうだ。
2011年~2017年を見てみると、順に4/7、4/9、3/29、4/2、4/1、4/1、4/6で、過去8年間では最も早く満開日を迎えたわけだ。平年で4/5というから、今年は格別早いと言っても言い過ぎではないだろう。
一方、梅はというと、気象庁によると、これは「開花日」になるが、今年は2月26日で例年(2月10日)より16日遅れというから、梅は特別遅く、桜は特別早くが今年の特徴ということになる。
道理で、今年はなんか急に春がやって来たように思っていたが、単に気のせいだけではなく統計がそれを裏付けている。
だから、今日(4/2)も大阪周辺の桜情報を見ても「散りはじめ」というところが目につく。例年なら、さあこれから花見にでも出かけようかというところだが、慌ただしいことこの上ない。
『鳥の声などもことのほかに春めきて、のどやかなる日影に、垣根の草萌えいづるころより、やや春ふかく霞わたりて、花もやうやうけしきだつほどこそあれ、折りしも雨風うちつづきて、心あわたたしく散り過ぎぬ。青葉になり行くまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます。』
とは、兼好法師が語った有名な段だが、今年の桜は、『花もやうやう』どころか『花もせわしく』、『折しも雨風うちつづきて』ではなく『折しも晴天うち続きて、心あわたたしく散り過ぎぬ。』に訂正しなければなるまい。
今年の『折節の移りかはり』には、法師もきっと目を丸くするに違いない。
それにしても、この時期、日本国中いたるところに桜が咲き乱れ、国中あげて「さくら」、「さくら」だ。
それもどこそこの「さくら」だというだけではない。朝、目を覚まして窓を開けたら「さくら」だし、近くのスーパーに出かけても途中には「さくら」。車でちょっと遠出をしても野山はもちろん、人家が立ち並ぶところにも「さくら」「さくら」「さくら」。しかも、またそのどれをとってもまあ見事なこと。息をのむ光景ばかりだ。
思えば、日本という国はかなり特徴的な国ではなかろうか。
桜、富士山、紅葉、これに天皇も加えれば、すべて日本国統合の象徴のような存在だ。天皇に関してはかなり異論のある方がおられようが、外国人に聞けば10人が10人とも日本の特徴にこの「天皇」を上げる。
桜、富士山、紅葉に限れば、この美しさとシンボリックな存在には異論はあるまい。
富士山はそう誰も彼もが身近に見られるわけではないが、その名を聞けばイメージは彷彿とする。
桜、紅葉はその点、誰にも身近で、季節季節でその中で埋没して生活し、同じような感動を覚え、話題にし、連帯感を共有できる存在だ。
日本の歴史が2000年か3000年か知らないが、世界でも稀なほどまとまりがあり、同じような感情を持ち、強い絆で結ばれている。たまには窮屈なことはあっても、やはりメリットのほうがはるかに大きい。
これが地政学的なものからくるものなのか、世界でも稀なほどの天変地異にさらされていることからくるものなのか、この民族性はかなり特異である。
さーてと、高野山や吉野の桜はまだこれからだし、とりあえず今満開の弘川寺にでも出かけて西行さんをしのんで、今年のさくらを満喫しようか。
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