北京オリンピックそして中国②

★☆★ 北京オリンピック ★☆★ 
 
皆さんお元気ですか。
こちらは熱い夏もやっと峠を越し、気温27~8度、とてもしのぎやすくなりました。
そちら青島はどうですか。
中国悲願の北京オリンピックもなんとか無事終わり、さてこれから中国および中国国民がこの成果をどう生かしていくのか、★☆★
チベット問題 ★☆★ (この映像が頭から離れない。;現在この映像はなぜか削除されている。;また復活!;再び削除中!;★☆★ これ ★☆★もいずれ・・・)、新疆ウィグル問題、自由と人権の問題、環境問題、社会的格差と汚職の問題、そしてここにきて陰りを見せ始めた経済問題など等、これからが試練だと思います。
中国人たちも100年の鬱積を一気に払いのけ、これで大いに自信をつけたでしょうから、これまでのような偏頗な自己満足や狭隘な愛国主義に走ることなく、世界との真の意味での連帯感を深める方向に向かえば、中国人のみならず世界にとっても同慶の至りです。
「国威発揚のため」と言われようと、「演出過剰」と言われようと、「人権抑圧下の祭典」と言われようと、あれはあれで中国流の精いっぱいの「おもてなし」であり、先進国への仲間入りの「大見え」なのだと思います。
考えても見てください。
13億人もの人たちを束ねていくことの難しさと束ねそこなった時の恐怖感がどれほど現在の中国の為政者たちに付きまとっているか。
歴史を振り返ればわかることですが、中国という国は1949年以前には存在したことはありません。「中国4千年の歴史」とかよくいいますが、それは中国という国が4千年間続いてきたということではありません。ある時は漢民族であったり、ある時はモンゴル民族であったり、またある時は満州族であったり、今でいう中国の土地を支配してきた国は様々なのです。日本という国が千年とか二千年とか続いてきたというのとはわけが違います。現「中国」は高々50年の歴史しか持たない国なのです。イスラエルという国が20世紀に誕生したように、中国も20世紀に誕生した新興国家なのです。しかもチベット族、ウィグル族、モンゴル族、満州族といったそれまでに大きな土地を占有していた多民族をも含めて「中国」が誕生したわけです。すべて「共産主義」の御旗を掲げての誕生なのです。いわば20世紀最大の実験国家なのです。無理を承知でできた国ですから、それを束ねていくことの困難さは外部世界の人たちには到底理解できないし、「世界の非常識が中国の常識」といった価値観の逆転が起こりうるわけです。
そんなことを考えるとき、あの開会式といい、閉会式といい、まことに立派であったとまず素直に感動を伝えましょう。そしてそれを支え、あれだけの大事業を成し遂げ得たのは、やはり13億人の、農民をはじめとする(中国)人民があってこそなのだということ、自由を求め、独立を求め、人権確立を求め、正義を求めたが故に、反体制側に回った人たちと、奇しくも四川大地震のような自然災害に見舞われた人たちの命と血によって購われたものだということも忘れてはなりません
遠慮はいらない。世界の常識は中国の非常識を常に糾弾していかねばなりません。中国人民のためにも。

北京オリンピックそして中国

★☆★ 中国 ★☆★
 
北京オリンピックがいよいよ開幕だ。世界各地を巡った聖火リレーの混乱が否応なく北京オリンピックの関心を増幅したのは皮肉だが,隣人としてやはりこのオリンピックが成功裏に終了することを願わずにはおられない。
いまや中国の経済発展は留まるところを知らない。アメリカのサブプライム問題に端を発した自由主義諸国の金融危機による世界的株価急落時にも,最初はくしゃみ程度の影響はあったものの中国の株価上昇の勢いは留まらず,日々新高値を更新するありさまであった。しかしこれも皮肉なことだが昨年の10月ごろをピークにオリンピックが近づくにつれ株価は下落の一途をたどり,8月現在の株価は1年半前の2007年初頭の株価にまで下がってしまった。中国経済の脆弱性を指摘するエコノミストは多い。2008年の北京オリンピック,2010年上海万博,こうした国家的ビッグ・エベントを境に必ずバブルがはじけ,経済的混乱はもちろん,政治的動乱をも予測する向きがある。こうした意見が単なるやっかみ半分の杞憂に過ぎないのか,予想が的中するのか,その時になってみなければ分からないというのが,無責任だが,いちばん無難な意見である。
いずれにしろ中国は日本にとって単に隣国といって済ませる国ではない。
中国で生活してわかることだが,中国人の日本および日本人に対する思いは複雑だ。古代から今に至るまで脈々と流れる中華思想,国家レベルでは日本,朝鮮,周辺のアジア諸国をいまだに属国と見ている節があるし,一般国民でも日本を蔑んで「小日本」を言ってはばからない。ところが近代,日本が東洋においてまず近代国家に名乗りを上げ,中国には大きく先んじてしまった。日清戦争に敗れ,国土の一部に傀儡政府をつくられ,国内の多くの都市を制圧され,経済面においては大きく後れをとった。文化面においても中国近代化のために何万人もの中国人留学生が日本で学び,漢字の「輸出国」がその輸出先の国から多くの近代用語(科学,経済,政治等の学術用語及び専門用語の分野は特に顕著)を移入せざるを得ないほど文化も凋落してしまった。日本に来た中国人の多くは日本が単に近代国家に一番乗りしただけではなく,日本人の人間性と道徳性,文化の奥深さに目を見張り,魯迅にいたっては自国民に望みを失うほどのショックを受けた。その後の国内の動乱と日中戦争は国土の荒廃と人心の退廃をもたらし,中華人民共和国の建国後も紆余曲折,多数の人民が食わんがための生活から解放されてまだ20年足らずである。中国があれほどなりふり構わずオリンピックに執着する姿もむべなるかなである。ただどうだろう,まだまだ多くの国民はオリンピックの祭典を心から喜んでいるんだろうか。
いずれにしろオリンピックを境に中国がこれからどんな近代国家に変貌していくのか,世界人口の四分の一を占める大国中国は良くも悪くも21世紀世界の台風の目であることは確かだ。