アメリカの若者たち-PTSD-

★☆★ PTSD ★☆★
 
イラクやアフガニスタンはいまやヴェトナム戦争末期の時と同じ状況に置かれている。ヴェトナム戦争は国家対国家の戦争であったため、アメリカ(名目は連合国、以下同じ)が敗戦するまで戦争は継続され、アメリカが敗北することによって戦争は終結された。一方、イラクはフセインが率いるイラク国家との戦争ではあったが、フセインが破れ、一応国家対国家の戦争は終わったことになっているが、アメリカの戦死者数をみてもわかるとおり、終戦後のほうが明らかに戦闘状態は深刻になっている。まさにゲリラ戦である。アフガニスタンも国家対国家の戦争ではなく、これもゲリラ戦だ。
これらイラクやアフガニスタンのゲリラ戦を制圧するためにアメリカの多くの若者たちが徴兵され、戦場に駆り出されている。世界一自由で豊かな国を自負するアメリカで何不自由なく暮らしてきたアメリカの若者たちにとって、上官の命令には絶対服従を強いられ、「撃て!」と言われれば撃たねばならず、「殺せ!」と言われれば殺さなければならない戦場は、まさしく阿鼻叫喚の世界だ。そうした若者たちの多くが無事祖国に帰還できた後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しみ、大きな社会問題になっているアメリカの現実が、先日、NHKのドキュメンタリー番組で取り上げられていた。
アメリカ政府のこうした政策がはたして正しいのかどうかは別にして、平和に暮らしている一市民にこれだけの犠牲を強いる国家権力とは一体何なのか、何の根拠に基づいて強いられるのか、十分に考えてみなければならない問題だ。
と同時に、日本政府が、そして世界の多くの国々がこのアメリカの政策を支持するならば、日本がこのイラクやアフガニスタンの問題にただ戦費の拠出だけで済ませ、アメリカの若者たちの命を贖っている事実に目をそらしていていいのか、大いに問題だ。
町内に凶悪犯が潜入し、自警団を組織したとき、「我が家の家訓によりそんな物騒なことには係わりません。」と例え上乗せした分担金を拠出したとしても、それだけで済ましたとしたら町内の人たちはどう思うだろう。
日本国憲法を盾に、いわば逆手にとって、国際社会の無理難題を潜り抜け、戦後日本の復興を図ってきたことは紛れもない事実だ。今も、この憲法は幸か不幸か、わが日本の若者たちを、アメリカの若者たちが直面している塗炭の苦しみから守っている。
かたや、街の至る所で携帯電話をピコピコする若者であふれ、かたや、戦場で明日の我が命も知れず、人の命を奪ったことで苦しみ抜く若者たちがいることを、アメリカ国家、日本国家という範疇ではなく、人間として人類として考えていかねばばらない。
 
誰が我が愛する息子、娘たちをあたら戦場に送ることを望もうか。
 
★映画(DVD) 「7月4日に生まれて(原題:Born on the Fourth of July)」 を一度ぜひご覧ください。
                        

多国籍軍の人的損害状況 (イラク戦争のみ)

アメリカ合衆国軍

   年度

    戦死

   負傷者

    2003年 

     486

    2,416

    2004年

     849

    8,004

    2005年

     846

    5,946

    2006年

     822

    6,411

    2007年

     902

    6,103

    2008年

     160

    1098
 
全参加国軍合わせて即席爆発装置(IED)による死者は1770名。
その内米軍は1687名(約40パーセントがIEDによる死者ということになる)
  ※2008年4月までの集計
 
その他の多国籍軍

戦死

戦死

イギリス

176

ラトビア

3

イタリア

33

     ルーマニア

3

  ポーランド

23

        オーストラリア

3

  ウクライナ

18

   エストニア

2

  ブルガリア

13

オランダ

2

スペイン

11

タイ

2

  デンマーク

7

      ハンガリー

1

         エルサルバドル

5

      カザフスタン

1

  スロバキア

4

   大韓民国

1

 グルジア

4

チェコ

1

  ※戦死者のみ2008年4月までの集計[21]
 
 ★これも忘れてはならない。
 中国国務院が発表する「2007年アメリカ人権記録」によると、2003年以来イラク平民死亡数は66万人以上。
 ロサンゼルス・タイムスの統計によると、100万人も上回る。