風邪と免疫機構

 
やっと治ったという感じだ。今回ひいた風邪はきつかった。
この冬は2回目で、前回はお正月をはさんだ2週間、大した熱も出ず、しんどかったのは2、3日であとはぐずぐず、のど、鼻、せきが不快の毎日だった。
今回のは、まずのどのいがらっぽさから始まり、インフルエンザ流行のうわさを聞いていたので、翌日近くの医院に行ったんだが、狭くて薄暗い待合室に診断を待つ患者がいっぱい。これじゃ、待っているだけでもっとひどくなりそう、と諦めて近くの薬屋で三共の総合感冒薬を買って帰った。その日は小康を得たが、翌日には体温が37度を超えたので、総合病院に行ってインフルエンザではないことを確認して処方薬と解熱剤を得て帰宅したが、熱は下がるどころか38度を超え、とうとう危険ラインの39度を突破。飲むのは控えたほうが良いとは理解していたが、もうしんどさに耐えきらず解熱剤を一錠を飲む。これがまた嫌というほど効いてわずか数時間で体温35.7度にまで低下。こんなにも解熱剤は効くのかと驚くと共に、逆にこのままじゃ済まないぞ、とその反動に一抹の不安を覚える。案の定、またまた36度を超え、37度を超え、体は節々痛くなるは、眠りに落ちても今制作中のホームページの同じ画面の夢ばかりくり返しくり返し出てきて気が変になりそうで、これはかなりきつくなりそうと覚悟を決める。そしてとうとうまた再び39度を突破したが、今度は我慢と何時間だろうか、ふと目が覚めるとすーと楽になり始め、夜店の店じまいのようにばたばたとウィルス君が退散してしまった。さすがに体力は消耗しきって立ち上がるのもおぼつかない。
驚きまた同時に感動した。これが人間の持つ免疫機構なんだと。体重70kgの男の体を何時間どころか何日間にもわたって平常体温から2~4度も押し上げる莫大なエネルギーによってウィルスに立ち向かうこの防御機構こそが、人類をして種を永劫あらしめている主原因なんだと。それと同時にたかが風邪ウィルスに対してだけにでもこれだけ莫大なエネルギーを費やさなければ生命を維持できない自然界のきびしさ、それだけのエネルギーの補給をし終えなくなったときには死あるのみなんだという宿命を、今回の風邪でいやというほど思い知らされた。自分の体であって、自分の体でないような体験だった。