婚活と離活

 「婚活」という言葉が流行してもう久しくなりますが、すたれやすい流行語の中では息の長い言葉です。「結婚活動」を略した造語であることはみなさんすでにご存じのとおりです。
 結婚を意識して積極的に活動しなければならないというニュアンスがありますから、おそらく20代の男女を対象にした言葉ではなく、20代も後半、むしろ30代以降の世代に適用される言葉ではないかと思われます。
 今の30代40代の世代が育った環境は、日本がまだ「バブル」に向けて経済活動も活発化した時代でしたし、大学への進学率、特に女性の進学率が一気に上昇し始め、大手予備校が全国展開を果たし始めた時代に符合します。それまでの「鍋かめ下げて」という結婚観から「三高(高収入・高学歴・高身長)」を求めての結婚観に変化するのもこのころからで、女性の高学歴化に伴う社会進出が、それまでの結婚事情をすっかり変えてしまいました。昭和45年の平均初婚年齢をみると、男性26.9歳、女性24.2歳だったのが、子供世代になった平成19年では、男性30.1歳、女性が28.3歳と初婚年齢は遅くなっています。
 女性も大学を出れば22,3歳、就職して2,3年はまだ「かけだし」、4,5年経つと仕事の面白さが分かり始め、それなりの地位も獲得し、「キャリア・ウーマン」と呼ばれ始めるのもこのころ、30歳前後ですね。仕事をとるか結婚をとるか、二者択一を迫られるけれども、できたら結婚も、ということで始めるのが「婚活」ということになるのではないでしょうか。
 そして幸いにして結婚はしたものの、夢と現実は大違い。収入も自分とは大差なく、仕事にくたびれて、夫は単なる同居人、それならいっそ離婚して、といとも簡単に離婚してしまうのもこの世代。僕が教えている子の半数は片親、お母さんが大概子どもを引き取っているんですね。
 もう少し上の世代になると、子供を育て上げるために我慢し、耐えてきたけれど、もう子供も手を離れ、もう一度自由に羽ばたきたいと「離活」に走る。
 こうして事情は様々ですが、離婚率が上昇の一途をたどっているのも事実。そして離婚はしたものの、しばらくは自由は満喫できても忍び寄る「さびしさ」には堪え切らない。またまた「婚活」を活発化させる。
 「婚活」の勢いは止まりません。今や、老いも若きも「婚活」花盛りの様相です。