上海余話その二

中国の交通マナーの悪さと言おうか特異性はつとに有名である。
北京や上海と言った大都市圏ではさすがに規制も厳しくなって昔ほどのことはないが、中国をはじめて訪れた日本人ならそれでもびっくりするに違いない。
主要な交差点には最近は交通指導員がたくさん立っていて、ここだけは日本とあまり変わらないが、指導員のいない交差点では、歩行者はまず信号無視、自動車は横断中の歩行者がいてもまず止まらず、結構なスピードで突っ込んできて歩行者をかいくぐるようにして走り抜けていく。
正式の横断歩道を横断するのはまだいい方で、片道3車線4車線あるような幹線道路でもいたるところで人が横ぎっていく。車が車なら、人も人。
ある時こんなことがあった。
上海の裏町の一角で、人も車もいっぱいの交差点で横断歩道を渡ろうとしたとき、背後から左折車が突っ込んできたので危険を感じて立ち止まると、車は止まるどころかこれ幸いと前を走り抜けていく。渡り終わったところにはたまたま警察のパトカーがいてその横に警官が立って平気な顔でこちらを見ている。ちょっと腹が立ったので、その警官に、中国でも歩行者優先の交通法規があるはずだが注意しないのか、と咎めると、「私はそんな専門的なことは知らない。命が惜しければここのルールに従いなさい。」。もうあきれ返って二の句も次げなかった。
またこんなこともあった。これは中国に行かれる皆さんには是非注意していただきたい。
上海駅のすぐ南に天目西路という幹線道路があってたくさんの人が渡る横断歩道がある。
ここで信号待ちをしていたんだが、歩行者道路の向こうからは何台ものモーターバイクが走ってくる。中国ではこうして歩行者道路をバイクが走っている光景はよく見る光景で、さほど気にも留めていなかったんだが、突然右手にしていた旅行用のキャリーバッグがバイクに引っかけられ転倒、キャリーバッグを離さなかったものだからそのまま数メートルは引きずられたであろうか、運よく女性運転のそのバイクから外れて事なきを得たわけだが、ここでもまた怒り心頭。
というのも、すぐそばに警官が立っていて、立ち上がったぼくを見てニヤニヤ笑っている。本当なら、ちょっとした交通事故なんだからニヤニヤ笑っている場合ではないだろうに、まったくこん畜生ったらありゃしない!
これには後日談があって、このことを西安にいる友人に話したところ、上海では少ないが地方ではしょっちゅう起こる犯罪で、バイクの下に引っかける金具を取り付け、ぼくのようにボーっと立っている旅行者を狙らう「引っかけ引き」ならぬ一種の置き引き犯罪だということだそうで、またまたあの警官はいったい警官なのか、と怒髪天を衝いた次第である。
まだまだこれだけではない。
中国、良くも悪しくも、過去からずーっと関わってきた国であり、これからも関わっていかなければならない国である。
交通事情一つをとってもこと左様に、こちらの常識では測れないカオスの国なのである。

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=S2qPhlWkVQ4[/youtube]

 

上海余話

オスプレイの沖縄配備問題に揺れている日本。
ふと中国上海での日常で思い出したことがある。
上海と言えば中国第二の大都市。とはいっても人口で比較すれば、北京は約1700万人に対して上海は2100万人だから、経済規模の点からいっても中国ナンバー・ワンの都市だと言っても差支えない。
ちなみに東京地域の総人口は3700万人で傑出して世界ナンバー・ワンというから、中国との人口比較からしても、いかに東京が人口密集地帯であり、これからの日本を考える際に極めて重大な問題を抱えていることを知るべきである。
その上海にいて、いつも気になっていたことがある。
毎朝10時くらいだろうか、夕方にもあったような気がするが、上海の北西方面からジェット戦闘機が2機、轟音を轟かせながら、極めて低空で上海上空を2回か3回大きく旋回するのである。
それだけではない。月に1回くらいだったように思うが、真夜中に同じような旋回飛行がある。ジェット機のヘッドライトが窓に飛び込むこともあり、安眠妨害も甚だしい。
日本ではまったく体験しなかったし、語られていない光景で、慄然とする思いと、これをどう考えたらよいのか、いろいろと自分なりに推測したものである。
常識的には訓練飛行なんだろうが、あの広い中国だ、何もこんな大都市のど真ん中でやらなきゃならない必然性もない。
常在戦場を上海市民にも自覚させる政府の意図なのか、それとも、ともすれば北京政府を脅かしかねない上海勢力に対する威圧行為なのか、その辺のことは専門家ではないぼくにはわからない。
いずれにしろ、こんな大都会の上空をジェット戦闘機が毎日飛び交っている中国とオスプレイ問題に揺れる日本。
何をもって比較対照すべきか、実に難しい問題であるが、自分が垣間見た中国に対峙していかねばならないことは事実で、政治家をはじめとして、日本国民全体ももっと自覚を新たにしなければならない。