TPP

 

TPP問題は実に難しい。
参加すべきかそうでないか、国論は真っ二つに分かれている印象だ。
我々一般の人間にとっては、どちらに与(くみ)すべきか、確かな知識を持って判断するにはあまりにも問題が多義にわたっているし、そのどれ一つをとっても専門性が高すぎて難しすぎる。
だからと言って、高みの見物を決め込んでいいかというと、そういうわけにはいかないし、いけないと思う。
民主主義の原点は、自分の持てる限りの判断材料で自分の意見を述べ、社会に参画していくことだ。
専門家の意見を聞き、できる限り多くの人の主張に耳を傾け、自分自身の主義主張を持つことは大切なことだ。
そうした一人一人の意見の集積が世論になり、国を動かしていくのだし、土台になる。

昔、岸信介という政治家がいた。
1960年安保のとき、「声なき声」に耳を傾けるのが政治家だというようなことを言ったが、彼の主義主張を超え強く印象に残った言葉だ。
ちなみに、1969年のニクソン演説でも「the great silent majority(物言わぬ多数派)」と言って、兵役を逃れんがためにヴェトナム反戦運動をする学生に対して使ったこの言葉も、岸の「声なき声」を引用したものだろう。
我々一般の人間は「声なき声」をあげ、「物言わぬ多数派」を形成してこそ国民だ。

TPPに参加すべし。これがぼくの意見だ。
おおざっぱなことしかわからない。
いろいろ自分なりに勉強もしたし、テレビ番組その他で政治家や専門家の意見を聞いては見たが、結局はよくわからない。
無責任な判断かもしれないが、賽の目を振ってみよう、メリットに一部の利ありという判断だ。

デメリットに重きを置く意見は、日本の弱点、短所がさらに助長され、国内的にも国際的にも立ち行かなくなるというような、保守的、保護的ニュアンスの強い意見だと思う。
それに比べて、メリットに重きを置く意見は、日本の強点(ぼくの造語;弱点の対義語が見当たらない)、長所を助長し、国内的には既得権益にしがみつこうとする勢力をぶっ壊し、国際社会に打って出ようとする勇ましさ(何と情緒的な表現!)がある。

下に掲げたTPP参加による「◆デメリット」、「◇メリット」は、「デメリット」を主張する「Hatena Diary」の「未知の楽園」から引用させてもらった。(http://d.hatena.ne.jp/rio_air/20111020/p1

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◆デメリット
1. 公的医療制度の崩壊。(手術・入院で数百万円・お金の無い人は治療が受けられなくなる。)
2. 生産性の低い正社員の大量リストラ・非正規雇用の増加。
3. 採算の合わない工場の海外移転加速とそれに伴う大量失業。
4. 公共事業の入札への外資参入による地方の経済疲弊。
5. エネルギー・放送・通信・鉄道・航空・貨物・武器等の基幹産業の企業を外資が買収可能になる。
6. 郵貯・簡保・共済を外資に買収され、その資金(数百兆円)の運用権を握られる。
o (その他の金融機関・保険会社も今以上に買収のリスクに晒される。)
7. (関税の撤廃による)第一次産業の衰退とそれに伴う失業と食料安全保障の危機。
8. 総GDPは効率化により増えるかもしれないが、経済格差や生活の質(特に医療面で)が悪化する可能性大。
◇メリット
1. 様々な分野での構造改革の起爆剤になる。
2. 外交上、アメリカとの関係がより緊密になる。(より強い隷属という形で。)
3. 海外進出を進める多国籍企業にとって大きなビジネスチャンスになる。
4. 労働市場において、本当の能力主義が育つ可能性が高くなる。
5. 外資のベンチャーキャピタル等から投資を受けて、新しい事業が生まれる可能性が増える。
6. 選挙を通じては成し得ない、様々な社会保障費(医療・介護)の削減を「外圧」を理由に断行できる。
7. 既に「社会の公器」という理念を忘れかけている電力・マスコミ業界を競争に晒して原点に立ち戻らせる。

原子力

12月16日の総選挙を控え、テレビをはじめとするマスコミは連日総選挙関連の報道番組一色である。
そんな中、米航空宇宙局(NASA)は3日、1977年に打ち上げられた無人探査機「ボイジャー1号」が、太陽系の果てに近い新たな領域に到達したというニュースが流れた。(http://www.cnn.co.jp/fringe/35025216.html)。
1977年といえば、1964年の東京オリンピック、同年の新幹線開通、1970年の大阪万博、その間1968年にはGDPが西ドイツを抜いて世界第二位に躍進というように、まさに日本の高度成長期を経て、1973年の第一次オイルショックで一時的落ち込みはあったものの、日本列島改造論が飛び出し、高度成長の余波が続いていたわけだ。
この高度成長を支えていたのがまさしく電気エネルギーで、その電気エネルギーも水力発電では追いつかず、エネルギー効率も良い石油、石炭を燃やしてできる火力発電が主力になってゆく。
日本列島改造論に合わせて、道路網・鉄道網の建設とともに火力発電所lの設置が急速に拡大してゆくわけだが、当初、原油価格は安く、石炭に比べればはるかにエネルギー効率の良いということで火力発電は原料をもっぱら石油に依存してゆく。
三池炭鉱、夕張炭鉱といった石炭炭鉱は次々と消えていき、もう石炭は見向きもされなくなる。
そんな中の第一次オイルショック、そして1979年の第二次オイルショック。
民族意識に目覚めた産油国は次々と原油価格を上げてゆく。エネルギー資源としても石油に大きく依存していた世界中がパニックに陥ったわけだ。
石油、石炭に依存しないエネルギー。
それまでにも原子爆弾のとてつもないエネルギーをなんとか平和利用できないかと研究開発を進めていた原子力エネルギー、日本もいち早く原子力エネルギー獲得を目指して原子力発電の開発に取り組むわけだが、オイルショックがさらに拍車をかけることになる。
1975年には官民一体になって今や原子炉の標準型になっている「軽水炉」の標準化に向けてスタートしてからは、国内のいたるところに原子力発電所が設置されていくわけだ。
さらにさらに拍車をかけたのが、深刻化する大気中の二酸化炭素増大による地球温暖化問題。
民主党政権に代わってすぐの2009年9月、鳩山首相が国連で、二酸化炭素を2020年までに1990年比で25%、2005年比で33.3%削減して地球温暖化を防ごうと提案、各国首脳から拍手をもって賛同されたわけだが、この時点で、建設中4、計画予定9、合わせて13の原子力発電所を新たに作ろうとしていたわけだ。
福島原発事故はこの原子力エネルギ―活用の継続を巡って大問題を提起した。
今回の総選挙でもこれは最重要な争点になっている。
今後の日本の行き先を左右する重要問題だ。

冒頭に「ボイジャー1号」のニュースを取り上げたのは、光の速さ(約30万キロメートル毎秒、つまり太陽から地球まで約8分20秒、月から地球は2秒もかからない速さ)で13時間もかかる距離にあるボイジャー1号から送られてくる信号の動力源が「原子力電池」であることに注目したからだ。
人間が獲得した叡智は、人類に多くの恩恵をもたらしたが、使い方を間違えば、多くの災害、被害、虐待ももたらした。
それは原子力という20世紀最大の発見だけではない。
原子力が生み出すエネルギーもうまく活用すれば、まだまだ人類に恩恵をもたらす気がするのだが、この考えは甘いのだろうか。