「さん太」から「Santa」

 
なぜ「Santa」なんだと時々聞かれる。話せば長くなるから「うーん」といっただけで、もうそれ以上は誰も聞かない。
別に聞いてほしいわけでもないんだが、その由来を考えると、今の時代をふと考えてしまう。
「Santa」はこうしたwebの時代に合わせたニックネームというか、ハンドルネームで、もともとは「さん太」というのが僕のニックネームだった。
中学生の時、阿部次郎の「三太郎の日記」という本をたまたま持っていたら、ぼくの取り巻きの悪童たちが「なんじゃ、これ、さんたか」とあざけった事から、それ以来みんなが僕を「さん太」、「さん太」と呼ぶようになった。皆はもちろんこんな小説を知っていた訳はないんで、ときには多少揶揄するような口調で呼ぶこともあったが、僕は決して不愉快には思わなかった。なにぶん中学生だからそんなに深い意味が分かってたわけではないんだろうが、「三太郎」がとても好きだったし、そんな考え方、生き方に憧れをもっていたからだ。
ところで今の中学生や高校生はどんな本を読んでいるんだろう。いや大人でもそうだが、書店に並べられている本であまり哲学的な本を見たことがない。今の読書事情をよく知って言うわけじゃないから偉そうなことは言えないし、ぼく自身だって最近はそんなたぐいの本はあまり読まないんだけれど、新刊本のコーナーを見て思うのは、「軽い」本がやたら多い。読んでみれば中には手ごたえのある本もあるのだろうが、表題からして「人受け」を狙っているようで、それだけで僕などは読む気がしない。
最近では村上春樹の「1Q84」が話題に上って、予約しても手に入れることができなかったとか、200万部を超えたとか言っているけれど、だから当分は読まないつもりだ。しばらくしたらみんなの評価も定まるだろうから、読むに値する本なのかどうかわかるだろうからそれまで待つつもりだ。
「ハリーポッター」なども話題に事欠かない本だが、まだ読んだことがない。生徒などはよく読んでいて、あらすじを教えてくれるんだが、今の僕には読書欲をそそられる本ではない気がする。
概して、これも時代の流れなんだろうが、じっくり腰を落ち着けて沈思黙考、本と対決するような本が少なくなってきているように思うんだが、みなさんどうだろう。
「三太郎の日記」は今でも深く心に残っているし、今読んでもまた心にさざ波が立つ。ひょっとしたら、僕が成長せんじまいにこの歳まで来てしまったのかもしれない。
 

「さん太」から「Santa」」への1件のフィードバック

  1.  Sanntaさん、ご無沙汰してます。私は「君たちはどう生きるか」が、一番、印象に残っていますね?しかし、中学の時ではなくて、高校ですね。そのあと、石母田正の「歴史と民族の発見」(正、続)に、衝撃を受けたように思います。そこから、「魯迅」を知ったって感じですね?ははは、昔のことです。

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