小学何年だっただろうか。当時大阪千林商店街の洋服店に勤めていた母の妹、つまり叔母が「店に来たらハーモニカを買ってあげるよ。」と言ったことから、日々悶々の日が続いたことが今も思い出される。
なぜハーモニカなのか、僕が欲しいと言っていたのか、そのあたりのいきさつはまったく覚えていない。
ともかくハーモニカが欲しくて、我が家から歩いて片道3,40分のところにある叔母の店に行くのだが、気の弱い僕は店に叔母がいるのか遠くから確かめるのがせいぜいで、叔母に来たことを告げるどころか、叔母の姿が見えようものならば、見つからないように逃げ出す始末。そして何度か店の前を行き来するだけで、また今度来ようと諦め、商店街にある楽器店に寄ってはガラスケースに並んでいるハーモニカを眺めてため息をつき、やがて家路に着く。
そんなことが何日、いや何ヶ月続いたことだろう。その間、叔母は何度か我が家に来たことがある。その度に「ハーモニカを持ってきてくれていないかな。」と期待するのだが、叔母はハーモニカのことなんかすっかり忘れている様子で、僕の苦しみなんかまったく感づいてもいない。
叔母はどんな気持ちであんなことを言ったんだろう。とうとうハーモニカは手に入らず今日に至っている。
叔母はどんな気持ちであんなことを言ったんだろう。とうとうハーモニカは手に入らず今日に至っている。
santa-san
ふふふ^^なんて、純粋で可愛い子供でしょうか^^
私がプレゼントしたくなります^^♪それにしても、素晴らしい文章ですね^^
読んでいて惹きこまれてしまいます。思わず笑顔になってほっこり^^