大阪万博そしてカジノ

2025年大阪万博は、開催前から費用が大幅に増大し、当初の1250億円から2350億円へと膨らみ、最終的には3000億円を超える可能性も指摘されています。インフラ整備費用を含めると、その総額は10兆円を下らないという試算もあります。これほどの巨費が投じられる一方で、会場建設の遅れや運営体制の不透明さ、予定入場者数2800万人を大幅に減少して1600万人に届くかどうかなど、多くの問題点がWebサイトやYouTubeを中心に連日報道されています。しかし、テレビなどの公共電波を使った報道では、これらの問題があまり取り上げられていません。

今年で戦後80年を迎える日本社会を振り返ると、最初の40年が重工業や大型製品が主流であった「重厚長大」の時代、そしてその後の40年が小型化・軽量化が進み、情報化やサービス業が中心となった「軽薄短小」の時代と言えます。「軽薄短小」は、物事が軽く、薄く、短く、小さいさま、また、内容などが薄っぺらで中身がないさまを指す四字熟語ですが、経済誌の日経ビジネスなどが「軽薄短小」という言葉を使って、1980年代の世相を表現したことで、広く知られるようになりました。1970年に開催された大阪万博は「重厚長大」の時代を象徴する大規模なイベントでしたが、今回の2025年大阪万博は、まさに「軽薄短小」という言葉が持つ効率化や利便性といったポジティブな側面よりも、内容の薄さや準備不足といったネガティブな側面が目立っています。

会場となっている大阪湾の埋め立て地「夢洲」は、他の埋立地とは異なり、主に生活廃材で埋め立てられたため、地盤が非常に弱いという問題を抱えています。本格的な建造物や高層建築には不向きなこの地に、当初はIRカジノを誘致することで活用が検討されていました。その露払いが大阪万博であったわけです。

そもそも日本では賭博行為は刑法185条によって禁止されている犯罪行為です。しかし日本は、パチンコを筆頭に競馬や競艇、競輪、totoなどは娯楽として認めらる世界的な賭博大国なのです。大矛盾ですね。にもかかわらず、さらに、2018年7月20日、国会で「IR実施法案(別名:カジノ法案)」が成立しました。それに飛びついたのが大阪府・市です。

大阪府・市が目指すIRカジノは、2030年秋の開業を予定しており、すでに1兆2700億円の投資が計画されています。運営事業者はMGMリゾーツとオリックスを中心とした企業グループで、年間約1兆円の経済波及効果と約15,000人の雇用創出が期待されています。これが今や大いに?。しかし、大阪府の夢洲ではIR建設計画が着々と進められ、すでに2025年大阪万博会場の隣では、なぜか目隠しして工事が始まっています。

ただし、2025年大阪万博同様、IR誘致の経緯や会場建設、運営体制の不透明さなど「軽薄短小」ばかりが目立ちます。例えば、ギャンブル依存症対策やインフラ整備の公費負担、さらに地盤の液状化や土壌汚染対策などが懸念されています。また、世界のIRカジノを見渡しても、成功しているのはわずかで、成功していても尻すぼみ状態がほとんど。計画の遅延や事業者の撤退リスクも指摘されています。
大阪府・市が2030年開催を目指しているIRカジノには、様々な側面から再検討する必要がありそうです。

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