現し身の 心も染むる 秋の彩

Noyama and Sato are completely in fall.  When expressed in color, spring is green and autumn is red.  Since the evening is also red, everything is red at the end.What color is the end of life?

野山も里もすっかり秋です。色で表すならば、春が緑だとしたら秋は赤ですね。夕日も赤ですから、赤が万物の最後の色かもしれません。

実際に、物理学的にみても、赤は緑に比べて波長は長く振動数は少ない、つまりエネルギーは少ないわけです。

赤外線はせいぜい熱を伝えてくれて温っかくしてくれる程度ですが、紫外線は怖い。緑は緑線と言いましょうか、そんな言葉はありませんが、赤外線と紫外線の間にある。

紫外線ともなれば、衣服の色は変えるし、物の特質を変えてしまいます。癌を発症させる働きもある。化学作用が強いわけですね。だから色から受ける印象も、紫に近いほどストレスを感じさせますし、赤に近いほど癒しを感じます。

秋は赤ですから、人の心も和むのでしょう。

とすれば、人生の最後はやはり赤なんでしょうかね。

いじらしく 半年咲いた ブラキカム

Brachycam is also called princess cosmos in Japan because it resembles cosmos.  It begins to bloom from spring and continues to bloom until late autumn.  Because of its touching appearance, the flower language is “touching ”.

ブラキカムは俗称で正式にはブラキスコメと呼びます。

コスモスによく似ていることから、和名はヒメコスモスですが、同じキク科の植物でも原産地が違います。コスモスは北アメリカで、ブラキカムはオーストラリアです。

春の3月頃から咲き始め、晩秋の11月下旬位まで咲き続ける花期の長い植物で、雨期を凌ぎ、酷暑に耐え、咲き続けるので「いじらしい」という花言葉を持つ花です。

季節季節にしか咲かない花、こうして春夏秋と咲き続ける花、その多様性はどこから来るのか実に不思議です。

植物があるからこそ、その炭酸同化作用で動物も生きられるわけですから、地球上の命の源泉であり、太陽エネルギーの仲介者です。

今年は、アマゾンで猛威を振るう森林火災で、地球の酸素の20%を生産するというアマゾンの重要性と火災対策の緊急性を訴える報道が盛んにされましたが、この20%は根拠はともかく、急速に失われていく植物を守ることは重要です。

籾焼きの 香り広がる 棚田かな

On the rice terraces, rice has been finished to be harvested, and the smell of burning the chaff is spreading. Only the crow’s cry is echoing there.

大阪の千早赤阪村下赤坂の棚田です。稲の収穫も終え、籾殻を焼いた黒い小山が田んぼに残っています。

香ばしい香りが辺り一面に漂い、煙たさが目に染みるのか目が潤みます。

この辺りは大阪では雪深いところ。今はそれほどではありませんが、冬は眠りにつきます。

人影もなく、カラスの鳴き声だけが無性に響き藁ります。

あの時を 思い出すのも リンゴかな

The apple has turned red.  Every time I look at an apple, many things remind me. A cheerful apple song, an athletic meet, an excursion, a mountain climb, there were always an apple. Everything is a happy remembrance.

リンゴが真っ赤になりました。一夏の陽光をいっぱいに閉じ込めたリンゴ。一夏を思い出すだけでなく、昔々の事がいっぱい甦ってきます。

道の真ん中で開いた町内会のコンサート、ミカン箱のステージでおっちゃんが歌っていた笠置シズ子の『リンゴの唄』。小学校の運動会や遠足には必ず持って行ったリンゴ。登山でチョコレートやチーズばかり食べたせいでお腹に溜まったガスを出してくれたリンゴ。

思い出したら切りがありません。いつもそこにはリンゴがあり、楽しい思い出ばかりです。

鳥たちの 毒見済みだよ 熟柿

Kaki bore a lot of fruit. It’s astringent, but it has already got sweet when the birds start eating.

鳥たちもよく知っていて、柿がまだ渋い時は食べに来ません。甘くなるとやってきますから、鳥が啄んだ柿があると甘くなってきた証拠です。

渋柿を硬いまま食べたければ、渋抜きをして食べることもできますが、生成りのままにしておくと柔らかくはなりますが、甘柿以上の甘さになります。

まだ多少硬くても色がしっかり赤くなっていたら取り時です。鳥はジュクジュクに熟したものから食べます。最近はヒヨドリやカラスが味をしめたのか盛んに来ますので競争です。

鶏頭が 道にはみ出し 顔認証

A large chicken head that is about the height of a person protrudes into the road. It is as if the face of the person passing the road is being authenticated.

道を歩いていたら、家に生垣から大きな玉の鶏頭がぬっと道にはみ出しています。ちょうど顔の高さなので思わず挨拶をしました。人相が悪いのか頭を引っ込めてくれませんので、潜って通り抜けました。

潜り抜けた向こうには、刈り取りもほぼ終わり、脱穀も終えた藁こづみが涸れた田んぼのあちこちに立っています。もみ殻を焼く香ばしい香りも漂ってきます。

日を追って深まりゆく秋。この平穏がいいのか悪いのか。寂しさだけが募ります。

箒木(ほうきぎ)が 秋を清めて 今日の富士

Kokia on the shore of Lake Kawaguchi in the foot of Mt.Fuji has turned red. Kokia is known by the Japanese name as broom tree or broom grass. Kokia is actually dried and used on the broom. It is green from spring to summer, but turns red in the fall.

富士山の裾野にあるかわぐち湖畔のコキアが葉を赤く染めました。

春から夏にかけては若草色から徐々に緑の変わり、秋には真っ赤に染まります。和名では箒木(ほうきぎ)とか箒草とか呼ばれています。実際に、コキアを乾燥させて箒を作ります。

秋田にはこの実を収穫して、畑のキャビアと言われるほど美味しい「とんぶいり」という郷土料理があります。

源氏物語の『箒木(ははきぎ)』の段にもある通り、平安の昔から知られた植物です。

黎明に 初冠雪(ういこうぶり)は 富士の嶺

It is the first snow of Mt.Fuji in the 1st year of Reiwa era. It is a beautiful figure suitable for the new era. I am confident that this is a peaceful and productive era.

10月22日富士山で初冠雪が観測されました。7合目まで真っ白く雪をかぶった富士山はまさしく秀麗です。

なんと平年より22日遅れ、去年と比べて26日遅れだそうです。ちなみに、最も早いのが8月9日(2008年)、最も遅いのが10月26日(1956年、2016年)です。

最近の豪雨といい、台風の大型化といい、地球の温暖化現象の影響がますます深刻化しているようです。富士山は私たちに警告を発しているのです。

世界の温暖化対策を見ていても遅々として進まず、各国のエゴがむき出しです。人間は一方では途轍もなく賢いのに、一方ではなんでこんなに馬鹿なんでしょう。

生態系が狂い、世界が飢餓状態に陥って、またまた第三次世界大戦のようなことが起こらなければ分からないのでしょか。子、孫のことを思うといたたまれない気持ちです。

四万十の 冴え行く秋に 寺の鐘

The Shimanto River is one of Japan’s leading clear streams.  The river is full of fish that can only be found in the clear stream. The autumn flowers are in full bloom around the river.  I can hear the temple bell from a distance in the clear air.

四万十川は日本有数の清流です。川にはアユが泳ぎ、清流にしか棲まない川魚がたくさん泳いでいます。

水は命の源泉。「水清ければ魚棲まず」と言う諺がありますが、これは人間の世界のことであって、自然界は必ずしもそうではありません。

牡蠣や海苔は適度の汚れがあるからよく育ち、食べても美味しいという生き物、食品もありますが、水がきれいに越したことはありません。水がきれいと空気もきれい。水や空気がきれいと、花もきれいし、作物もよく育ちます。

今、世界は海洋汚染、土壌汚染が蔓延し、地球存亡の危機に晒されつつあります。日本はそんな意味でもリーダーシップをとれる国です。そういう国になって欲しいものです。

暮れ六つの 鐘にも一葉 散る紅葉

The rushing trees are already starting to drop leaves. There are also leaves that scatter even by the sound of temple bells telling pm 6. It is a scene that makes me feel the sense of transience of life.

まだ夏の名残を残す中、本格的紅葉シーズンはこれからだというのに、早々と散り急ぐ木々もあります。ほとんど風もないのに、午後6時を知らせる暮れ六つの鐘の音にも1枚の葉が散っていきました。世の無常を知る瞬間です。