新そばー朽木の里ー

京都白川通りを北に上ると高野川に出る。高野川に沿って国道367号を上っていくと寂光院や三千院で有名な大原の里に至る。今日はここが目的ではない。
この国道367号、俗に鯖街道というがこれをずっと先にたどると滋賀県高島市の朽木(くつき)の里に至る。街道筋には何軒もの鯖寿司を売る店があり、そばを打つ店がある。今日はその新そばを求めてはるばるこの朽木の里にやってきたというわけだ。
目星はつけてあった。というのも、11月の初めだったか、もう新そばが出ているのではないかと訪ねた店がある。ちょっとせっかちだったか、「お客さん、新そばはこのあたりでは11月下旬でなけりゃ出ませんよ。」と言われ、赤っ恥をかいた店である。旭屋とかいう店で駐車場も広く、店のたたずまいもいい。
12時少し前ということもあったし、ウィークデイということもあり客は誰もいない。
店に入ると上品そうな店のお上さんがメニューを持ってきたが、新そばはざるに限る。この辺り鯖寿司が名物だからそのセットもあるが、そんなのは目ではない。大盛りもあったが、群馬県の十割そばで大盛りをとり、食べ切れなかった苦い経験があったから、ひとまず並みにした。1370円也という中途半端な値段が気になったが、量もたっぷり、大盛りを注文せずによかった。色も少し青みを帯び、香りも心地よい青臭さがほのかに残る、これぞ新そばだ。
長さ3メートルくらい、厚さ10センチくらいはある一木造の欅のテーブル、小粋な木の椅子、そこここに置いてあるちょっとした調度品に店の嗜みが感じられる。
美味しかった。ちょっと寒かったけれども、今度はあったかいのにしよう。それにそれに、今日は特別、竹節の小さな碗にプリンであろうか、底には小豆が沈んだ京菓子が振る舞われ、香りの良いコーヒまでいただいた。
ここまで来た甲斐があったというものだ。大満足。
近くに「天空の湯」といういい温泉があるので、のんびり湯につかりながら今年最後の秋を見届けることにした。

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