先日散髪屋に行った時のこと。散髪が終わると散髪屋さんが頭の後ろを鏡に映しだして仕上がり具合を見せてくれるのだが、あれっ、後頭部の下に丸くきれいに白髪になっているところがある。
それ何?と聞いたら、円形脱毛の跡だという。
ええっ!円形脱毛? 円形脱毛と言ったら強いストレスが原因でできるということを聞いていたんで、とっさに、円形脱毛ができるほど強いストレスを感じていたのはいつのことだろう、何だろうと振り返るものの、これといって思い当たることがない。
というよりも、あれかな?これかな?と強いて思い出せばないことはない。結構あるんだが、これだという決定的なものはない。
そういえば、5,6年前に十二指腸潰瘍を患い、その1年後に再発し、昨年は3度目の再発。たまりかねてそれまでアレルギー懸念で見送っていたピロリ菌除去にも挑み今日に至っているわけだが、十二指腸潰瘍もストレスが原因だとか。
円形脱毛にしても十二指腸潰瘍にしても、どちらかといえば若い人や働き盛りの人が多くかかるというから、俺って、ひょっとしたらまだまだ若いんだとか、能天気と思っていたんだがけっこう神経質だったんかなとか、自惚れともつかない自己判断は置くとしても、やはり客観的にはストレスにさいなまれていたわけだ。
このストレスという言葉、自律神経失調という言葉と同じで、実に都合よく使われ、体のどこかが悪いとか、心に何か不調があるときに、その原因が具体的に特定できなければ、その原因の持っていきどころとして医者でさえ安易に使い、患者も医者からそういわれれば納得してしまう呪文のような言葉だ。
ストレスという言葉はもちろん英語のstressからきた言葉で、もとは言葉に強勢を付けるという意味でアクセントをつけるという意味なんだが、転じて心の緊張とか圧迫という意味でよく使われる。
心に緊張が続けば胃腸や脳や心臓の血管が収縮し、栄養や酸素を絶たれた細胞が病変することにより、潰瘍になったり、脳神経に異変が起こったリするからストレス病(Stress Disease)という言葉もあるくらいだ。
いずれにしろ、まさかの円形脱毛ももうわずかに禿が残っている程度で、白髪が生え揃い、ずいぶん前にかかったんだろうが、どういうストレスが原因なのかいまだもって思い当たる節がないから、今はかえってその無自覚さに不安がよぎる。