今年成人式を迎える新成人は122万人で、第一次ベビーブーム世代が成人を迎えた1970年の半分だそうだ。
1970年といえば大阪万博があった年で、東洋の奇跡(Japanese Miracle)といわれた戦後の経済成長が安定成長期に入る一歩手前、円相場が1ドル=360円にかろうじて踏みとどまった最後の年になる。
翌年の1971年にはニクソン・ショックで円が一気に306円に急上昇、1990年代初頭のバブル崩壊まで経済成長は続いたものの、円はどんどんどんどん上がり続け、一時は70円も突破かというところまで上昇、それに比例するかのように景気は下降の一歩をたどることになる。
日本人の平均年収も1997年の471万円をピークに今や406万円に下落した。
新成人の親達世代(50歳前後)はある意味経済成長期の恩恵に浴し、お爺さんお婆さん世代(75~80歳)はその働きもあって余剰金を貯蓄にも回せる余裕もあった。
そして今や日本の家計貯蓄残高1500兆円、上場株式会社の内部留保金300兆円、合わせて1800兆円が国の借金1000兆円を上回っているからギリシャの財政破綻とはわけが違うという論理がまかり通っているわけだ。
20歳代、30歳代は住宅購入のために負債が貯蓄を上回っている一方、60歳代、70歳以上で平均貯蓄残高が2千万円を超えていて、60歳代で年収が566万円、70歳代でも460万円もあるというから、老壮世代と大会社がひたすら貯蓄を増やし、財を抱え込み、経済循環を閉ざし、景気を後退させ、それが故に自らをいっそう不安に駆り立てる負のスパイラルに陥っているのが現状で、安倍政権がこれをいかに取り崩し、経済の淀みを解消して景気好転を図るが問われている。
新成人は違う。
時計・精密機器の「セイコーホールディングス」(東京)が新成人を対象に実施したアンケートでは「将来への不安を感じている」との回答が、9割近い87.9%に。これから大切にしたいものはという問いには、「お金」が41.3%でトップとなったそうだ。
就職難や国の先行きの不透明さなど、日本の冷え込みぶりを肌で感じている新成人。閉塞した現状への強い失望感がにじみ出ている。
いい歳をした息子や娘たちに結婚資金を出し、家を買ってやり、孫の学資金まで出してやる。だから、孫の学資金には免税をということまで叫ばれ出している。
変だと思わない?
活力に満ちた20代、30代がもっともっと生き生きと、爺さん婆さんの世話は任してよと言うくらいの社会でなきゃ、健全な社会とは言えないと思うんだけどなあ。