アメリカの短編小説家オー・ヘンリーに「After Twenty Years」という名作がある。
New Yorkで兄弟同然に育った18歳のBobと20歳のJimmyは、レストラン「Big Joe」で20年後の再会を約束し、翌朝、西部に運命を託すBobは、New Yorkをこよなく愛し離れることができないJimmy を残し旅立っていく。そしてちょうど20年後の午後10時、ダイヤモンドをちりばめた腕時計姿の’Silky Bob’は、氷雨降るNew Yorkの約束の場所で立っている。そこに警ら中の警察官がやってきて、ふた言み言ことばを交わすが、警察官はそのまま立ち去っていく。すぐその後、Jmmyになり済ました私服刑事が近づいてきて、指名手配中の’Silky Bob’を逮捕、連行していく。刑事から手渡されたJimmyの手紙には・・・。と、ざっとこんな話だ。
Jimmyは、はたして、約束を覚えていてそこにやってきたんだろうか、偶然やってきて、といつも思うことだ。
お彼岸の中日、偶然出くわした人の群れに巻き込まれるまま、ある有名寺院に参詣することになった。
その人込みを歩いていく中、すれ違いざま、30歳前後の女性と一瞬視線があった。確かに見覚えのある顔だ。もう10年以上も前に教えたことのあるAさんに違いない。美人で特徴のある顔だったからよく覚えている。向こうは気づいたのかどうか、気になったぼくは、UターンしてそっとそのAさんの後を追った。ひとりで、ジーパン姿に大きなハンドバッグを肩からしょい、歩く姿に元気がない、どこか拗ねた歩き方だ、と思えた。ときどき立ち止まっては露天の店の商品を覗き込んでいる、その時見える横顔に、あの昔のはつらつとした表情とは打って変わった精気のなさに、わが身も顧みず、10年の歳月の流れと彼女がたどったその後の人生に思いを馳せた。極端にいえば全くの人違いかもしれない。たまたま、その日はそんな姿かたちであったのかもしれない。できたら、人違いでもいい、言葉をかけてみたかったが、そんな勇気も湧いてこず、たとえAさんであったとしても、Aさんは喜ぶはずもないだろうと、あきらめた。
高校の副読本に「O.Henry Short Storys」があり この20年後も 読みましたそして 私たちも卒業後20年たったら バックネット裏のイチョウの木の下で会おうと卒業式の日に約束しましたイチョウの木は 公社改築に合わせ 場所を変え 枝を落とされましたが 今もあります20年 長い年月ですが 団子花がわし鼻にはならない といった言葉で終わっていましたねわし鼻が団子鼻だったかな今は美容整形が盛んで どんな鼻にでも自由自在 黒人が白人にも慣れる世の中になっています