男女平等

世界経済フォーラム(WEF)による世界各国の男女平等の度合いを指数化した2012年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は135か国中101位だそうである。
この調査では、
1.経済活動の参加と機会・・・給与、参加レベル、専門職での雇用
2.教育・・・初等教育や高等・専門教育への就学の度合い
3.健康と生存・・・寿命の男女比
4.政治への関与・・・意思決定機関への参画
の4つの分野における男女格差を指標化して順位付けをしている。
日本は、
3.では女性の平均寿命が世界一であるから当然のこととして1位。
2.の分野では初等教育では識字率も含め1位であるが、高等・専門教育への就学率で男女格差が大きく50位前後に順位を下げ、
特に評価を下げた最大要因は経済界と政界への進出率が低いこと。特に管理職への登用(女性10%,男性90%)や議会への従事(女性9%,男性91%)において男女の格差が大きく、結果的には101位ということになるのだそうだ。

この「ジェンダー・ギャップ指数」には様々な批判もあり、別の国連調査では日本もかなり高順位に評価するものもあるから、この指標、評価をもって一部マスコミが騒ぎ立てるほど日本が男女平等後進国だと卑下することもないと思うのだが、日本の現状をあぶりだしているのも確かだ。

経済活動における男女平等は、1986年から施行された「男女雇用機会均等法」、さらに1997年の全面改訂を経て2007年の再改定でほぼ法的には整備され、後は具体的な企業の取り組みにかかっているが、管理職への登用となるとまだまだ先の先ということになり、政治への関与に関しては逆行現象さえ起こっている。
また1999年(平成11年)には「男女共同参画社会基本法」が制定され、男女が互いに人権を尊重しつつ、能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現を目指し、家庭生活だけでなく、議会への参画や、その他の活動においての基本的平等を理念として、それに準じた責務を政府や地方自治体に求める法整備も行われた。

世界経済フォーラム(ダボス会議)がこうした男女格差の問題を取り上げるのも人権問題から取り上げているのではなく、女性の地位向上が経済の発展につながるという観点から取り上げているのであるが、それではGDP世界第3位の日本の101位はどう解釈していいのか迷うところだ。
この指摘を逆手にとれば、日本における男女格差がもっともっと縮まれば、GDP世界第3位はおろか1位に躍り出てもおかしくないということにもなる。
それはジョークとしても、男女格差が原因の一つにもなっている少子化問題も喫緊の課題で、国の債務残高1,000兆円は解消しえない、なぜなら、少子化による国力減退は避けられず、日本の国債に手を出すことは極めて危険だと真顔でいう外国人経済アナリストも少なからずいるほどだ。

国の発展史は一直線で、近代ではアメリカがその先頭を走り、どの国もその後を辿っているという歴史観がある。
世界経済フォーラムもこうした歴史観に立つものと思われ、指標の基準を統一して、その標準に世界の国々を誘導しようとする意図さえ感じて嫌だが、日本は国内においてもそう、どうも横並びが好きなところがあって、こういう指標を示されたらすぐその標準に合わせなければというところがあるような気がしてならない。
確かに男女不平等な点は様々な分野で見られることは事実で、男であれ女であれ不当な扱いに対しては毅然として排除、改善を進めていかなければならないが、長い歴史で切磋琢磨されてきた伝統に基づく文化の表象でもある男女の役割分担も必然性に裏打ちされたものがあるのではないだろうか。
中国のように唯我独尊的かたくなさも考えものだが、ともすれば国のアイデンティティを喪失しがちな日本もいただけない。

何はともあれ、これからの日本を思うとき、男と女で担うのだから、どちらもが生きやすい国にしていかなければ豊かで幸せな国にはならない。

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