今日はテレビで「睡眠障害」の特番をやっていた。
睡眠障害に悩む人たちと、親子3代にわたってその治療にあたり実績を上げているクリニックの先生の物語だ。
睡眠状態を記録したグラフで患者の睡眠がいかに不正常な状態かを分析し、血液検査で「コルチゾール」が増加していること、睡眠中の「メラトニン」の分泌の減少していることがその原因であることを指摘する。患者は「なるほど、なるほど」とその的確な診断に敬服する。ここまではそれはそれでいいだろう。
さてそれではどうすればこの睡眠障害を取り除くことができるのか。先生はアメリカに留学して睡眠障害治療の先駆者に学んだ「光学的治療」が最適な治療法と信じ、それを実践している。簡単にいえば、室内照明はできる限り間接照明にしなさい、朝太陽が昇ったら窓をいっぱいに開けて朝の光を室内に入れなさい、そうすれば睡眠中の「メラトニン」の分泌量が増え、快適な睡眠を得られるようになる、と説く。もっぱら住環境の改善が睡眠障害の改善を促すという考え方だ。3か月これを実践した患者が出てきて、確かに効果があるような気がするとインタビューに答える。
さてさて、門外漢がとやかく言うことはないだろうが、ちょっと待てよ、どうもこれは根本的な治療法ではないなあ、という気がする。本当にこんな治療法で睡眠障害が改善されているんだろうか。一時的には改善されても根本的には克服されないことを危惧する。取り上げるならもっと大きな視点から、さまざまな視点から取り上げてほしかった、このままでは「番組広告」とも取られかねない、とマスコミにも苦言を呈したい。
前回のブログ投稿「肩こり」でもふれたように、この「睡眠障害」の多くはやはり体を動かさない、つまり肉体的疲労を伴わない睡眠のとり方にその原因の多くがあるんだ、と思うんだが、この高名な先生にはこの指摘が全くない。一所懸命、患者の身になって治療に当たられている様子は十分伝わってくるんだが、今は学問があまりにも多岐仔細に進みすぎて、針小棒大、この先生もその虜になっている気がしてならない。
現代病の多くはこうした肉体と精神のアンバランスから来ている。肉体を鍛える人は極限にまで肉体を鍛え、精神(頭)を鍛える人は極限にまで精神(頭)を鍛えはするが、そのバランスをとることが大変難しくなってきているのが現代だ。病に限らず、現代文明の抱えるあらゆる病巣がこの辺にあるような気がする。