TPPに参加すべきか否か、今や国論を二分して喧しい。
大まかに言って、輸出を生業とする産業界は参加に賛成。輸入によって打撃を被ると考えられる分野に人たちは反対といったところだ。
旗振り役は一方が経団連に対して農協といったところか。もちろん事情はそんなに単純なことではなく、医療、法律、介護、雇用など様々な分野に関わってくるわけで、大げさに「第二の開国」とさえいう人までいる。
この問題はもう1年以上も前から俎上に上っていたわけだが、このところなんだか駆け込み論議といった感がある。途中「東北大震災」があり、TPPどころではなかったという筋もあるが、果たしてどうか、多少はそんな事情もあったであろうが、日本特有の「盗人をとらえて縄綯い」が実態であろう。
かくいうぼくもTPPに関心を持ったのも最近で、メディアを通して知れば知るほど本当に難しい問題だとつくづく思う。
800%近い関税に守られている米をはじめ多くの農産物は手厚く国内で保護されているが、関税が取っ払われたら海外から安い農産物がどっと入り込んできてひとたまりもない。いやそんなことはない、品質や安全性が違うから大丈夫だという意見もあるが、多くの庶民はそうはいっていられない。多少品質が落ち安全性に不安があっても今やますます安いに越したことはないという台所事情だ。
日本農業を守るためという名目で「戸別所得補償制度」が実施されるそうだが、さらなる補償を手当てしなければ到底守り切れるものではない。ただでさえ保護に次ぐ保護で温室育ちの日本農業はますます自立できなくなること請け合いだ。
そのほか医療、法律、介護、雇用もそうだが、医療保険制度が崩れるとか、労働条件が厳しくなるとか様々な理由で反対するが、結局は国内法で何かと保護されてきた既得権益が無くなることで反対しているようにしか思えない。
大局的に見れば、これから先も輸出でしか生きていけない日本はTPPに参加し、むしろ積極的に貿易自由化の方向に向かうのが得策だと思う。
反対派はどう見ても既得権にしがみつこうとして国民的・国家的観点には立っていないようだ。国際社会の荒波に揉まれたほうがよい。
それだけではない。これから先の外交戦略の面からも、アメリカの魂胆はともかく、アメリカと手を結んでいくのが、対中国政策にも有効に作用する面があるように思う。
今の中国はやはり危険だ。
アメリカは日本よりも中国に関心があるからアメリカに傾斜しないほうが良いという意見もあるが、それは経済面だけのことで、思想信条面、国家体制という面では中国とは相いれないと思っていると思う。