真田 泰昌 について

長年予備校の教師をやってきました。パソコンとの付き合いは古く,1号機からの付き合いで、プログラムもすべて自前でした。日本語もカタカナがやっとという時代でしたから,今はもう浦島太郎もびっくりです。

蝋梅に 湯上り人の 影を追い

Robai blossoms, Winter-seet blossoms, have a scent of soap. It feels like the fragrance of a loved one just after finishing a bath.

蝋梅が満開です。甘い石鹸のような香りがあたりに漂っています。

悩ましい香りにも感じますし、湯浴びする赤ちゃんから漂ってくる香りのようにも感じます。

梅よりも先に開花し、香りが強く、花のつき方も梅に似ているので「梅」という名が付きますが、クスノキに近い種類です。種子にはアルカロイド系の毒があり危険です。

この花が咲くと春間近、梅が咲き、桜が咲き、いたるところで命が萌え始まます。

今年は元号も変わり、日本丸も改装なっての船出ですが、海はしけ模様、内外ともに予断を許さない状況ですが、何とか勢いよく乗り切って欲しいものです。

紅白の 蕪(かぶら)で祝う 小正月

There is still soil on red and white turnips which have just dug out the frost. We will celebrate the last day of the New Year by eating Ozoni, Japanese traditional soup dish for New Year’s, with  using these turnips.

今日は成人の日だそうです。なんか締まりませんね。成人式は1月15日と頭に焼き付いているものには、年によって変わる成人式はいただけません。まあ色んな事情があってそうなったんでしょうが、体育の日とか海の日と言った祭日ならともかく、元旦とか子供の日とかいった祝日は毎年決まった日がいいように思います。

この成人式も、ひところは傍若無人な若者に引っ掻き回される事が多かったようですが、最近はおとなしくなったとか。これはこれでまた心配にもなります。

新成人の数も、ピーク時の1970年の250万人近くから今年の125万人に半減していますからね。それでも昨年よりかは2万人増えたとか。このまま増え続けたらいいんですが、昨年ですか、出生数が100万人を切ったというから、今後まだまだ減り続けるわけです。

1月19日にはセンター試験がありますが、日本の高等教育者数はだいたい70%ですから、125万人の70%は84万人。大学、高等専門学校の総定員と拮抗しています。大学に限れば、定員の方が多いわけですから、日本の大学の半数以上が定員割れ。言ってみれば大学全入制が実現したわけです。

聞く所によれば、どの大学も留学生が溢れているといいますから、これで何とか大学の体裁を保っているんでしょうね。

今日の赤蕪と白蕪で成人式と小正月を祝いたいんですが、心配ばかりが先に立って、歳なんでしょうね。

山茶花の 踏むに踏めない 花絨毯

The petals of the sasanqua flowers having been blown by the gale are spread like a carpet. How could I walk on this?

山茶花の植え込みが続く道一面に花びらが散っています。昨夜の疾風に吹き飛ばされたのでしょう。色鮮やかでまだ活き活きしています。これでは歩くに歩けません。花びらの隙間を縫って歩こうとしたら、今度は普段気にもしなかった苔の緑が目立ちます。大きく迂回して歩く羽目になりました。

連日いい天気が続いています。雨粒の数を数えられるくらいの小雨はありましたが、この一ヶ月ほどほとんど雨も降りません。日にちだけがやたら早く経っていきます。

確認のため、1月から12月が一面に印刷されている大判のカレンダーを見ると、「2019年平成31年〇〇元年」と〇〇の部分は白抜き。1月から4月は別の色で塗られ、4月30日、5月の1,2日は白抜きになっています。

そうですよね。平成は4月まで。5月からはどんな元号になるのか。その時にはこの白抜きに書き込んでくださいよという配慮なのでしょう。

自分の髪の毛の白さが気になりました。

野次馬と 変わる事なき 初恵比寿

Toka-Ebisu is the festival held on January 10 in honor of Ebisu, the god of wealth. It has been the festival praying for the prosperity of business originally, but now it is recognized as a mere festival regardless of age, sex and the business. 

十日えびすは、十日戎、十日恵比寿、十日恵比須と様々に表記されるが、主に関西以西で1月10日に開かれる、商売繁盛、豊漁を祈願する祭りである。

大阪の今宮戎神社の「今宮戎」、兵庫県西宮市の西宮神社の「西宮戎」、九州福岡県博多区の十日恵比須神社の「正月大祭」がよく知られているが、これ以外にも各地にいろんな呼び名の「十日えびす」がある。

おそらく元は商業都市大阪の「戎祭」が各地に広がったのであろう。関東方面では11月の「酉の市」がこれに相当するが、大鳥神社、鷲神社、大鷲神社と名の付く神社で開かれるように、関西も関東も根っこにあるのは大鳥信仰、古事記に登場するヤマトタケルを祭神とする信仰に由来する。

大阪の堺市にある「大鳥神社」がその総元締めで、正式名も「大鳥大社」と呼ばれるように、島根県の「出雲大社」と並び称せられる古代神道の中心だったのである。これが天下の台所と呼ばれる堺、大阪の商人たちに利用されて起こったのが「戎祭」で、どこも商売と縁の深い祭りになった。

大阪では写真のように「福笹」に、小判や米俵、鯛といった様々な吉祥物を付け持ち帰り神棚に祭る。関東の「酉の市」では「熊手」がこれに相当する。

おそらく鎌倉末期くらいから日本も商業が活発になり出し、それに伴って土着信仰として発展してきたのが「十日えびす」であり、「酉の市」なのである。

雪便り 桜便りの 小正月

We receive various news from various places by SNS. At this time, it is the news of heavy snow from the north and the news of cherry blossoms from the south. It is the feeling that winter and spring came together.

日本は狭いようで広いなあとつくづく思います。

雪が何メートルも積もり、毎日毎日の雪下ろしが大変な雪国からの便り。さくらがちらほらとか、それどころではない、もう満開だよという便り。小正月もまだだというのに、冬と春がごちゃ混ぜの便りが愉快です。

日本列島が南北に長いことと、世界でも稀なほど四季の変化がはっきりしている国だからでしょうね。

四季の変化がはっきりしていると言ってしまいましたが、これは世界的に見たからで、最近の季節変化が今の便りのようにごちゃ混ぜになっていることは、ここでもさんざん取り上げていますよね。

近くの公園でも、まだ黄色い葉をつけた銀杏の木が立っていてびっくりしたところです。それでいて、その直ぐ側には、山茶花が花いっぱいに咲き、黄色の蝋梅が咲き始め、梅の蕾が大きく膨らんでいるんですからね。

一年一年同じことを繰り返しているんですが、飽きもせず花巡りをしている内に、なんと時間の経つのが早いことか、立ち止まって、ふっとため息を付く私です。

焼き芋が うまく焼けたか どんど焼き

“Dondoyaki” is a traditional Japanese event to be held around January 15th. We finish all events of the New Year by burning New Year ‘s decorations such as Kadomatsu and Shimenawa and pray the peace and development of this year.

門松やしめ縄、御札やお守り、書き初めを持ち寄ってどんど焼きの準備も整いました。1月15日の小正月に火を付けて、いよいよ今年のお正月も終えます。

昔は家々の玄関先や町内の辻で行われていたどんど焼きはほとんどなくなって、行われても近くのお寺や神社、またこうして海岸淵や田んぼとか空き地で行われるようです

どんど焼きで鏡餅を焼き、ぜんざいにして食べるところもあります。また、灰を持ち帰って庭に巻き、魔除けをしたり、無病息災を祈願したりもします。

子供のころはよく、ここにさつま芋を入れて焼き芋にして、ホクホクの焼き芋を頬張りながら学校に登校したものです。

「どんど焼き」とはいいましたが、「どんと焼き」と言ったり、関西では「とんど焼き」、その他、地方地方で様々な言い方があるようですね。

こうした光景は都会ではほとんど見かけなくなりました。

寒風を 受けて灯台 ひいと泣き

The coldest sea breeze of winter hits the lighthouse standing at the cape and makes a sound with howls. It seems to be crying with trembling in the cold.

正月明けからこちら、連日いい天気が続いています。雪国は大変らしいですが、寒いことは寒いですが耐えられないほどでもなく、時には3月上旬の気温だったり、冬の花水仙が満開かと思えば、菜の花の便りあり、桜の便りあり、冬なのか春なのかこんがらがえっちゃいます。

ふらっと立ち寄った岬の灯台はちぎれちぎれの綿雲が浮かぶ青空を背景に屹立しています。海から吹いてくる風はさすがに冷たくて強く、灯台に当たって篠笛のような音を奏でています。

岬の先端に立ってはるか向こうを見渡すと、水平線がくっきり見えるほど空気が透き通っています。碧空と群青の際立ちが素晴らしいです。

でも寒くて寒くて。ものの数分も立っていられません。早々に車に帰り暖を取りました。

七草を 摘んで歩いた 里の道

In Japan there are customs to eat rice porridge containing seven kinds of herbs on the 7th of January. Contrary to the New Year ‘s luxurious meal, it is a plain diet. We hope that we can do great this year.

道を歩いていると、小さな食堂の前に『七草粥』と書いたスタンド看板が立っている。そう言えば今日は1月7日の七草の日だと思い起こし、ふっとお店に入った。

5つほどのテーブルが並んでいて、子供二人の家族連れと若い女性が二人が先客だ。午後3時前だから、昼食の時間でもない。

最近は朝晩の二食にしているので、こんな時間に食事をとったことはないが、お店に入った途端、セリの香りが匂ってきて、お腹がグッと鳴った。気付かれてはいないだろうが、ちょっと恥ずかしい思いだ。

七草粥といえば思い出すのは、お正月が過ぎた頃、よく母や叔母と近くの河川敷に出かけたことだ。

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、はたして全部採ったのか、ともかく籠をいっぱいにしたことを覚えている。スズナは小カブラ、スズシロは幼大根だから、これは多分近所のお百姓から頂いたんだろう。セリは水際にあり、匂いも強いから子供の僕にもよく見分けが付くので取りやすく、上手、上手の言葉におだてられ、得意げに採ったものだ。この香りが、今この店に誘い込んだに違いない。

それにしてもスズナ、スズシロ以外はほんとに野草なのに、よくもこんな組み合わせを考えたものだ。調べてみたら、体に大切な栄養分がたくさん含まれている。

お正月のお節とは正反対の実に質素な七草粥だが、味わい深い昼食になった。

百合見れば カサブランカの バーグマン

Casablanca lily, which I put in a vase, has bloomed a flower. Every time seeing this flower the movie “Casablanca” and Ingrid Bergman remind me.

食卓の上に挿しておいた百合のカサブランカが咲きました。純白の大輪の花を咲かせ、まさに「百合の女王」にふさわしい姿です。

原種は日本の鹿児島県トカラ列島口之島に自生していたタモトユリで、その美しさと甘い香りで乱獲され今は絶滅しましたが、その前にアメリカに持ち込まれ、それからオランダにわたり、品種改良されて「カサブランカ」と命名された由来があります。

カサブランカはもちろんアフリカのモロッコ王国の都市名で、「カサ」は白い、「ブランカ」は家という意味を持ち、大西洋の紺碧に浮かぶ白亜の家を連想させることから付けられた名前です。

この花を見るたびに、往年の名作映画『カサブランカ』を思い出します。

モロッコで酒場を営むアメリカ人リック(ハンフリー・ガボット)の元に、元恋人のイルザ(イングリッド・バーグマン)が夫の反ナチ活動家ラズロ(ポール・ヘンリード)を伴って現れ、リックがイルザにしばしば投げる”Here’s looking at you, kid”(君の瞳に乾杯)は名訳として今に語り継がれています。

小正月 待てずに菜の花 忙しやな

Canora flowers are blooming now as soon as the New Year is over. As the date passes quickly, I feel awfully rushed.

南伊豆では20度を超える気温になったそうです。

下田街道沿いにある菜の花畑には菜の花が咲き、訪れる観光客もびっくり顔。早咲きで有名な河津桜もちらほら咲き始めているというから、15日の小正月を待たずに、なんとまあ季節の移り変わりの早いこと。

北国秋田からの便りでは積雪2mを超え、屋根からの雪下ろしに汗だくというから、季節感がこんがらがっちゃっています。

今の時代はこうしていたるところから情報が届くので、昔なら自分を取り巻く環境でしか判断しなかった時代とは大違いです。

寒い冬が早く開けて、温かい春が来てほしいとは思うのですが、冬も中途半端に終わってほしくないという複雑な気持ちです。

まあここ関西は冬もまだこれからだから中途半端には終わらないでしょうが、なんとも気忙しい気はします。

自然もそうだし、食べ物もそう、何でもが季節感喪失の時代になってしまいました。