♪★♪ ラジオ体操 ♪★♪
新しい朝が来た 希望の朝だ
喜びに胸を開け 大空あおげ
ラジオの声に 健やかな胸を
この香る風に 開けよ
それ 一 二 三
喜びに胸を開け 大空あおげ
ラジオの声に 健やかな胸を
この香る風に 開けよ
それ 一 二 三
朝6時半、藤山一郎さんの元気溌剌とした歌声が町内に響き渡る。
朝寝坊をしていた小学生連中が眠そうに目をこすりながら次々と家から飛び出してくる。夏休み恒例のラジオ体操の始まりだ。お父さんお母さん方、お年寄りも結構な数だ。道端の木箱の上に置いたラジオから流れてくるピアノ伴奏に合わせて、まだ眠りから覚めないのかタコのようにフニャリフニャリ体を動かす子、飛び跳ねるように元気に手足を動かす子、おしゃべりに夢中でリズムにまったく合っていない女の子、実にさまざまだ。第一体操はみんな何とかこなせるが、第二になると大人たちはもちろん、子供たちもあやふやだ。第二は学校でも習い始めたところでまだしっかり身についていないし、大人たちはまったく知らないから勝手な振りを付けて体操している。
服装も小学生の男の子はたいがいパンツにランニング、女の子は花柄のついた薄手のワンピースや様々、おじさんたちはステテコにやはりランニング、おばさんたちはありあわせの夏姿だ。気取った服装をしている人は誰もいない。
やがて体操が終わると班長さんの前に行列だ。出席カードに判を押してもらわねばならない。欠席がなければお盆のときお地蔵さんに祭るお供物のおすそ分けがたくさんもらえるから、みんな休まない。
判を押し終わると町内の掃除だ。家から持ってきた思い思いの箒で町内の道や溝をきれいに掃いて回る。このころには周りでセミもうるさく鳴き始め、朝の日差しがギラギラし始める。こうして僕たち小学生の夏休みの一日が始まるわけだ。
さて、このラジオ体操ほど今ありがたいと思っているものはない。
さて、このラジオ体操ほど今ありがたいと思っているものはない。
おかげさまで第一ラジオ体操だけは完全に覚えているし、普段の運動不足を補うためにも、また外国に行った時にも、いつでもどこでもこの体操ができる。上海にいたときには、朝、太極拳のグループに入れてもらい太極拳を習っていたが、ふとしたことでこのラジオ体操を皆に披露すると、皆が非常に興味を持ってくれ、教えてくれということで皆に教えたことがある。日本人なら誰でもこのラジオ体操はできるのではないだろうか。これは日本国民の一大財産だ。
今日もこのラジオ体操から一日が始まった。もう朝から30度を超す猛暑だが、これで今日一日元気で乗り切る自信がついたぞ!
今日もこのラジオ体操から一日が始まった。もう朝から30度を超す猛暑だが、これで今日一日元気で乗り切る自信がついたぞ!