ロシア革命とグローバリゼーション


 

2017年、21世紀もかなり踏み込んだ時代に入った。

思えば今からちょうど100年前、1917年はロシア革命が起こり、マルクス、エンゲルスの共産主義思想をバックに歴史上はじめて社会主義国家が生まれることになった年だ。

ルネサンスが封建社会と神中心の世界観の束縛(中世のくびき)から、人間性の自由・解放を求め、ヒューマニズムと個性尊重という近代社会の原理を生み出したとすれば、この社会主義国家の誕生は、そのルネサンス期から勃興した産業革命により生み出された社会的不平等、ブルジョワジー(資本家階級)とプロレタリアート(労働者、無産階級)の搾取と被搾取の関係を打破し、自由で平等な社会を生み出すものと期待された。

ソヴィエト社会主義共和国連邦(ソ連)の周りには次々と社会主義国家が誕生し、アジアにも中華人民共和国(中国)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、ベトナム社会主義共和国(北ベトナム)などが誕生するなど、一時はドミノ倒し的に社会主義国家が誕生するのではないかと世界が震撼した。

我が国日本においてもソ連誕生の影響は大きく、1920年代から1960年代までの約40年間はマルクス主義は、賛同する者賛同しない者も含めて知らぬ者はなく、政治経済は言うまでもなく、文学、演劇、音楽と、あらゆる分野において語られ、影響を与え、意識されてきた。今各界で活躍している人たちの中にもこの年代にマルクス主義に被れた人たちも少なからずいるのがその証左だ。

1990年代からしばしば使われるようになったグローバリゼーション(グローバル化)は、社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家や地域などの境界を越えて、地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象である(グローバリゼーション – Wikipedia)とするならば、多くの識者が指摘するような、第二次世界大戦後の冷戦時、アメリカを中心とする西側諸国において多国籍企業が急成長した時期とか、ソ連崩壊後の時期とかに始まったというのは間違いで、まさしくこのロシア革命の時期こそがグローバリゼーションの始まりなのである。

ただ、その後の社会主義諸国の現実は、当初夢と希望を世界の多くの人々に与えたものの、結局は人民のためと名を騙った権力者や権力集団の独占支配体制に過ぎないことが露呈した。

世界の多数の人々の生活水準の向上を現実にもたらし、技術や知識の向上に貢献し、民主主義化の拡大につながり、価値観を共有する世界市民が出現したという意味でのグローバリゼーションならば、上の識者の指摘は正しい。

しかし一方で、このグローバリゼーションも今また様々な深刻な負の側面を露呈してきているのも皮肉な結果だ。

地球規模の環境破壊、企業間・国家間の競争の過酷化、世界規模の貧富の差の拡大とそれによってもたらされるテロと世界秩序・治安の流動化、文化の多様性を失いかねない文化の画一化などだ。

中でも世界規模の貧富の拡大は深刻で、今起こっている世界経済の停滞と混乱、それによっておたらされる政情の不安定は、20世紀初頭の状況とよく似ている。まさしく革命前夜の様相だ。

くしくも今日16日(2017年1月)、貧困撲滅に取り組む国際NGO(OXFAM)が『世界人口の半分36億人分の総資産と同額の富、8人の富豪に集中』とスイス・ダボスで17日から開催される世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)を前に発表、格差が「社会を分断する脅威」となるレベルにまで拡大していると警鐘を鳴らした。

例えるならば、山に降り注いだ恵みの雨が川に流れ込み、やがては人の飲料水になり、田畑を潤し、産業用水になりと多くの人々に恩恵をもたらすはずが、強欲なお金持ちが川の根っこに大きな貯水池を築き、水を独り占めにするようなものだ。

川は干乾び、そこに住む魚は減り、悪臭は立ち込め、もちろん、飲料水、農業用水、産業用水は枯渇するわけだから、自然のサイクルが狂ってくる。テロと暴力と新たな帝国主義が蔓延する根源になっている。

イギリスがEUを離脱し、トランプがアメリカの再興を歌い上げ、プーチンが力ずくで領土を広げ、中国が南シナ海を勝手に支配し、イスラム圏ではISの横暴に苦しみ、その根源はすべて富の偏在によるものだ。

にもかかわらず、世界の名だたる経済学者やエコノミスト、経済紙はその原因の分析と対策をあまりにも経済テクニカル面に矮小化しすぎているように思えてならない。

2016年7月26日の日本経済新聞の社説「世界経済停滞の根源に迫る政策を」などは典型的だ。

今や世界は、農業革命、産業革命に続く情報革命(IT革命)によって、一国や一地域によって解決できないグローバリゼーションによって覆いつくされている。

21世紀の新たな問題を解決するには、共産主義インターナショナル(Communist international コミンテルン)ならぬ資本主義インターナショナル(capitalist international キャピンテルン)でも立ち上げて、この富の偏在を解消する世界同時革命を起こさなければ根本的解決には至るまい。


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