親の身勝手

子供受難の時代である。
出生からして喜ばれず、幼児には虐待を受け、学齢期になれば過酷な勉強を強いられ、セクハラにさらされ、全体からすれば少数なんだろうが、今の時代まさに子供受難の時代である。
どれにも共通しているのは、親の身勝手、大人たちの身勝手から生じていることである。
犯罪性を帯びた事例だけではない。身近にもいくらでもそんな事例はある。
たとえば離婚と親権にまつわる事例。
3年ほど前のことだが、アメリカ人男性が、離婚した日本人女性が共同親権を無視して子供を連れて帰国したのでそれを追って来日、子供を連れ戻そうとしたが「誘拐犯」で逮捕され、日米の外交問題にも発展した事件があった(http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2009/09/post-59.php)。
国際結婚が増え、それとともの離婚も増える中、離婚に際して親権を定め、親権を持たない親には面接権を保障し、養育費の支払いに強制力をはたらかせなくてはならない。その場合、子供の人権を守るために関係国が協力して、離婚調停の結果を履行させるために「ハーグ条約」を定め、多くの国がこれを批准してる。
ところが日本はこの条約を批准していなくて、子供が双方の親を行き来する共同親権という概念すらない。どちらか一方が親権を持つという単独親権である。
親権を持たず養育費をきちんと払っていても面接権は保証の限りではなく、養育費の支払いも「差し押さえ」のような強制力もないのが日本の現状だ。
上の事件ははしなくもこうした子供に対する日本とアメリカの親権意識の行き違いから起こった事件である。
そもそも離婚に際していちばんの被害者は子供たちなのである。
親は勝手だ。好きで一緒になり、嫌いだから別れる。もとをただせば他人同士なんだからそれでいいだろう。子供はそうはいかない。
母親のもとに引き取られようが、父親のもとで育てられようが、母親は母親だし、父親は父親だ。物理的に離されても心は離れられない。親たちの別れ方とは違うんだ。
だから世界の多くに国では共同親権という考えのもと、子供は自由に母親を訪ね、父親を訪ねられる制度になっている。年端のいかない幼児だって同じだ。母恋しいし、父恋しい。子供と引き離された親も同じだ。
そんな子供の心情なんてこれっぽちも考慮されていないのが日本の親権制度であり、さらに困ったことには、子供を自分の所有物と勘違いしている親たちや爺さん婆さんたちがいる。
子供たちがどんな寂しい思いをして育っていくんだろう。そんなことを考えたことがあるんだろうか。
統計によると、離婚して養育費を払っているケースは20%にも満たないし、養育費を払っていても(多くの場合父親なんだが)子供に合わせないため、国の救済は当てにならず面接権を求めて全国規模の組織がいくつもあるそうだ。全部親の身勝手から生じたこと。
日本も早く共同親権を制度化し、「ハーグ条約」を批准すべきだ。
このままでは子供受難の時代はまだまだ続く。

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