| 秋吉君かな、秋吉さんかな。こんにちは。 円周角の逆定理とはこういう定理ですね。「4点A,B,C,Dで、C,Dが直線ABについて同じ側にあって、∠ACB=∠ADBならば、この4点は1つの円周上にある」。この定理をちゃんと理解している人はごく少数です。高校生になったらほとんどの人が忘れています。ましてや証明となるとほとんどの人ができません。おそらく学校や塾ではいちどは先生が説明してくれたのでしょうが、その時点では理解できても、ほとんどの人が忘れてしまっています。というのも、この証明法はちょっと特殊で、中学では正式に習わない間接証明法の背理法という証明の仕方をします。やってみましょう。ただ、ここでは実際に図形を使ってできませんので、今から言います事を図に描きながら、イマジネーションを豊に働かせながら、聞いてください。 【証明】 3角形は必ず外接円を持ちますね。しかし4角形は必ずしもその外接円を持つとは限りません。これは円に内接する4角形の性質で習いましたね。そこで、3点A,B,Cを通る円は必ず1つあります。ところで第4番目の点Dですが、いま平面上である限り、この点Dは、@先ほどの円内にあるか、A円外にあるか、B円周上にあるか、のいずれかです。それ以外にどこか存在する場所がありますか。ありませんね。もし@にあるとすればどうなりますか。線分ADをその向きに延長すると当然ABCを通る円と交わるはずです。その交点をPとしましょう。さらに交点PとBを結ぶと三角形PDBができて、∠Pは弧ABの上に立つ円周角ですから、∠P=∠ACBになりますね。ところで、三角形DBPの外角∠ADB=∠P+∠DBP…Cとなり、∠ADB=∠ACB(=∠P)のはずですから、Cの等式は変なことになります。わかりますか。+∠DBPが余分なんですね。ということで、点DがA,B,Cを通る円の内部にあるとすれば、上のような矛盾が起こることになり、結局は点Dは、A,B,Cを通る円内には存在し得ないということになるわけです。点Dが円周外にあるときも同様に矛盾が起こり(やってみて下さい)、存在し得ないということになれば、結局点DはA,B,Cと同じ円周上にしか存在しえない、ということになり、上の定理が真であることを証明できるわけです。 このように、今までとはちょっと違った証明法を取りますので、わかりにくいといえばわかりにくいということになるわけですね。こんな証明法を背理法といいます。覚えておいてください。これでよろしいでしょうか。
中学で習う図形の知識は高校に入ってからとても重要になります。大学入試問題でも図形がらみの問題は必ずといっていいほど中学で習った図形の知識がベースになります。しかし、中学生のときはそれほど意識せず、かなり大雑把にしか勉強していないのが実情で、高校生を教えるときこれが大きなネックになることしばしばです。秋吉君(さん)もこの点をよく自覚して勉強してください。
|