もみじ葉と あお葉綾なす 秋葉織り

The grove in which the red leaves and the green leaves are mixed together is gorgeous just like a textile woven by a skillful craftsman.

木々の紅葉が増してきました。

京都洛西の金閣寺から龍安寺そして仁和寺にと続く道は、以前「衣笠街道」と読んでいましたが、最近は「きぬかけの路」と呼ぶようになったそうです。近くには等持寺や妙心寺、北野天満宮など京都有数の神社仏閣が点在していますが、今はどこも紅葉が急速に色づき始めました。

写真は金閣寺境内でとったものですが、真っ赤に紅葉した紅葉からまだ紅葉しかかったばかりの紅葉まで、グラディエーションよろしく咲き競い、その中に濃い緑、新緑のような木々が織り混ざって、まるで西陣織の緞帳のように天高くから被さっています。

紅葉の仕方にもいろいろあって、どぎつく感じる紅葉もあれば、薄汚く感じる紅葉もありますが、ここ金閣寺の紅葉はさすがです。

例によってここ金閣寺はもちろん、きぬかさ路にも外国人観光客が溢れていますが、この日本の紅葉ぶりにはさすがに感嘆しきりです。もちろん外国の木々も秋の季節になれば紅葉する木もあるのですが、日本ほどの美しさはありません。この美しさは日本独特なものです。日本の湿潤な気候環境がおおいに関係があると思います。

日本の湿潤な気候環境は木々だけでなく、ひいては日本人の国民性にも大きな影響を与えているようです。

美しいニッポン! これからもどうか、何事においても美しい日本でありたいものです。

三室戸へ 行く道照らす 大銀杏

A big ginkgo tree stands on the way to Mimuroto-ji temple. It is shining gold and illuminates the feet of pilgrims and leads them to the temple.

御詠歌:  夜もすがら 月を三室戸 わけゆけば 宇治の川瀬に 立つは白波

西国三十三箇所第十番札所(古くは第三十三番札所、結願寺)、三室戸寺は京都宇治にあり、五千坪の大庭園には枯山水・池泉・広庭があり、五月のツツジ(二万株)・六月のアジサイ(一万株)・七月のハス・秋の紅葉など四季を通じて美しい花模様を楽しめる「花のお寺」です。

宇治川の支流を辿ると、行く手にデンとこの大イチョウの木が折からの秋空に高くそびえています。

澄んだ空気の下、ただでさえ明るい道筋をいっそう明るく照らしていて、お寺参りの人、巡礼者の足元を照らし、迷わずとも三室戸寺に導きます。

古来幾千万の人がこの道をたどったのかを思うだけでも胸が熱くなります。御詠歌の最後の「白波」を「大銀杏」に置き換えたらぴったしの光景です。

福岡県にある八剱神社の大イチョウの樹齢1800年を筆頭にイチョウの樹は杉と同じくらい長寿ですが、この目の前に立つイチョウも数百年は下らないでしょう。

イチョウは、ほとんどの樹木が絶滅した、今から約260万年前の氷河期から生き延びた樹ですから、千年や万年くらいは取るに足らない年月なんでしょう。

それに比べたら我々人間の寿命はたかだか百年、あーあ。