雄を食べ 雌カマキリの 逞しさ

A female mantis with satiety after eating a male mantis is looking for the place where lays the eggs. How stout a female mantis is!

雄を食べて満腹なのか、もう卵ができて腹が膨らんでいるのか、メスカマキリが体を重そうに運んでいます。

昆虫や蜘蛛の中には雄を捕食する事例は沢山ありますが、カマキリの捕食はもう万葉時代から知られていて、虫を愛でる姫君の物語『堤中納言物語』や、室町時代の歌謡集『閑吟集』などにも登場します。

その壮絶さは、これがカマキリだから淡々と書けますが、人間に置き換えたらもうホラー映画どころではありません。ともかく、交尾の最中に雌は雄を頭から食べ始めます。交尾が終わった後は雄の羽だけが無残に残っているのですよ。

雄を食べ終わった雌は腹を膨らませたまま、ひたすら産卵の日を待ちます。雄を食べて受精した雌はより多くの卵を産卵し、雄を食べずに受精した雌はその半分以下にしか産卵できません。

雄は別に喜んで雌に食べられているわけではなく、できたら食べられたくない。だから交尾の際もできるだけ雌の餌食にされないようにされないように振る舞うのですが、雌より小さな雄は抗うすべもありません。眼と眼が合えばもうお終いです。

しかし、雄の全部が全部こいういう運命を辿るのではなく、交尾中に食べられてしまう雄は30%くらい。70%の雄は運良く命拾いするのですが、性懲りもなくまた雌に近寄り、結局はいつかは雌に捕食されてしまいます。

こう話していると、なんだか人間にも当てはまるよなお話に聞こえてきませんか。身に詰まされる男性も多いのではありませんか。

木が紅葉して葉を落とすのも後世に栄養を残すためですから、生きとし生けるものすべてが子孫繁栄の諸行であるわけですね。

さてさて、自分は後世に何を残せるのかなあ?