老木も 明日を夢見て 木守柿

There are left two or three fruits in an old persimmon tree. It is a spell to wish for many fruits next year.

ついこの間まで青葉をとどめ、枝もたわわの柿の木が、今では葉をすっかり落とし、柿も実もちらほら。こんな残り柿のことを「木守柿」とも「子守柿」ともいいます。誰がいつから始めたのか、それとも単に取り忘れただけなのか、木を丸裸にせずに柿の実をいくつか残す風習をこう呼ぶ様になりました。

来年も沢山の実が成りますようにというお呪いだという人もいれば、人間だけが欲張りをせずに鳥たちにもお裾分けするために残したんだという人もいます。いずれにしろ「木守柿」という言葉はいい響きをもった言葉です。

鳥たちにお裾分けとは言いますが、柿が甘くなるころから鳥たちは、特にカラスなんかは遠慮なく食べている姿をよく見かけます。特に今問題になっているのは、山里の農家が猿がやってきて一晩のうちに食べ尽くされ、朝起きたらもうほとんど残っていないというところが全国各地にあるそうです。いったん味を占めたら次から次と仲間に伝わり、夜になると猿たちが群れを成して食べに来るというから堪りません。

こうした鳥獣被害は農作物に甚大な被害をもたらしているそうです。そういえば山近くの畑にはネットが張られていたり、電流線が張られていたりという光景はよく見かけます。

人間が山間部をどんどん開発したから、鳥獣の住処や餌場が無くなったからだとも言われますし、鳥獣保護法が災いしているからだとも言われています。

なんとかこの「木守柿」に込められたのどかな風景に戻りたいものです。