白鳥(しらとり)が 暮色に一点 秋深し

A white duck is standing in the pond where the sun goes down and the dusk approaches. Will there be its roost at this time of autumn deepening?

今朝の気温は3度。一気に秋も深まり、各地からも初雪の便りがちらほら。いよいよ冬の到来です。それでもイチョウに木々には葉を止め、やっぱり気温上昇の影響かなと思わせます。

昨日も買い物帰りに立ち寄った日本庭園にも紅葉がしっかり残っていて、暮色にいっそう紅さを増しています。アヒルが一羽、ねぐらを探しているのか、池の淵を行ったり来たりしているのが目に付きました。白さが目立ちます。なんとなく寂しい光景です。

昼間はどこも人出が多いですが、こうして夕闇が迫ると一気に人出も無くなります。晩秋ですね。

古来から多くの歌人や文人が歌い語ってきた秋の黄昏。今目にするこの光景も、年代により様々なんでしょうね。人生と重ね合わせ、やるせなさが身に迫ります。そんな歳になったんですね。

さあ、早く帰ろう。

トロッコで カタコト秋の 桃源郷

I took the Sagano Trolley train. The scenery of autumnal leaves watching from the car is just like Tenzeng Township. The noise of a train can be heard as if a symphony.

京都嵯峨野から丹波亀岡まで片道30分足らず。5両連結のディーゼルトロッコが保津川渓谷を往復しています。春夏秋冬いつ乗っても目を見張るばかりの光景が走りますが、やはり秋が一番です。

乗るのが大変で、時には何時間も待たねべなりません。しかしその甲斐はあります。

列車の速度が程よい速さで、絶景場所では速度を落としたりして、そのカタコト音がシンフォニーのように聞こえてきます。舟で保津川を下るのもいいですが、このトロッコ列車もまた格別です。

こうして秋の風景は、日本のどこに行ってもただただ感動するばかりで、やっぱり日本は美しい国だと実感します。

この美しい日本がどうか平和で世界をリードする国になって欲しいと心から願います。

懐かしの 湯豆腐求めて 嵐山

There is a favorite Yudohu restaurant in Arashiyama in Kyoto. Its name is Seizansoudo. It is the oldest restaurant in Arashiyama, located in Tenryuji Temple.

今日は京都嵐山の湯豆腐。多くの思い出があります。

いつも訪ねるのは天龍寺境内にある西山艸堂 (せいざんそうどう)。嵐山、嵯峨野にはたくさんの湯豆腐屋さんがあります。この時期ここを訪れる客で湯豆腐を食さない客はないというくらいです。その中でもこの西山艸堂 は最も古く、お値段も手ごろ、もともと天龍寺の宿坊であったので、落ち着いた雰囲気の中で、それこそ身も心も温まります。

そうそう、ここで使われるお豆腐は「森嘉」のお豆腐で、「森嘉」のお豆腐を使っている湯豆腐屋さんにしか行かないという「通」の方もおられるくらい「森嘉」のお豆腐は有名なんです。なんでも、夜通し掛けて作り上げたお豆腐は、朝、夜が明ける頃には売り切れるという噂を聞きました。

昔、予備校の教師をしていた頃、大学に合格した生徒や、もう一年頑張る生徒を連れてよく来たものです。ここを訪れるたびに、そうした学生たちの顔が思い浮かび、今ごろどうしているんだろう、もういい歳をしたおじさん、おばさんになっているんだろうな、食膳が供されるまでの間、しばし感懐にふけるわけです。

はじめの頃は、この嵐山や嵯峨野も今のように騒がしくもなく、訪れた時間によって、ここで先ず腹ごしらえをして、それからこの奥の嵯峨野界隈を散策したり、先に散策して、空腹のまま駆け込んでおかわりのご飯を二膳いただいたり、思い出はつきません。一冬に二度も三度も訪ねたこともあります。

また行きたくなってきました。それでは。

飽きもせず 今日の紅葉の 美しき

Today I also found a beautiful autumn leaves. What should I compare with the beauty of this autumn leaves? This exquisite color scheme is not a work that can be done to humans. Ican only think of God’s work.

今年も残すところあと僅か。雪がちらつき始めてもおかしくない季節になりましたが、最近の気候変動で、いまだの気温20度を超える日があります。

さすがに木々の落葉は進んでいますが、まだまだ美しい紅葉風景に出くわします。今日に一枚もそうです。赤い葉に混じって、新春を思わせる若葉かと思える葉も混じって、絶妙の配色です。もう大概の紅葉風景は見てきましたが、またまたハッと箚せられます。写真でも撮りきれない美しさです。

街中ではジングルベルがなり、忘年会の幟がはためいていますが、もうすぐ正月だという気もしません。

昔のように季節感がはっきりせず、歳のせいもあってか、多少混乱しています。

見納めの 紅葉も最後 白川郷

Gassho-zukuri-concentrated areas on Shirakawago and Gokayama located in Gifu Pref. are covered with colorful autumn leaves in this time. Soon, however, the entire village will be covered with snow and will become a world like Suibokuga.

今は便利になって、東海北陸自動車道を辿れば大阪から5時間足らずでここ白川郷五箇山に行けるようになりました。それまではおよそ8時間、随分便利になったものです。

何度か訪れたことはありますが、訪れるたびに人出も増し、前回は高山から宿を求めてここに来ましたが、宿舎は満杯。諦めて、深夜帰宅したことがあります。

いつだったか、富山の友人を訪ねるため、深夜、まだ高速道がなかったので、真っ暗闇の一般国道を辿ったことがありますが、峠を越えると明かりがまるでホタルのように点滅し、近づくに従って夜目にも青白い集落が開けています。地図を見ると白川郷。その光景は今でもはっきり脳裏に浮かぶほど神秘的なものでした。

合掌造りが深い雪の中の生活のために作り出されたので、白川郷と言えば雪に埋もれた合掌造りが定番ですが、春夏秋冬いつ訪れても、季節季節の景色、風物があり、飽きることはありません。

今は晩秋。もう1週間もすれば木々の葉もすっかり落ちて、たちまちの内に銀世界に変わります。

一度正月をここで過ごしたい。そんな思いでここを後にしました。

星月夜(ほしづくよ) 夢万博に もう一度

It was decided that the Expo will be held again in Osaka in 2025. It will be for the first time in 55 years since last time. I would really like to go there.

今から48年前、1970年の大阪万博には、第一子で身重の家内と教え子5人とともに行ったことを覚えています。

「人類の進歩と調和」をテーマに、灰燼に帰した戦後日本が、たった25年、4分の1世紀で米国に次ぐ世界第2位の経済大国に成長した復興振りを世界に示した万博でした。

人気パビリオンは長蛇の列。特にアポロ12号が月から持ち帰った「月の石」を展示するアメリカ館などは入るのに3時間、4時間も待たねばならない混雑ぶり。入るのはとうとう諦めました。

今でも思い出すと身震いするのは、ジェットコースターの「ダイダラザウルス」。生徒に誘われ乗ったのですが、もう生きた心地がしません。降りたときには、もうそれこそ月から無事生還したような心地でした。これが一番の思い出ですから、なんとも臆病で小心なヤツなんでしょう。

そして、2025年の大阪万博。財政的なこと、津波対策のこと、跡地利用のこと、いろんな問題が山積していますが、開催賛成です。

我が人生にもダブル55年の歳月の変化とさらなる未来に夢をはせることは大切なことだと思います。

絶対に行きます!

老木も 明日を夢見て 木守柿

There are left two or three fruits in an old persimmon tree. It is a spell to wish for many fruits next year.

ついこの間まで青葉をとどめ、枝もたわわの柿の木が、今では葉をすっかり落とし、柿も実もちらほら。こんな残り柿のことを「木守柿」とも「子守柿」ともいいます。誰がいつから始めたのか、それとも単に取り忘れただけなのか、木を丸裸にせずに柿の実をいくつか残す風習をこう呼ぶ様になりました。

来年も沢山の実が成りますようにというお呪いだという人もいれば、人間だけが欲張りをせずに鳥たちにもお裾分けするために残したんだという人もいます。いずれにしろ「木守柿」という言葉はいい響きをもった言葉です。

鳥たちにお裾分けとは言いますが、柿が甘くなるころから鳥たちは、特にカラスなんかは遠慮なく食べている姿をよく見かけます。特に今問題になっているのは、山里の農家が猿がやってきて一晩のうちに食べ尽くされ、朝起きたらもうほとんど残っていないというところが全国各地にあるそうです。いったん味を占めたら次から次と仲間に伝わり、夜になると猿たちが群れを成して食べに来るというから堪りません。

こうした鳥獣被害は農作物に甚大な被害をもたらしているそうです。そういえば山近くの畑にはネットが張られていたり、電流線が張られていたりという光景はよく見かけます。

人間が山間部をどんどん開発したから、鳥獣の住処や餌場が無くなったからだとも言われますし、鳥獣保護法が災いしているからだとも言われています。

なんとかこの「木守柿」に込められたのどかな風景に戻りたいものです。

菊の香が 出汁(だし)に沁み入る そば処

When I entered the soba shop to eat new soba, a lot of chrysanthemums were decorated. It seemed that the fragrance entered the buckwheat noodles.

新そばを味わえる季節になりました。

新そば前線は桜とは逆で、北海道では8月下旬に、それから日本列島を徐々に南下していき、鹿児島や沖縄では翌年の1月くらいに収穫します。

日本一のそば処、長野県では10月下旬ころから新そばが収穫でき、関西の滋賀や奈良あたりだと11月下旬になります。

奈良県の吉野でも今がちょうど新そばの美味しい時期で、「新そば」の旗が掛かったお店に入ると、菊が沢山並んでいて、その香りがお店いっぱいに広がっています。そこを通り抜けると、ぷーんとわずかに青臭いそばの香りが漂ってきます。食べるとその青臭さが舌に残り、新鮮さを感じると同時にその味は絶妙です。

時々そば打ちの講習会に参加する大阪和泉市の「農の里」では、12月と1月にはここで収穫した蕎麦の粉を使ってそば打ちをします。そば打ちに参加するのは口実だけで、講習会の後、講師の先生が打ったばかりの新そばを振る舞ってくださるですが、それをいただきたい、その一心です。誠に不埒な生徒です。

時間と暇とお金があれば、北海道から沖縄まで新そばを追っかけてみたいものです。

錦秋の 高野を照らす 金灯篭

Koyasan Temple is completely in the atmosphere of autumn. Among them, it is the golden lantern of Miedo that stands out conspicuously.

高野山口の久度山町のお蕎麦屋さんで「大阪冬の陣」と名打った真田幸村ファンの集いがありました。せっかくなので集いが始まる前に秋の高野山を訪ねました。


あたりはもうすっかり晩秋の装いで、壇上伽藍の中門をくぐると朱塗りの大塔が夕日に光り威風堂々の佇まいです。その北隣にある御影堂(みえどう)の軒下に列ぶ金色の灯籠に明かりが灯り、空海さんが中で念仏を唱えておられる姿が彷彿とします。高野山では一番のお気に入りです。


御影堂は重要文化財に指定されていますが、過去幾度も火災にあい、現在の建物は今から150年前の徳川時代に再建されたものです。


もう夕方ということもあって人影もまばらでしたが、ここでも相変わらず外国人の観光客が目立ちます。中国人らしき観光客は比較的若い方が多く、西洋人は年配者が多いということに気づきました。


夕日が落ち始めましたので、明るいうちにと下山を急ぎました。

よく見れば ひっつき虫も 花の様

Weeds also change from flowers to seeds and are preparing for the winter. Looking closely, the lump of seeds is as beautiful as a flower.

面ファスナーはご存知ですよね。日本ではマジックテープ、アメリカではベルクロとして商標登録されています。今では金属製のファスナーより多く使われていて、身の回りをちょっと見渡しただけでも直ぐ目に付くほど、いたるところで使われています。フック状に起毛された側とループ状に密集して起毛された側を押し付けると両面がくっつくやつですね。

これを一番始めに考案したのが、スイスのジョルジュ・デ・メストラルで、アルプス登山中に自分の服や愛犬にたくさんのひっつき虫、野生ごぼうの種がくっついているのにヒントを得て研究開発し、特許出願、会社を設立し、一躍億万長者になったという逸話があります。1955年のことです。目の付け所が違うわけですね。

先日も栽培しているキクイモを掘りに行ったら、ヌスビトハギの種がズボンと言わず上着にまで沢山ついて、まるでヌスビトハギ男になって困りましたが、こんちくしょうと払いのけるのが精一杯、これを利用するなんて発想は思いも浮かびません。

今日のひっつき虫はコセンダングサの逆さトゲです。このトゲが人の衣服や犬、猫なんかにくっつて運ばれ、落ちていつか芽を出すんですね。種の保存の厳粛な仕組みです。どこにでもある雑草で、その気にならなければ目にも止まりませんが、よく見ると実に美しい。最初は花かと思ったくらいです。

そう言えば、子供の頃、小さな卵状でトゲトゲのあるイナモミを友達とくっつけ合って遊んだものです。