雪便り 桜便りの 小正月

We receive various news from various places by SNS. At this time, it is the news of heavy snow from the north and the news of cherry blossoms from the south. It is the feeling that winter and spring came together.

日本は狭いようで広いなあとつくづく思います。

雪が何メートルも積もり、毎日毎日の雪下ろしが大変な雪国からの便り。さくらがちらほらとか、それどころではない、もう満開だよという便り。小正月もまだだというのに、冬と春がごちゃ混ぜの便りが愉快です。

日本列島が南北に長いことと、世界でも稀なほど四季の変化がはっきりしている国だからでしょうね。

四季の変化がはっきりしていると言ってしまいましたが、これは世界的に見たからで、最近の季節変化が今の便りのようにごちゃ混ぜになっていることは、ここでもさんざん取り上げていますよね。

近くの公園でも、まだ黄色い葉をつけた銀杏の木が立っていてびっくりしたところです。それでいて、その直ぐ側には、山茶花が花いっぱいに咲き、黄色の蝋梅が咲き始め、梅の蕾が大きく膨らんでいるんですからね。

一年一年同じことを繰り返しているんですが、飽きもせず花巡りをしている内に、なんと時間の経つのが早いことか、立ち止まって、ふっとため息を付く私です。

焼き芋が うまく焼けたか どんど焼き

“Dondoyaki” is a traditional Japanese event to be held around January 15th. We finish all events of the New Year by burning New Year ‘s decorations such as Kadomatsu and Shimenawa and pray the peace and development of this year.

門松やしめ縄、御札やお守り、書き初めを持ち寄ってどんど焼きの準備も整いました。1月15日の小正月に火を付けて、いよいよ今年のお正月も終えます。

昔は家々の玄関先や町内の辻で行われていたどんど焼きはほとんどなくなって、行われても近くのお寺や神社、またこうして海岸淵や田んぼとか空き地で行われるようです

どんど焼きで鏡餅を焼き、ぜんざいにして食べるところもあります。また、灰を持ち帰って庭に巻き、魔除けをしたり、無病息災を祈願したりもします。

子供のころはよく、ここにさつま芋を入れて焼き芋にして、ホクホクの焼き芋を頬張りながら学校に登校したものです。

「どんど焼き」とはいいましたが、「どんと焼き」と言ったり、関西では「とんど焼き」、その他、地方地方で様々な言い方があるようですね。

こうした光景は都会ではほとんど見かけなくなりました。

寒風を 受けて灯台 ひいと泣き

The coldest sea breeze of winter hits the lighthouse standing at the cape and makes a sound with howls. It seems to be crying with trembling in the cold.

正月明けからこちら、連日いい天気が続いています。雪国は大変らしいですが、寒いことは寒いですが耐えられないほどでもなく、時には3月上旬の気温だったり、冬の花水仙が満開かと思えば、菜の花の便りあり、桜の便りあり、冬なのか春なのかこんがらがえっちゃいます。

ふらっと立ち寄った岬の灯台はちぎれちぎれの綿雲が浮かぶ青空を背景に屹立しています。海から吹いてくる風はさすがに冷たくて強く、灯台に当たって篠笛のような音を奏でています。

岬の先端に立ってはるか向こうを見渡すと、水平線がくっきり見えるほど空気が透き通っています。碧空と群青の際立ちが素晴らしいです。

でも寒くて寒くて。ものの数分も立っていられません。早々に車に帰り暖を取りました。

七草を 摘んで歩いた 里の道

In Japan there are customs to eat rice porridge containing seven kinds of herbs on the 7th of January. Contrary to the New Year ‘s luxurious meal, it is a plain diet. We hope that we can do great this year.

道を歩いていると、小さな食堂の前に『七草粥』と書いたスタンド看板が立っている。そう言えば今日は1月7日の七草の日だと思い起こし、ふっとお店に入った。

5つほどのテーブルが並んでいて、子供二人の家族連れと若い女性が二人が先客だ。午後3時前だから、昼食の時間でもない。

最近は朝晩の二食にしているので、こんな時間に食事をとったことはないが、お店に入った途端、セリの香りが匂ってきて、お腹がグッと鳴った。気付かれてはいないだろうが、ちょっと恥ずかしい思いだ。

七草粥といえば思い出すのは、お正月が過ぎた頃、よく母や叔母と近くの河川敷に出かけたことだ。

セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、はたして全部採ったのか、ともかく籠をいっぱいにしたことを覚えている。スズナは小カブラ、スズシロは幼大根だから、これは多分近所のお百姓から頂いたんだろう。セリは水際にあり、匂いも強いから子供の僕にもよく見分けが付くので取りやすく、上手、上手の言葉におだてられ、得意げに採ったものだ。この香りが、今この店に誘い込んだに違いない。

それにしてもスズナ、スズシロ以外はほんとに野草なのに、よくもこんな組み合わせを考えたものだ。調べてみたら、体に大切な栄養分がたくさん含まれている。

お正月のお節とは正反対の実に質素な七草粥だが、味わい深い昼食になった。

百合見れば カサブランカの バーグマン

Casablanca lily, which I put in a vase, has bloomed a flower. Every time seeing this flower the movie “Casablanca” and Ingrid Bergman remind me.

食卓の上に挿しておいた百合のカサブランカが咲きました。純白の大輪の花を咲かせ、まさに「百合の女王」にふさわしい姿です。

原種は日本の鹿児島県トカラ列島口之島に自生していたタモトユリで、その美しさと甘い香りで乱獲され今は絶滅しましたが、その前にアメリカに持ち込まれ、それからオランダにわたり、品種改良されて「カサブランカ」と命名された由来があります。

カサブランカはもちろんアフリカのモロッコ王国の都市名で、「カサ」は白い、「ブランカ」は家という意味を持ち、大西洋の紺碧に浮かぶ白亜の家を連想させることから付けられた名前です。

この花を見るたびに、往年の名作映画『カサブランカ』を思い出します。

モロッコで酒場を営むアメリカ人リック(ハンフリー・ガボット)の元に、元恋人のイルザ(イングリッド・バーグマン)が夫の反ナチ活動家ラズロ(ポール・ヘンリード)を伴って現れ、リックがイルザにしばしば投げる”Here’s looking at you, kid”(君の瞳に乾杯)は名訳として今に語り継がれています。

小正月 待てずに菜の花 忙しやな

Canora flowers are blooming now as soon as the New Year is over. As the date passes quickly, I feel awfully rushed.

南伊豆では20度を超える気温になったそうです。

下田街道沿いにある菜の花畑には菜の花が咲き、訪れる観光客もびっくり顔。早咲きで有名な河津桜もちらほら咲き始めているというから、15日の小正月を待たずに、なんとまあ季節の移り変わりの早いこと。

北国秋田からの便りでは積雪2mを超え、屋根からの雪下ろしに汗だくというから、季節感がこんがらがっちゃっています。

今の時代はこうしていたるところから情報が届くので、昔なら自分を取り巻く環境でしか判断しなかった時代とは大違いです。

寒い冬が早く開けて、温かい春が来てほしいとは思うのですが、冬も中途半端に終わってほしくないという複雑な気持ちです。

まあここ関西は冬もまだこれからだから中途半端には終わらないでしょうが、なんとも気忙しい気はします。

自然もそうだし、食べ物もそう、何でもが季節感喪失の時代になってしまいました。

 

 

鳴き交わし ステップ合わせ 鶴の舞

A pair of Japanese cranes call out to each other and step on the step and dancing courtship dance.

ブラジルの友人が送ってくれた写真です。おそらく日本の写真を送ってくれたのでしょう。

日本の国鳥はキジですが、ツルといえば日本。中でもタンチョウヅルがその代表です。日本を代表する日本航空のロゴマークもタンチョウヅルをあしらった鶴丸です。

ツルの学名はGrus japonensis。『japonensis』は「日本産の」という意味だし、英名もJapanese crane「日本のツル」といいますからほぼ国鳥扱いです。

繁殖地はロシア、中国国境のアムール川周辺で、中国の江蘇省、朝鮮半島で越冬しますが、日本の釧路湿原には留鳥として一年中生息しています。

日本のツルとしては、山口県周南市や鹿児島県出水市に冬鳥として渡来するナベヅルやマナヅルなどもいますが、これらは渡り鳥で、姿形からしてもタンチョウヅルには叶いません。

鳥類の中でも最大級の大きさで、両翼に広げた羽の長さは2.5m、重さも10kg近くあります。しかし、細くて長い脚。頭頂部の赤い帽子。真っ白な体の中にところどころ真っ黒な羽。その均整の取れた美しさは鳥類の中でも秀逸です。

つがいでほぼ一生連れ添い、甲高いツルの一声を掛け合い、気が向けば寄り添ってダンスし、人も羨む夫婦仲です。

鶴は千年亀万年といいますが、タンチョウヅルの寿命はほぼ2,30年、鳥類の中では特別長生きです。

何から何まで、タンチョウヅルの美しさと気高さは、富士山と並ぶ日本の代表的、象徴的存在です。

初春に モルゲンロートの 槍ヶ岳

It is Mt. Yari which stands out in the morning glow being viewed from Mt.Tsubakuro. We call this view Morgenrot by the mountain word. The etymology is German.

懐かしい光景です。

昨夜NHKで放映された『北アルプスドローン大縦走』から取った写真です。モルゲンロートとは山岳用語で朝焼けのことです。ドイツ語です。

燕岳から見た槍ヶ岳、大キレット、前穂高岳から奥穂高岳。

若き日、大胆にも一人で縦走しました。

手の届く所にある槍の穂先に立つまでの怖さ。大キレット手前の南岳で遭難しかけた時の怖さ。というのも、昔の地図はいい加減で、南岳小屋が山頂の反対側に描かれていて、いくら探しても見つからず、元の槍ヶ岳山荘に帰るには時刻も遅く、頂上に立って声を限りに「ヤッホー」を叫び続けたところ、濃霧の向こうからカンテラの明かりが見えたのですが、ああ幻覚だ、もうダメだ、と死を覚悟したのですが、実は本物で、九死に一生を得たわけです。

大キレットの縦走は、今思い出しても震えが来るほどの怖さでした。『飛騨泣き』とか『何とか泣き』とか、危険箇所に付けられた名前ですが、そんなのが何箇所あったでしょうか。やっと大キレットを通過して前穂高岳の小屋で一杯50円の片栗粉を混ぜたような『カルピス』のなんと美味かったことか。

奥穂高岳の山頂に立った時の達成感。

うーん、もう一度行きたいけれど。

若き日を思い出すテレビ鑑賞で今年のお正月は閉じました。

お正月 ブーゲンビリアが 狂い咲き

Bougainvillea was blooming in the garden of one house on the way to going to a New Year’s visit. It is surprising that tropical flowers bloom in this cold season.

びっくりです。

初詣での道すがら、一軒の庭先に咲く赤い花に目が留まりました。近付いて見るとブーゲンビリアです。気温は5度。ブーゲンビリアといえば、ハワイや沖縄を連想するのですが、よくもこんなに寒い季節に咲くもんだとびっくりしました。

やはり気候変動によるものか、ブーゲンビリアがもともとこんな季節にも咲くものなのか、はたまた品集改良で四季咲になったブーゲンビリアなのか、よくわかりませんが、ともかくびっくりです。

最近は初詣も遠くに行きません。名の通ったお寺や神社は人でいっぱいです。車で行くのでまず駐車するのが大変。何時間も待たねばならないことがしばしばです。

それに引き換え、近場の初詣には地元なりの良さがあります。歩いて行けるのもいいし、すれ違う人にも近親感を覚えます。お正月の衣装を着飾った人もいれば普段着のままお参りする人も多い。絵馬やお守りもお値段が安い。かえってお賽銭もはずみたくなります。

お正月三が日もあっという間です。さてさて今年の運勢はどうなのか。お御籤は小吉です。

茜さす 初日に浮かぶ 羊蹄山

Mt. Yotei is floating in the sea of clouds against the sky stained in red in the morning glow.

元旦早々、朝焼けで茜色に染まった空をバックに青雲の雲海に浮かぶ富士山の写真が送られてきた。折り返しお礼の返事を送ったら、富士山ではなく北海道の支笏洞爺国立公園にそびえる羊蹄山とのこと。どう見ても富士山だ。

そういえば日本各地に何々富士という郷土富士というかご当地富士がたくさんある。三省堂の『日本山名事典』によると、218の郷土富士があるそうだ。しかしもっとあるそうで、マニアが各地から情報を収集してみたら320を超えたという。

ウィキペディアを開けたら、あるわあるわ郷土富士の写真がいっぱいだ。中でも鹿児島の開聞岳、それに今日の羊蹄山はもっとも富士山に似ている。間違えたのも無理はないと納得。

日本の真ん中に本家本元の富士がどんと座り、日本人全体の心の拠り所になり、各地方には親しみのこもった何々富士が鎮座して地域の人たちの心の拠り所になっている。

そういえばなぜ富士という名が生まれたのか。

記録で最初に出てくるのは、奈良時代の『常陸国風土記』の「不慈」で、それから万葉集の「不尽」とか「不二」。また長い山の斜面を表す大和言葉「フジ」から来たという説もある。その他、アイヌ語の「フンチヌブリ」、朝鮮語の「プット」、マレー語の「プシ」などにも語源をたどれるという。

ひょんなことで富士山にちなむ話題を拾ってみたけれども、「なぜ」と思ったことをwebサイトをたどれば必ず回答が得られる。パソコンを、さらにスマホを片時も離せないわけだ。