干し柿を 吊したよ早う 甘くなあれ

There are two kinds of persimmons: sweet persimmons and astringent persimmons. Sweet persimmons can be eaten immediately, but bitter persimmons are not. If these are put on a string and dried for a while, they are about 1.5 times sweeter than sweet persimmons.

柿には甘柿と渋柿があります。甘柿はそのまま食べても甘いですが、渋柿は渋くて食べられません。渋柿には水に溶けるタンニンが含まれているからです。

渋抜きをするには、アルコールに浸すか、ドライアイスと一緒にポリ袋に入れるとてっとりばやくできます。そうか、写真のように皮をむいて干すかです。どれもタンニンが水に溶けなくなるので渋みを感じなくなります。

木から捥いだ渋柿を皮のまま1週間くらい置いておいても甘くなります。どろどろの羊羹のようになって、スプーンで食べるととても甘いです。

一般に渋柿は甘くなると甘柿よりうーんと甘くなり、糖度は1.5倍ほどに増加します。

昔は、柿は体を冷やすとか下痢をしやすいと言って敬遠されていましたが、今では、ビタミンCやその他栄養分豊かだということで、好んで食べられます。

アメリカなどでは柿といえば果物と思っていない人の方が多く、日本の柿は別の果物と思っているようです。

ご詠歌に 波音混じる 秋の風

Nariai-ji temple is the 28th temple in the Saigoku 33 Kannon Pilgrimage. It stands on the mountainside overlooking the “Amanohashidate” facing the Sea of Japan in northern Kyoto. A pilgrim is singing Goeika, Buddhist hymn, in the autumn breeze that carries the sound of the waves.

西国33カ所第28番札所成相寺(なりあいじ)は京都の北部、日本海に面した「天橋立」を見下ろす山の中腹に建つお寺です。709年創建ということですが、はっきりした寺歴はわかっていません。

海が荒れているときには波音が聞こえてきます。秋風の吹く中、一人の巡礼者が一心にお経を唱えています。長い五色幕が揺れ、お地蔵さんの横に建つ真っ赤な幟がはためいています。

深まっていく秋に、一抹の寂しさとともに心洗われるひと時です。

馥郁と 気品を留め 秋の薔薇

Slightly remaining roses keep the elegance while releasing the fragrance. They have no splendor like spring and wait only to scattered. It is the same as human fate. The only difference is that they can regenerate.

バラ園には数えるほどのバラが咲き残っています。どの花も美しく、気品のある芳香を放ちながら凛と咲いています。

春のバラ園の華々しさに比べ秋はしっとりと落ち着いた雰囲気があり、じっくりと鑑賞できます。香りも一つ一つ嗅ぎ分けることができます。

でも寂しさは隠すことができません。あと何日咲き残るでしょう。人の運命と重ね合わせるとなおさらです。

しかし、たった一つ違うのは、バラはまら来年再生できることです。

朝ぼらけ 微睡む富士に 羊雲

Mount Fuji at dawn is still sleepy and has a comfortable doze.  In the sky, sheep clouds are floating with shined by the morning sun.

朝日に輝く羊雲のもと、富士山がまだ眠そうに微睡んでいます。ぽかぽかと温ったかみが増していく春の微睡みと違い、冷たさが寝床にも伝わる秋の微睡みは起きるのにも勇気がいります。今日一日のことに思いを巡らしながら、寝床の温かさに至福のひと時を過ごします。この平穏がいつまででも続いて欲しい。この一年を振り返るにつけ、祈る気持ちで願います。

ランタナも アワダチソウと 打ち解けて

Lantana, which has continued to bloom throughout the summer, is beginning to bloom final fowers. Instead, Awadachiso began to bloom.  Now two flowers are in bloom together.

一夏咲き切ったランタナが最後の花を咲かせています。もうすぐ瑠璃色の実を付けて、やがて黒くなるころは晩秋です。

それに代わってアキニキリンソウが黄色い花を満開に咲かせています。これもランタナの実が黒くなるころには枯れて秋風に散っていきます。

木々の紅葉がいっそう深まり、あちらこちらから初雪の便りが届きます。

毎年毎年繰り返される風景ですが、こちらは年々変わります。だから同じ景色も変わります。

シオン見て 嘆きの丘に 想い馳せ

Zion flowers are blooming beautifully.  Every time I see this flower, it reminds me of the hill of Zion in Jerusalem, Israel. It’s just the same pronunciation, but it’s been in my mind for a long time.  Because the hill of Zion is the place where “hate” swirls most on the earth.

シオンの花がまた咲きました。毎年この花が咲き、この花を見るたびに思い出すのが、イスラエル・エルサレムにあるシオンの丘のことです。

花の名前とこのシオンとは単に発音が同じだけで、何の繋がりもないのでしょうが、いつも気にかかります。

2000年来、この地域は世界でもっとも「憎しみ」が渦巻く世界だからです。まさしく「憎しみ」の坩堝。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教という三つの宗教の聖地であることが原因です。三つの宗教とは言いましたが、それぞれの宗教にもいろいろな宗派が生まれ、単に三つの宗教とは言えないほどの対立が生まれ、2000年来戦争の絶え間がありません。

解きほぐしようがない意見の対立は今も世界の不安定要因の大きな原因にもなっています。

爆弾を体に巻いたいたいけない少年・少女達が自爆テロを起こし、無残に命を散らしていくニュースを見るたびに心が痛みます。

見るほどに 想いは廻る 里の秋

Japan’s hills and fields are completely in autumn. There was a place where rice harvesting was finished, and Kaki is ripe.  From now on, full-fledged autumn leaves will begin, and many people will go out in search of famous spots for autumn leaves. In this way, autumn is fun, but on the other hand, it is also a season for meditation.

台風19号で被害にあわれた方はお気の毒です。一刻も早い復旧と支援を政府に求めます。

関西は幸いにも一部の地域を除き、大した被害もなく済みました。台風一過、もう辺りはすっかり秋の装いです。稲の収穫も終え、柿の実は食べごろに熟しています。

言うている間に木々も色付き、本格的な紅葉シーズンが到来し、紅葉の名所には大勢の人々が繰り出します。この22日には新天皇の即位礼正殿の儀もあり、国中を挙げての秋になります。おそらく外国観光客も大勢来日し、国際色豊かなシーズンになるでしょう。

その一方、老齢化も一段と進み、紅葉狩りどころではない高齢者も沢山います。そんなことを思えば、この美しくめでたい季節も、いっそう裏腹な寂しさを感じざるを得ません。

だんじりの いなせ姿が 駆け抜けて

In the fall, autumn festivals are held throughout the country.  Among them, Danjiri is a brave and wonderful festival.  Many people wearing festival costumes drive around the city with one heart, towing Danjiri.

台風19号の接近で危ぶまれていただんじり祭りが、台風が少しそれ、曇り空の下、町中を駆け巡りました。

そろいの半纏に身を包み、子供も大人もこの日を待ちわびたかのように元気が弾けます。街角のコーナーをフルスピードで回転しながら駆け抜けるのが見せ所。場所によっては家の軒先を壊すこともありますし、だんじりが倒れて死人が出ることもあります。

それにもひるまず、だんじりの屋根に踊る大工方のいなせな姿が観衆の注目を集めます。

だんじりといえば岸和田、岸和田といえばだんじりと言われるほど全国的にも有名になり、最近では外国人の観光客の姿も多くなりました。

台風も どうか無事にと 今日の富士

A rare super typhoon No. 19 in recent years is about to land in the Tokai / Kanto area of Japan.If this landed, it is expected to cause major disasters in these areas.  I just pray that the disaster will be minimal.

超大型台風19号が今夜半には東海・関東方面に上陸する確率が高くなっています。最近のこうした自然のもたらす災害はまったく予想も立たないほどになっています。気象にしろ何にしろ、観測史上まれにみるといった事象が多すぎます。

50年程前までは秘境であったアフリカや南米、東南アジアといった地域もどんどん開発が進み、地球全体が工業地域といった風に変わってきています。これを発展ととらえていいのか、滅亡への道ととらえたらいいのか、地球人全員が真剣に考える時期に差し掛かっているのかもしれません。

さしあたり、今回の台風が最小限の被害で済むように祈るばかりです。

清流に 姿危うき 実むらさき

Murasakixikib hangs down with a lot of purple fruit between the rocks of the clear stream. Every time that the point touches the clear stream, the whole thing will shake. It seems to be just going to be swallowed by the clear stream.

清流が流れる岩間にムラサキシキブが紫色の実を付けて垂れ下がっています。その先端が時々清流に触れると実全体が揺れます。その危うい姿をみていると、自然と『源氏物語』に登場する様々な女性のことを思い浮かべます。これはまさにムラサキシキブという名に誘発された思いです。ムラサキシキブはもちろん紫式部、『源氏物語』の作者ですが、このムラサキシキブと紫式部や『源氏物語』とはなんら関係はありません。もともと紫色の実の塊という意味からついたムラサキキシミがいつの間にかムラサキシキブとなったということです。

ところで心配な台風21号がどうも東海から関東に上陸しそうな気配です。とてつもない台風だそうで、まだ15号の爪痕がたくさん残る千葉県のことを思うといたたまれない気持ちです。少しでも東にそれ、被害が最小限度にとどまることを祈ります。