キクイモを 見ると湧き出す インスリン

Flowers of Kikuimo have bloomed. They look just like chrysanthemum. The rhizomes contain ingredients effective for diabetes.

キクイモの花が咲きました。キク科の植物で花は菊そっくり。根茎はショウガのような芋ができるのでキクイモ(菊芋)となったんでしょう。

北米産の植物で江戸時代末期に日本に入ってきたというからもうかなり古い外来種です。当初は家畜の飼料として利用されていましたが、一部人の食用にも供されていましたが、戦時中には食糧に多く利用されたようです。そのうち糖尿病に効くことが知られるようになり、民間療法にも使われるようになりました。
糖尿病は、日本では戦後の食生活が欧米化によって急速に増え、今では1000万人を越える患者がいます。世界に至ってはその数は4億人を越え、20年後には7億人を越えるだろうと予測されるほどの勢いで増え続けていて、11月14日を世界糖尿病デーとして、糖尿病に対して注意を喚起しているほどです。
膵臓で作られたインスリンによって血液中の糖分が調整されていますが、糖分を取り過ぎたり、インスリンの量が少なかったりすると血糖量が増え、生活基礎エネルギーを超える糖分は脂肪に変えられて体内に保存されます。それが肥満の原因になり、内臓脂肪の原因になって、様々な病気を引き起こします。
キクイモにはイヌリンという物質が多く含まれていて、血液中の糖分を減らし、インスリンを補助する働きがあるため糖尿病には有効ということになるわけです。まだまだ認知度は少ないですが、今注目されている健康食品の一つです。

秋霖に やっと生き生き タマスダレ

Tamasudare, which had lost its energy due to the summer remaining heat, was completely rejuvenated by the autumn rain.

急にまた一段と涼しくなりました。道端に咲くタマスダレが昨夜の雨にも打たれ、すっかり元気になっています。このタマスダレも彼岸花と同じ仲間で、鱗茎にはアルカロイド系の成分があって有毒です。白い小さな花を「玉」、葉が集まっている様子が「簾」ということで、タマスダレ(玉簾)になったとか。

今日はまったくの秋晴れで、からっとしていて申し分ないお天気ですが、嵐の前の静けさ、またまた大型台風が日本を直撃しそうな気配です。

この超大型台風19号は、発生時の975hPaから3日か4日で915hPaに急成長した台風で、これは極めて稀だそうです。日本上陸時には少し衰えても950hPaくらいで上陸する恐れがあり、過去の台風のなかでもトップクラスの勢力ということ。

まだまだ青テントが目立つ千葉県の近くを通れば、被害甚大、先の15号どころではないと予想されています。何とか日本上陸をせずに太平洋に抜けてほしいものです。

そのさだめ 知れば愛おし 女郎蜘蛛

A female silk spider is preparing a trap with a large net. The reason for eating its male and other insects is to lay eggs and increase offspring.  All living creatures including human beings have the same activities.  What is its purpose?

朝散歩の藪の中で朝日に輝く見事なクモの巣を見つけました。近付いてみると大きな雌の女郎蜘蛛です。女郎蜘蛛の巣の端っこにはよく小さな雄蜘蛛が居候しているのですが見当たりません。もう雌の餌食になってしまったんでしょう。

この時期は女郎蜘蛛たちの繁殖期で、脱皮したばかりの雌とか食事中の雌の周りにはよく小さな雄が交尾の機会を狙って待機しています。そんな機会でなければ直ちに雌に見つかり捕食されてしまう為です。

雄は命がけで交尾します。雄は一度交尾すると全精力を使い果たし、二度と交尾できません。交尾する前に雌に食べられてしまうか、交尾できた後も食べられてしまうか、生き残れる雄は僅かです。

これ全て、雌の卵の栄養分補給のためです。女郎蜘蛛だけではなく、多くの蜘蛛がそうだし、カマキリだってそうです。高等な動物になればなるほど、こういった残虐な繁殖行為はありませんが、人間だって、まったく別次元ではあっても、よく考えれば、結局は、雄は雌のために存在するのかもしれませんね。

そうまでして子孫を残す目的は何なんでしょう?

老いらくの 恋にも似たり 秋桜

The cherry blossoms that bloom in autumn have been around for a long time, but nowadays they are often seen.  Not as gorgeous as in spring, the flowers are sparse and bloom so as to snuggle up to each other.  It looks like lovers at the end of life.

昔から秋に咲く桜はありましたが、多くの人は見かけたことがなく、たまに見かけると桜の「狂い咲き」くらいにしか思っていませんでした。最近は、気候変動のせいもあるでしょうが、けっこうどこにでも見かけるようになりました。

もちろん春の桜のように他を圧倒するような豪華絢爛さはありませんが、まばらに寄り添うように咲く桜も風情があります。

夕日が沈むころ、急に気温も下がり、秋の訪れを肌で感じ始めると、いっそう情趣も深まり、人生の黄昏と最後の淡い恋心が蘇ってくるような気分に捕らわれます。

今年もと 図星見つけた アケビかな

There is my secret place where fruits of akebi bear every year.  As expected, the fruit has borne this year too. A sweet scent drifted from the opened fruit, and I got it and ate immediately.

いつも歩く山道を少しそれた所に、毎年決まってアケビができる所があります。今年もと山道を分け入ってみると、案の定アケビがたくさん実り、もうすでに弾けているもの、鳥が啄んだものがあります。あたりには甘い香りが漂い、まさに秋を実感します。

アケビの実は熟すととても甘く美味しいのですが、種だらけで、すぐに口中種でいっぱいになります。種が多いせいか店頭ではあまり見かけませんが、東北地歩では販売されているところもあるそうで、種からは油も取れることで注目されているそうです。

多くの山野草や木の実の例にもれず様々な薬効があり、漢方薬としても知られているそうです。

瑠璃色に 歴史偲んで ガラニチカ

Garanichika flowers bloom in the weeds. The amber color is vivid.  Amber is a pigment obtained by powdering semiprecious stones.  Imported from the Persian country of origin during the Nara period, it was used to color cups and bowls.

ガラニチカは詳しくはサルビア・ガルニチカ。メドーセージというハーブとしても知られています。

サルビアは今では500種もあると言われるほど品種は多く、公園などで普通に見かける赤いサルビアはサルビア・スプレンデンスという品種です。

ガラニチカは瑠璃色が鮮やかで、草むらや植え込みなどでもひときわ目立ちます。この瑠璃色を見るといつも東大寺宝物殿の瑠璃杯を思い出します。古代ペルシャで産出した半貴石のラピスラズリを輸入し、杯や碗の顔料として使い、鮮やかな瑠璃色を演出しました。スケールの大きさと飽くなき美の追求に驚かされます。

そういえば、サルビア自身も原産地はブラジルで、かなり昔に広がったそうですから同じです。サルビアの品種は花の形に共通性はありますが、その形も色もバラエティに富んでいて興味が付きません。

虫達が 花見に繰り出す サクラタデ

Tade flowers are in full bloom in the waterside area.  Although it is a small flower of 3-4mm in diameter, it looks just like a cherry blossom.  It is the same kind of seed that comes out in a saying, “There’s no accounting for taste.”, but there are many small insects.

水辺にサクラタデの一群が花をいっぱいに付けています。直径3~4mm位の小さな花です。しかし拡大すると桜の花にそっくり。いや、もしかしたら桜の花より美しいかもしれません。まさに「蓼食う虫も好き好き」で、虜になる花です。

「蓼食う虫も好き好き」と言ったら、あまりいい意味では使われなく、よくもあんな女になんて、なんて物好きな奴だくらいにしか使われません。

しかし、このタデ、たいていの皆さんはお寿司屋さんや小料理屋さんでお目にかかっているはずです。お造りに添えてある、赤紫掛かった小さな芽のような葉っぱの添え物で、口にされない方も多いようです。これは赤タデで、すこし苦みがあり、薬効成分たっぷりの葉っぱなんです。この苦みが「蓼食う虫・・・」になったんですね。九州朝倉市が一大産地で、けっこう高値で取引されているそうですよ。アユの塩焼きには欠かせないものです。

サクラタデは食用にはしませんが、噛むとほろ苦く、タデの仲間と分かります。小さくて、つい通り過ごしてしまうような野草ですが、実に綺麗な花です。

彼岸去り お色直しは 韮の花

The cluster amaryllis is still blooming in some places, but it is almost hidden. Instead, Nira white flowers are blooming on the path of the rice field. It looks as if the bride is changing dressing. It wonders who planted them.

まだ彼岸花が所々に咲いていますが、萎れた花も目立ち、哀れさを感じます。

同じ田んぼの畦道を辿っていますと、白いニラの花が一群れ咲いています。彼岸花のような艶やかさはなく、小ぶりで目立たない花ですが、その白さは際立っています。

ニラと言えばニラ炒め、ニラ粥、ニラ餃子、数え上げたら切りがないほど使われている食材です。また医食同源を地で行く食材で、栄養価が高く、スタミナが付く食材として、もう3000年も昔から栽培されています。

日本でも地方地方で呼び名があり、その数は何十もあるといいましから、生活と密着した食材であったわけです。

白い可憐なニラの花を見ていると、そんな歴史や人との関わりとは無関係で、ただ美しいだけですが、その秘めたる力を知るとすがりたくもなります。

パンパス草 激しいタンゴを 風に舞い

Pampas grass is very similar to Susuki, so it is sometimes called Oosusuki or Obakesusuki. But they are different varieties. The place of origin is grassland (Pampas) in the South American continent such as Brazil, Argentina, Chile.  The name comes from this Pampas.  By the way, in Japan it is also called Shiroganeyoshi.

日本ではオオススキとかオバケススキと呼ばれていますが、正式名はパンパスススキです。 原産地がブラジル、アルゼンチン、チリなどの南アメリカ大陸の草原(パンパス)なので、これが名前に由来です。ちなみに、日本のススキはシロガネヨシとも呼ばれ、パンパスススキとは別品種です。

最近は公園や街路の植え込みなどにも時々見かけるようになりました。大きさは違いますが、見かけはススキによく似ているのでオオススキとかオバケススキというようになったのでしょう。

写真は高原に靡くパンパスススキですが、パンパスといえばアルゼンチン、アルゼンチンといえばタンゴですが、高原の風に揺れるパンパスススキは、「カミニート」の激しい踊りを彷彿とさせるものがあります。

残照に 金波銀波の 花すすき

The “Ikuishi Plateau” that stretches between the borders of Aritagawa Town and Kimino Town in Wakayama Prefecture is one of the most famous spots in Susuki.  Every autumn, the plateau is covered with a surface of a Japanese pampas grass, and when the sun sets, the photogenic golden pampas grass is a highlight.

和歌山県の有田川町と紀美野町との境界に広がる「生石(いくいし)高原」は、関西随一といわれるススキの名所です。

毎年秋になると高原は一面のススキに覆われ、大勢の行楽客やカメラマンで賑わいます。とくに夕日を受けてフォトジェニックな金色、銀色に染まるススキの大海原は圧巻です。

夜ともなれば、澄んだ秋の夜空に煌めく星々は、遥か眼下に輝く有田の街の明かりと相まって、時空を超えた幻想の世界を演出します。