真田 泰昌 について

長年予備校の教師をやってきました。パソコンとの付き合いは古く,1号機からの付き合いで、プログラムもすべて自前でした。日本語もカタカナがやっとという時代でしたから,今はもう浦島太郎もびっくりです。

そばかすが なんとも愛らし クルマユリ

Car Lily is characterized in that the spots are less noticeable than Oni Lily. Both flowers are adorable as well as girls with freckles on their faces are cute.

オニユリに似ていますが、これはクルマユリです。名の由来は葉を車に見立てたことかららしいです。

オニユリは斑点がもっと大きくはっきりしています。似た百合にコオニユリという百合もありますが、この三つのユリはよく似ていて見分けが難しいです。オニユリには「むかご」といって葉の付け根に丸い実のようなものが付いているのが特徴でこれで見分けます。

いずれにしろ、クルマユリもコオニユリも元はオニユリから派生したに違いありません。

オニユリはヤマユリやササユリと同じ日本の固有種で、世界には100種余りの百合がありますが、日本の百合は中でも特に美しいそうで、シーボルトをはじめ日本にやってきた多くの外国人が祖国に持ち帰り、品種改良を加えたものが逆輸入され今に伝えられている百合が多いそうです。

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」と言われるようにきりりとした立ち姿は東洋の花の代表で、西洋の薔薇と人気を二分すると言われています。

梅雨に泣く 枝垂れ柳と 商家町

The old merchant town in Kurashiki is a rainy season and people are sparse. The weeping willow standing along the hydrophobicity is lush but somehow not energetic. Perhaps they must be sympathetic to the merchant.

今日は関西では晴れ間も見えるほどのお天気です。九州地方では大変危険な状態だそうでお気の毒です。梅雨も始まったばかり、まだ1カ月ほど続くことを思えば、どんな災害が待ち受けていることやら。

写真は岡山県倉敷の旧商家町ですが、色付いた枝垂れ柳も梅雨の雨は有り難いが、向かいの人通りを見て心配そうにも見えます。

山開き、海開きも終え、観光地も訪れる人に期待を膨らませているでしょうが、こう災害が続くと足も遠のいてしまいます。

どうかお天道様、これ以上のお灸はご勘弁をとお願いするしかありません。

 

あら可愛い 名は知っていたよ 枸杞(くこ)の花

I knew the name of Kuko, wolfberry, but it is the first time to see the flowers.  It is a plant that has been used for a long time, such as Kuko fruit, Kuko liquor, Kuko tea and so on.  It is a representative herb that has been described in the oldest Chinese herbal medicine book.

小さい時から枸杞(くこ)の名前はよく聞かされていました。

石切神社の前に「阪本漢方」という漢方薬局があって、幟にこの「枸杞」という字が書いてあって、難しい字だなと思ったことを思い出しました。大叔母がここで枸杞の実をたくさん買って帰り、お酒に漬け、よく飲んでいました。

調べてみたら、中国最古の薬草辞典にものっているほどの代表的な薬草で、日本にも早くから持ち込まれ、今でもよく利用されているようです。

ちなみに、「クコの実」と検索してみたら、出てくるは、出てくるは、表題は「脂肪の蓄積を防ぐスーパーフード『クコの実』」に始まって、ベタイン、β‐シトステロール、ビタミンB1、B2、リノレン酸にポリフェノール、カルシューム、鉄、りん、などなど、今流行りのサプリメントにでてくるあらゆる栄養成分のオンパレード。何でもかんでも分析の時代だし、それが体にどう効くのかはお構いなしの和洋折衷の用語にはもう辟易するくらいです。滋養強壮にいいですよ、くらいで十分です。

枸杞の「枸」はとげのある植物、「杞」は柳のようにしなやか、ということからついた名で、まさにその通りのしなやかで楚々とした花です。

」という

貴方だけ そっと教える 石斛(せっこく) 蘭

Sekkoku is a wild orchid. Although it has almost disappeared at one time because of overfishing plant, the protection activities have become active recently and are gradually increasing. Beautiful wild flowers should only be seen.

石斛(セッコク)は野性蘭の一種です。岩や大木に着生する着生植物で、日本の中部以南ではよく見かけましたが、あまりの美しさに乱獲がたたり、一時絶滅に瀕しました。

最近は保護活動が盛んになり、徐々に増えつつありますが、まだまだ昔みたいではありません。写真のような花が知れたら瞬く間に無くなる恐れがあります。だから秘密です。

セッコクはセキコクとも呼ばれ、正式には学名を取ってデンドロビュームと呼ばれていますが、英名でも和名のままのSekkokuとかJapanese dendrobiumと呼ばれるほど、日本のセッコクは美しい花です。原産は中国で古くから滋養強壮の薬草として使われていたようです。

美しい花はつい摘みたくなりますが、特に野生種は摘んで帰ってもすぐに萎れてしまいます。野生のままで見るのがいちばんです。

浜香(ハマゴウ)の 香りものせて 梅雨の浜

Hamago flowers are blooming on the shore of the rainy season. The sweet smell resembling eucalyptus sometimes is coming wafting from there.  Only the sound of waves can be heard on a beach where no one is.

梅雨の晴れ間をぬって近くの海岸を散歩していると、甘い微かな香りが漂ってきました。よく見るとハマゴウがひとかたまりになっていて、ぽつりぽつりと花を咲かせています。ユーカリの匂いに似ているそうです。

海辺に咲く花はなかなか園芸用にはし難いのであまり知られていませんが、美しい花が結構多い。厳しい環境の中で育つので、強くて逞しい。

帰ってテレビを付けたらトランプ大統領と北朝鮮の金委員長が電撃会見したというニュースで持ち切りです。これを見ていると、先だってのおもちゃのような兵隊を並べての歓迎式典はもう時代遅れのような気がします。

大阪G20でも盛んにデジタル経済という言葉が使われていましたが、経済だけではありません。21世紀はまさにデジタル社会で、政治、経済、社会すべてがデジタル化された世紀です。

トランプ大統領と金委員長の電撃会見もそうしたデジタル社会の産物です。

浜辺に咲くハマゴウと21世紀社会。変わらぬものと変わりゆくもの。皆が夢か現か幻かの世界に生きているような気がしてきました。

 

尾瀬沼に 夢が走るや タムラソウ

Tamuraso is blooming beside the agricultural road where the rice planting is over. I remembered that the same flower had bloomed in Oze, which I used to visit in the past, and I feel a lump in my throat with nostalgic feeling.

梅雨の晴れ間、買い物に行った帰り道。田植えの終わった農道わきにタムラソウを見つけました。

ふと思い出したのは、昔尾瀬に行ったとき、ニッコウキスゲやハナショウブなど沢山咲く花に混じって、露に濡れたアザミが印象に残りました。もう咲き切って少しだらし気な姿に同情すら覚えたものです。

後でわかったのですが、これがアザミではなくタムラソウだったのです。アザミはきりりとした印象しかありませんが、タムラソウは寝乱れたような姿です。アザミとよく似ています。

今日で6月もおしまい。明日からは7月ですが、尾瀬もこのあたりから賑わい始め、ニッコウキスゲが満開の中旬ごろには銀座顔負けの人出でにぎわいます。そしてまた暑い暑い夏がやって来ます。期待と不安が入り混じった複雑な気持ちです。

雪山に 昴(すばる)を映す 崑崙花(コンロンカ )

Green leaves, white calyxes, small yellow flowers blooming among them, all of them look like the sky reflected in a snowy mountain. The flower’s name is Kunlun flower. It is a mysterious flower.

花の名前はコンロンカ(崑崙花)。花言葉は「神秘」。

白く見える葉は葉ではなく、花を守る萼(がく)で黄色いのが花。紫陽花も見ているのはほとんどが萼で花は中心にちょこんとあるだけです。先日取り上げた半夏生の白い部分は葉です。

熱帯性植物で日本では野生化しにくく、室内で育てる観賞用植物です。

名前の由来も、崑崙が原産地という意味ではなく、中国の奥地、タクラマカン砂漠の南に位置する崑崙山脈の崑崙を取ったもので、遥か異郷の地の植物という意味合いを込めたものと思われます。

崑崙山脈は全長3000㎞、日本列島の長さに匹敵し、月の直径が3500㎞ですから、いかに長大な山脈かが分かるわけです。標高も6000mを超える山々が連なっているわけですから、山頂は雪で白く、シルクロードを通って交易する商人にとっては神秘の山。

コンロンカの白い葉(萼)はその雪を連想させ、黄色い花はまさしく夜空に煌めく星を連想させたのでしょう。なんとも雄大で、ロマンチックで、神秘的な意味を込めた花なんでしょうね。

栴檀(せんだん)に 悲喜こもごもの 物語

Sendan flower was blooming in the nearby herb garden.  It is a sober flower but it has an aroma and many butterflies are flying around.  In summer cicadas will flock and in autumn it will be crowded with starlings.

台風一過、一昨日(6月26日)梅雨入りしたばかりですが、日本近海で発生した台風3号が通過し、今日は爽やかな晴れ間が広がっています。

この梅雨入りも新記録で、今までは6月25日が最も遅かったそうです。なんだか今年も記録破りの気象が続いていますが、ついでに明日行われる陸上競技の100mでも新記録を出してほしいものです。

今日からはG20大阪サミットが開かれるので、大阪市内は超厳戒態勢、恐ろしくて近付けません。

なんでも、動員される警察官は3万人で、かかる費用は75億円、とてつもない費用です。これだけの費用に見合ったというか、これを遥かに上回る効果を出してほしいものです。世界経済、環境、平和、効果が出なければ、サミット連中は「でくの坊」の集まりで、そのどんちゃん騒ぎにしかすぎません。

しかし、G20サミットによる経済の波及効果が大阪で250億円、近畿では350億円というから、これもどういう試算なのか、その通りなら地元は潤うというものです。

さて、栴檀。「栴檀は双葉より芳し」は先日もご紹介したように、この「栴檀」は「白檀」のことで、「白檀」は香木。「栴檀」は花は芳香がありますが、木には「白檀」ほどの香気はありません。

「栴檀は双葉より芳し」は、若い人には英語の「Genius displays itself even in childhood.」の方がよくわかると思います。

「栴檀」は万葉集や枕草子では親しみを込めて歌われていますが、壇ノ浦の戦いで敗れた平宗盛、清宗親子の晒し首を掛けたのも「栴檀」でした。

白檀の 梅雨の晴れ間の 大舞台

This is a cactus “Byakudan”. The original Byakudan, sandalwood, is an aromatic tree. It is used for Buddhist statues and tools, but it is also used in the framework of folding fans. The name of the cactus was taken from this precious sandalwood.

サボテンにはその容貌には似合わず、美しい花を咲かせるものが沢山あります。この『白檀』はその中でも最も美しい花のひとつです。日向を好まず、普通は屋内で風通しの良いところに置かれていましが、写真のように日当たりの良い石垣に自然に生えている白檀も、特に田舎では時々見受けます。屋内のものよりこちらの方が何倍も美しく元気です。

一つ一つの花は咲くのはたったの二日。一夜の命です。いったん咲き始めると次から次と咲き続けるので、見た目にはその儚さが分かりません。

本来の『白檀』はインド原産の香木で、その香の良さから仏像や仏具によく使われる貴重な木です。南米その他熱帯地方にもありますが、インド産のものが最も香りがよく、乱伐がたたって今では絶滅品種です。日本でも扇子の骨組みでおなじみですが、とても高価です。

サボテンの『白檀』はその高貴な木に因んで日本人が付けたのでしょう。中国では『白檀』は『栴檀(せんだん)』と言いますからね。

「栴檀は双葉より芳し」という諺が有りますが、この『栴檀』も実は『白檀』のことで、何が何だかまた頭がこんがらがっちゃいますね。ごめんなさい。

半夏生(ハンゲショウ) 回転寿司で 蛸を喰い

Eleven days after the day of the summer solstice is called the Hangesho day. Depending on the region, farmers have been in the habit of taking a five day break from the day after the rice planting is over. During this period, the farmers ate the eels and ate the octopuses to restore their energies.

夏至から数えて11日後を『半夏生(はんげしょう)』と言います。

伝統的な年中行事を行う季節の節目となる日を節句といい、人日(じんじつ、1月7日、七草の節句)、上巳(じょうし、3月3日、桃の節句、雛祭り)、端午(たんご、5月5日、菖蒲の節句)、七夕(しちせき、7月7日、たなばた)、重陽(ちょうよう、9月9日、菊の節句)の5節句あります。

半夏生は「雑節」といって、5節句の合間にあって、主に農作業の節目にした日を言います。今年は6月22日が夏至でしたから、11日後は7月3日です。

田植えも一段落し、地方によってはこの日から5日間は休息の日とするところがあったり、様々な行事も行われます。大阪ではいつの頃からか、この日は蛸を食べるという習慣があったり、福井では鰻を食べる習慣があったり、これからまた暑い日を乗り切るために鋭気を養うといった意味があったのでしょう。

俳句の「半夏生」は植物の「ハンゲショウ」をかけたわけですが、写真のように葉の半分が白く、「半化粧」にかけて「ハンゲショウ」と呼ぶ様になったのでしょう。梅雨の頃には長くて白い花が咲きます。

「ハンゲショウ」、「半化粧」、「半夏生」、なんだか理屈っぽくなりましたが、日本語の面白さが表れています。