戦後70年

☆★☆ 植村眞久海軍大尉の遺言 ☆★☆

今年2015年は戦後70年の年になる。70年が切れの良い年なのかどうか、三四半世紀(75年)という区切りの言葉はあるから、2020年、つまり東京オリンピックの年はまさしく戦後75年、戦後三四半世紀ということになり、今年以上に切れの良い年ということになる。
それはそれとして、戦後70年になる今、国会では安全保障関連法案を巡って与野党の論戦が繰り広げられていて、テレビをはじめマスコミがこの問題を取り上げない日はない。70年という区切りが意識されていることは確かだ。
内外の情勢は、日本国憲法ができたころとはまるで違ってきている。
特に隣国中国の凄まじいほどの発展とそれに伴う国際的影響力は今や東洋だけでなく世界にとっても台風の眼になっている。
一昔前までは、冷戦という言葉が国際問題のキーワードになっていたように、アメリカとソ連の対立が世界政治の中心であったが、片方のソ連が崩壊しロシアになってからは冷戦という言葉自身も消えてしまった。
今はアメリカと中国が世界の大きな台風の目、二極になっている。中でも、中国の領土拡大主義は異様なほどである。東シナ海における我が国との尖閣諸島問題、南シナ海における周辺諸国とのスプラトリー(中国名・南沙)諸島問題。中国は秦の始皇帝以前から常に領土拡大政策は中国という領土を治めていくうえでの政治の要諦中の要諦で、そうしなければ内部崩壊を常にはらんでいる内政が立ち行かない。今だって、中国共産党という元や清とそう大して変わらない「王朝」は、いかに領土を束ねるかに腐心する伝統を引き継いでいるのである。そのための一つの手段が領土拡大政策で、内部の矛盾とそこから吹き出す内部崩壊のエネルギーというかベクトルを常に外向きに外向きに向かねばならない。全くはた迷惑な国なのである。
世界はそれだけではない。ISIS(イラク・シリア・イスラム国)という、エボラウイルスやMERSコロナウィルスと同じように、これまでには経験したことのないような「拗ねた集団」が世界を揺るがし、ソマリア沖には巨大な海賊集団が出没し、ホルムズ海峡はいつ何時封鎖されるかわからない、ざっと上げただけでも、いま世界は再び第二次世界大戦前夜と同じような状況に遭遇しているのである。
日本国憲法は確かにすばらしい。できたらこの憲法を堅持して国際社会に堂々と乗り出していきたい。
理想と現実は人ひとりにとってもなかなか折り合わないことが多いように、複数の人との付き合い、商取引、ましてや世界の国々との付き合いとなれば、折り合わないことを前提にして事に当たらなければ、国そのものの存亡にもかかわってくる。
生きていく為には戦わなければならないのは、人も国も同じだ。
国会での安全保障関連法案を巡っての論戦を見ていても、やはり平和ボケの症状は深刻だ。1936年に国のとぼけた政治家に業を煮やした青年将校たちが起こした2・26事件のようなことは起こらないだろうが、起こってもおかしくない状況は同じだということに気づいていない国会議員が多すぎる。
この時期、いつも思い出すのが、高校時代に読んだ「きけわだつみの声」の声である。強烈に印象に残った。
youTubeで知った上の「植村眞久海軍大尉の遺言」が「きけわだつみの声」にあったかどうか定かではないが、特攻隊崩れの鶴田浩二が読み上げる遺書には、何度聞いても涙が込み上げてくる。
どうか日本が再びこういう惨禍に見舞われることのないように安全保障関連問題も、もっと根本的には、日本国憲法そのものをもっともっと真剣に、国民の一人一人が考えてほしい。

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