In the autumn breeze blows, the pilgrimage is intently reading a sutra. I feel tense in the solemn atmosphere of the autumn.
西国三十三箇所第二十八番成相寺。
御詠歌「波の音 松のひびきも 成相の 風ふきわたす 天橋立」
西国札所最北端にある成相寺は、眼下に日本三景の一つ「天橋立」を見下ろす鼓ヶ岳(標高384m)の中腹にあります。
春から秋にかけては四季折々が風景が広がる絶景の地ですが、冬は雪深く、日本海の荒波が逆巻く日を目にすることの多い過酷な地でもあります。札所一番の那智勝浦にある青岸渡寺とは全く対照的なお寺です。
最近は一種のブームになっていて、四国八十八箇所とともに巡礼する人たち、それも歩き遍路の多いこと、若い遍路の多いことに驚きます。
社会が複雑になり、そこに居た堪れなくなった人が多くなったこともあるでしょうし、やはり社会が豊かになったことも大いに関係があると思います。
昔なら、例えそこに居た堪れなくなったとしてもじっと我慢をするしかありません。よほどの信仰心でもなければ、四十日、五十日を旅するにはやはりそれだけの経済的裏付けがなければできることではありません。そういう意味では、今の世の中は多少は豊かになり、自由のきく社会に成ったのでしょう。
人生八十年、長いのか短いのか。いずれは消えてゆく運命の儚さは誰しも共有することです。自由に、思い通りに生きたいと願うことも万人が願うことです。
吹雪の中、手甲に脚絆、藁箕を被って、ここ、成相寺を訪れる巡礼もいるとか、寺の住職に聞きました。