冠雪で 秋の装い 富士の嶺

The top of Mt. Fuji is completely covered with snow. Japan has been finally in autumn. Mt.Fuji seems to declare that.

友人から秋の便りが届きました。添えられた写真には冠雪した富士山が写っています。

日本列島は南北に長くおよそ3500km. 月の直径がおよそ3400kmですから、それと同じくらい長いから驚きですが、四季の変遷もそれだけに大きな時差があります。日本時間の基軸が明石市の東経135度線に置かれているように、日本の季節はやはり富士山を基本に考えても良さそうです。

日本といえば富士山。富士山といえば日本。日本人であれば誰しも認めることではないでしょうか。世界にも美しい山々は沢山あります。しかし、我が富士山ほど端正で均整が取れ、無駄のない美しさをたたえた山は見当たりません。

無駄のない美しさ。絵画にも、建物にも、我々の日常生活にもそれは反映していて、ひいては日本人の心そのものが富士山のような美しさを求めています。

今多くの外国人が日本にやってきていますが、おそらくこれまでは、ユーラシア大陸の東のはて、その向こうははてしのない太平洋というところ、まさしく極東に位置する幻の国、非文明の国であったわけです。

金がふんだんに産出し、不老長寿の薬草はあるけれども、世界でも全くの文明に閉ざされた国とイメージされてきたでしょうが、来てみたらびっくり。花を愛し、自然を敬い、絵画といい、建物といい、人は心豊かで優しく、ことごとくが自分たちの国よりよっぽどの文明国であったことを知り、驚いているに違いありません。

富士山を見るたびに、ついこんな事を連想してしまいます。

前回の東京オリンピックは、第二次世界大戦の惨劇からいち早く世界GDP第2位に躍り出た奇跡の国、日本に関心が集まったでしょうが、2020年のオリンピックには、富士山に象徴される日本の文化文明の本質をいっそう知ってもらう機会になるでしょうし、そうしたいものです。