真田 泰昌 について

長年予備校の教師をやってきました。パソコンとの付き合いは古く,1号機からの付き合いで、プログラムもすべて自前でした。日本語もカタカナがやっとという時代でしたから,今はもう浦島太郎もびっくりです。

終戦に 思いは巡る ブーゲンビリア

Bougainvillea flowers are now blooming throughout Japan.  Every time we see this flower, we can’t help but remember the heroes scattered in the South Pacific. Please pray not to repeat this tragedy again.

超大型台風10号が接近しているというのに、外はカンカン照り。普段に比べて少し波が立っているのかなと思える海浜公園を歩いているとブーゲンビリアが目に留まりました。ハイビスカスやブーゲンビリアも身近に見られるようになりましたが、やはり熱帯の花という印象が強いです。

この花を見ると沖縄やハワイを思い起こすと同時に、明日は終戦記念日、つい戦争のことを思い出し、南太平洋に散った英霊のことを考えます。

ソロモン、ミッドウェー、ガダルカナル、南太平洋に浮かぶこうした島々で行われた海戦にどれほどの意味があったのか。最後には補給路も経たれ、ジャングルの奥深くで多くの兵隊が餓死しました。無謀としか言いようのない戦争であったわけです。

山本五十六が戦死したのはやはりこの南太平洋の小さな島、ブーゲンビル島。その島の名の由来を尋ねると、フランス人探検家ブーガンヴィルから命名されたとか。

そして今日の花、ブーゲンビリアも、このブーゲンヴィルがブラジルで見つけて命名したそうですから、ブーゲンビル島にブーゲンビリアが咲いているのかどうか、咲いていてほしいと思うし、この花を見るたびに毎年こんなことを思い出すわけです。

 

風鈴が 鳴る度訪ねる 仏達

In Japan, from today,August 13th, to 15th, there is the traditional event where we welcom the spirits of the ancestors and exchanged, saying Obon. We entertain them and ask for our future safety and prosperity.

今日8月13日はお盆始め。玄関で火打石を打ってご先祖様をお迎えします。仏壇の左右に提灯を立て、ご仏前には蓮の葉っぱに鬼灯(ほおずき)、苧殻(おがら、麻の茎を乾燥させたもの。迎え火、送り火に焚く)、落雁(関西では、「はくせんこ」といって、コメの子で作った干菓子)、その他スイカ、ブドウ、ナスビ、水菓子と季節のものをお供えします。

お盆のお飾りは仏教宗派によっても、また地方によっても様々で、民俗学的にもおもしろい伝統が残っています。しかし今は、特に都会生活者にはほとんど無縁な行事になっています。仏壇を置こうにもそのスペースはなく、車のスペースの方が大切で、普段の生活の中で宗教との関わりはせいぜいお墓参りや、お寺巡り、里帰りくらいにしかありません。

お仏前には毎日食膳をお供えし、お坊さんを迎えてお祈りし、15日になると、苧殻を焚いて仏さまをお送りします。仏前にお供えした品々を船形に積み、近くの川に行って流します。これとて今は、川を汚染するから禁止され、せいぜい灯篭流し程度が残っているくらいです。

子供たちにとっては、お供物のお裾分けが楽しみで、その日だけを待ち焦がれます。

関西では、15日には奈良の高円山の大文字送り火、16日には京都五山の送り火が有名で、これで今年のお盆は終わります。ただ、お盆の余韻として各地で盆踊りが開催され、夏の最期を彩ります。

風鈴が涼やかになり、線香の香りが漂い、線香花火が最後の花火を散らし、団扇を片手に男女が打ちとけあい、日本の夏はこうして更けていきます。

https://youtu.be/ghr0aKtDhM4

朝顔が やはり落ち着く 里の朝

Colorful flowers are blooming in the summer field.  Every flower is beautiful and fascinating.  However, the morning glory that bloomed in the garden is not only beautiful but also very relieved.

お盆を迎えいよいよ夏もピークを迎えようとしています。野に山にそして海や川は人が溢れています。街の車は少ないですが、一歩高速道に入るといたるところで渋滞。土曜日辺りから今日にかけてはお盆の里帰りで車もピークです。

ちょっと心配なのもまだ日本のはるか南にある台風10号の動きです。停滞していたためにやや勢力は衰えていますが、今日あたりから動き始め、日本に近づくほど海水温が高いのでエネルギを補給し、また勢力を盛り返します。暴風圏が大きい大型台風なので、お盆帰り辺りに長い時間をかけて日本列島を舐め尽くしそうです。今日も気温は高いですが、北の高気圧のせいで湿度が低く、それほど暑さも感じません。

朝咲いた朝顔がいっそうすがすがしさを感じさせます。夏も花がいっぱいで飽きませんが、朝顔を見るとなんだかホッとします。ロート状のあっさりした花に単純な赤や紺の彩りが安心感を与えるのでしょう。竹の柵に巻き付いているからなおさらです。日本ならではの一服の絵です。

アブラゼミやクマゼミに混じって遠くから時折ヒグラシの鳴き声も聞こえてきます。過ぎ行く夏。なんとなく寂しさもよぎります。

忍冬(スイカズラ ) 歌とダブって 悲しいよ

A golden honeysuckle is blooming as I am walking along the mountain path. I immediately remembered the song “Suikazura”.  This song that sang women’s loneliness and sadness is strongly connected with the image of flowers in my mind.

山道を歩いていると白い花と黄色い花が混ざったスイカズラが咲いていました。スイカズラの名の由来は「吸い葛」で、花を口にくわえると甘い蜜が出てきます。砂糖がなかった日本では甘味料にも使われたくらいですからかなり甘いわけです。

常緑の蔓性植物で、この常緑であることから「忍冬」(ニンドウ)の当て字ができました。忍冬は薬草としても昔からよく利用され、抗菌作用や解熱作用があり、忍冬茶としても利用されています。

また、花が春は白、そして夏になると黄色になることから「金銀花」とも呼ばれています。

「忍冬」は文字のイメージから、愛に耐え忍ぶ古風な女性になぞらえられ、歌にもなっていて、角川博や麻生詩織も歌っていますが、1985年に放映された連続ドラマ「しのぶ」の主題歌を歌った因幡晃の『忍冬(スイカズラ)』がよく知られていて今でも歌う人がいます。

https://youtu.be/h87h5MDFXZ0

 

波音は 浜撫子の 子守唄

The summer sun is shining mercilessly. In such situations Hamanadeshiko are blooming in the sand pool beside the beach rocky. The voices of people bathing in the sea can be heard from a distance, but the sounds of the waves are in the rhythm. They sound like a lullaby for Hamanadeshiko.

夏の太陽が容赦なく照り付ける中、浜辺の岩陰の砂溜まりにハマナデシコが平気に咲いています。遠くからは海水浴の人たちの声が聞こえてきますが、打ち寄せる波音だけが聞こえます。まるでハマナデシコの昼寝を助ける子守唄のようです。

ナデシコは世界に300種ほどあり、日本固有のものには普通に見かけるカワラナデシコやこのハマナデシコ、他にシナノナデシコ、ヒメハマナデシコなどがあります。

日本の女子サッカーチームがナデシコジャパンと名付けられたように、ナデシコはしばしば子供や女性にたとえられます。古くは枕草子や源氏物語にも登場し、源氏物語の『常夏』もナデシコです。

その可憐さから世界中で愛され、カーネーションの原種もナデシコです。特に日本では江戸時代には広く庶民の生活の中にも浸透し、様々な品種が生まれました。ナデシコと言えば必ずJapaneseと頭に付くくらい日本固有のものと思われているくらいです。

 

浦上の 堂にこだます 蝉の声

On August 9, 1945 at 11:02 am, the atomic bomb exploded over Nagasaki. And more than 70,000 precious lives have disappeared. Since then, the number has continued to increase, reaching over 180,000. Never forget the tragedy of Hiroshima and Nagasaki. Call on the world not to repeat this tragedy again.

1945年8月9日午前11時2分、長崎上空で人類史上2発目の原子爆弾がさく裂しました。死者数7万人余、その後も原爆による死者数は増え続け、今では18万人余に達しています。ヒロシマとナガサキの悲劇を忘れず、二度とこの惨劇を繰り返さないよう世界に訴え続けるのが私たちの義務だと思います。

沖縄の 海に捧げむ 鎮魂花

August is the most important month in a year for Japan. 6th is the Hiroshima atomic bomb day. 9th is the Nagasaki atomic bomb day. 15th is the end of the war. The number of Japanese victims of World War II is about 3 million and about 4 percent of the total population. Accidentally, the 12th to 15th also is a celebration day to face the dead that is the traditional Bon Festival in Japn.

8月は歴史的にも1年の中で最も重要な月です。6日の広島原爆の日、9日の長崎原爆の日そして15日の終戦記念日。まことに痛ましい記念日です。

今次大戦における日本人の犠牲者数はおよそ300万人。大戦前の総人口がおよそ7000万人でしたから、その割合は4.3%に当たります。その内、広島原爆による犠牲者は少なくとも14万人、長崎原爆による犠牲者は少なくとも7万人、沖縄地上戦における犠牲者数は少なくとも20万人と言われています。ちなみに東京空襲における犠牲者数は少なくとも9万人と言われています。沖縄地上戦の犠牲者数がいかに多いかが分かるわけです。

今、辺野古湾埋め立て問題で沖縄と政府が対立していますが、ますます深刻化する国際状況の中で沖縄の基地問題は複雑です。しかし、少なくとももっともっと沖縄の人達の言うことに耳を傾け、少しでも負担軽減と沖縄発展に力添えをすることは日本人全体の義務だと思います。

一方、8月は、青森のねぶた祭、秋田の竿灯まつり、岐阜県の郡上踊り、徳島の阿波踊り、高知のよさこい祭りをはじめ、花火大会は目白押し。そして中心にあるのが盂蘭盆。終戦記念日と盂蘭盆の終日が15日というのも、なんとも不思議な縁がします。

お盆まで 咲いておくれよ ハケオモト

The official name of this flower is Haemansus. In Japanese name, it is called red eyebrow brush omoto. It is called because it resembles the brush used by geisha to make eyebrows. It is very similar to Higanbana, the cluster amaryllis, that blooms in autumn.

正式名はハエマンサス。アフリカ原産で冬生育型をアルビフロムス、夏生育型をムルティフロルスと言います。

写真はムルティフロルスで日本のヒガンバナに似ていますが、それもそのはずどちらもヒガンバナ科の花です。現地では「血の花」と呼ばれていますが、日本ではセンコウハナビ(線香花火)とも呼ばれます。線香花火は下に花火を散らしますが、これはどちらかと言えば打ち上げ花火型でちょっとちぐはぐです。アメリカではアメリカンフットボールとも呼ばれるそうで丸い球形からそう呼ぶのでしょう。

日本ではもう一つ別名があって、アカマユハケオモト(赤眉刷毛万年青)といい、白い花が咲くアルビフロムスの和名がマユハケオモト(眉刷毛万年青)で、芸子が眉を整える刷毛によく似ていることから付いた名で、その赤いバージョンが写真のアカマユハケオモト(赤眉刷毛万年青)というわけです。頭がこんがらがえっちゃいますね。

普通は園芸種でこうして野生で見かけることは珍しいですが、初めから野生であったわけではなく、誰かが捨てたか植えて花を咲かせたんでしょうね。最近は国際化も進んだせいか、こうして園芸種とかペットとして持ち込まれたものが野生化するということがよくあります。良いのか悪いのか、難しい問題です。

ヒロシマの 御霊安かれ 白ダリア

On August 6, 1945, 8:15 am, the first atomic bomb was dropped in Hiroshima for the first time in history. By the end of the year, there were approximately 140,000 deaths. From this estimate, it is estimated that approximately 100,000 people died in an instant. We must never forget this day when the most stupid act took place in the human history.

1945年8月6日午前8時15分、人類史上初めての原子爆弾が広島に投下され、同年末までの犠牲者が14万人と推定されていますから、その半数としても少なくとも7万人は瞬時に亡くなったと推定されます。

日本の敗戦が確実視され、その敗戦処理を巡って国際社会が動く中、原爆投下の意味がいまだに問われています。

1922年に誕生したソビエト社会主義連邦共和国を中心とした共産主義国家の台頭と、アメリカを中心とした資本主義国家の戦後世界の力関係が反映したという意見もあれば、当時のアメリカ大統領トルーマンの個人的な資質に原因を求めるものなど、国家から個人まで様々な要因が絡んでの原爆投下ではありましたが、たった一個の兵器でこれほどまでの殺戮が行われた事実は厳然として残ります。

戦後74年、いまだに戦争は絶えませんが、原爆のような大量殺戮兵器が使われていないのはこの広島の惨禍が人類の脳裏に焼き付いているからに他ありません。しかし、この記憶もだんだん色褪せ、またいつ何時この原爆が使われないとも限りません。

広島の時は、世界でたった2発の原爆があっただけですが、いまは世界に何万発もの原爆が保有されています。

一人一人がヒロシマの記憶を忘れず、原爆の恐ろしさを世界に伝えていくことは大切です。

トラバース 怖さも忘れ 岩桔梗

One of the great pleasures of climbing is the appreciation of alpine plants. A sense of relief when encountering flowers blooming between rocks as it traverses a rocky area in fear, also drives mountain climbing again.

夏山の楽しさは、難行苦行の末頂に立った時の爽快感、達成感が何といっても一番です。途中では、もう二度と来るまい思うことが何度あるか。そんなことも忘れ、360度の景観に酔い痴れます。

そしてもう一つの楽しみは下界では見られない高山植物の花々です。途中、苦しかったり、恐怖に慄いて一歩の足を踏み出せないとき、ひょっと岩間の隙間に小さな花を見つけたら、苦しみも恐怖もありません。どうして写真を撮ろうか、考えることはそればかり。満足の1枚がとれたら至福の一瞬です。

言ってみれば夏の山歩きは高山植物が先導役です。花を追い、花のたもとで昼寝をし、山小屋で一日撮った花を見返し、そして眠りに就く。毎日毎日そうしていると、山を下りることができなくなります。いつも山を下りる時は、さあ下りなきゃと一大決心をしなければなりません。

これからお盆過ぎまでは山も登山ラッシュ。行く先々で可憐な花が待ち受けています。