夕餉待つ 野道に灯る 辛夷(こぶし)かな

Kobushi flower was blooming like a lantern on the way back home for dinner after playing enough. On watching Kobushi whose bud is bulging now, memory of childhood will revive.

2011年3月11日ちょどその時車に乗っていました。突然カーテレビとスマホから緊急警報がなり、津波警報も出ました。最初はどこのことかわからず、すぐに帰宅し、テレビを付けたら、高速道路に漁船がぶつかり、何台もの自動車が芋の子を洗うように混ぜ繰り返っています。想像を絶する光景にただ見入るばかりでした。

あれから8年。2,3日前からテレビでも様々な話題が取り上げられています。いまだに遺体探しをしていてたまたま2体の遺骨が見つかったこと、被災各地の復興の様子、アメリカに漂着した漁船を洗い清めて原地に戻されたことから始まった日米高校生の交流、悲しい思い出、心温まる話題、地震災害の大きさもさることながら、それを契機に目覚めた反省、自覚、絆、勇気、希望と計り知れない人間復興が一大遺産であり、財産だと気付かされます。

昨夕、ふと立ち寄った里山の脇に咲く真っ白な辛夷が、折からの夕日を受け、ほんのり紅に染まっている光景に、安らぎと安堵の気持ちが全身に広がり、遊び疲れて家路を急いだ子供時代のことが思い出されました。

冥土まで 持って行きたや 梅と富士

How beautiful is the combination between Mt.Fuji in the silver and plum blossoming! When I die, I want to burn this sight into my eyes and die.

最近日本の縄文時代が世界的にも注目されていて次々と驚くような論文が発表されています。

世界で最も古い文明は4大文明の地メソポタミヤのシューメール文明で、今から6,000年前だと言うのが定説でした。しかし、日本の縄文文化はそれを遡ること1万年、今から16,000年前に発祥し、10,000年前にはかなり高度な文明を築き上げていたのではないかと言うことが、いろんな年代測定法からも明らかになってきています。

更に面白いことに、このシュメール文化を担った人たちがいったいどこからやって来て、そんなにも急速に高度な文明をどうして築き上げたのか、いまだに謎だそうです。彼らの残したシュメール文字は解読も進んでいますが、それによると、彼らはおそらく海伝いに海と山に囲まれた地からやってきたと推測され、ジッグラトという巨大なピラミッドを築いて都市国家のようなものを作ったと言うことです。

ここから勝手な推測ですが、このシュメール人こそ古代縄文人たちの子孫で、ジッグラトは祖先の故郷の地に聳える富士山を模したのではないかということです。最近のDNA鑑定でも、日本人の多くのDNAは中近東の人たちのDNAに近いそうですから、このことからもシュメール人との関係は深いように思います。

さらにピラミッドは世界の古代文明の地では必ず作られていて、その最も有名なのがエジプトのピラミッドですが、これさえ日本の富士を模し大きく発展させたものではないかと推測するわけです。

話はどんどん発展しますが、富士山はこのように日本のシンボルだけに留まらず世界人類共通のシンボルのような気がします。

和泉野に 香り留めて 残り梅

The last plum flowers that conveyed spring are full in blooming. The fragrance spreads all around and stimulates to bloom to the cherry trees.

いよいよ梅も咲き切りました。それぞれの梅がそれぞれの芳香を放ち、混ぜ合わさった独特な香りが漂っています。もう1週間もすれば花は散り、剪定も始まります。

その香りが誘うかのように桜の蕾が膨らみ始めています。来週末には一つ二つと花も開き始め再来週には一斉に開花することでしょう。

卒園式、卒業式の便りも届いています。

病と戦いながら、やっとひとつ進級できたと喜びを伝える大学生からも便りが届き、こちらまで元気が出てきます。

春は自然もそうなら、人もそうで、悲喜こもごもが錯綜する季節です。毎年毎年同じように繰り返されてはいるんでしょうが、仔細は違います。

今日の日差しはもう確実に春です。じっとしていられなくなりました。

たんぽぽだ やっぱりいいね かわいいね

♭♭♭ さくら、さくら ♭♭♭

Dandelions on the grassland are blooming like sticking to the ground. I do not usually care much about it, but when I look closely it is a beautiful flower after all. Feeling the signs of spring, they are spreading to the full.

「灯台もと暗し」という言葉があります。答えや肝心なことは意外と身近にあってそれ故に気付きにくいという意味ですね。いろんな場面、いろんな意味で使われます。

明治維新の際、日本の近代化を急ぐあまり、西洋崇拝主義に陥って、日本の良きこと、良きものをないがしろにしたり、伝統ある家業には目が向かず家を出てしまったり、海外に行って初めて日本の良さを再認識したり、例を上げれば切りがありません。

しかし、これも大切なことで、遠くのこと、異文化、異質なものを知る機会にもなり、それが後々役立つ事もあれば、そうすることで、身近な物の価値、大切さを知る切っ掛けにもなります。

道を歩いていても、何の気なしにやり過ごす野の花もそうで、立ち止まって仔細に見れば、梅や桜にも負けない美しい姿が見られて、ひとしきり感心することしばしばです。

ところでこの「灯台もと暗し」ですが、岬に立つ灯台は遠くに光を送るので、その足元は暗いという意味にも取れますが、本当の意味は、「灯台」とは電灯がない頃の燭台、蝋燭であったり、石油ランプであったり、その「灯台」なんですね。その「下」は暗いので、「灯台下暗し」といい表して、それをいろんな例えに使ったわけです。

英語では、It’s hard to see what isunder your nose.「自分の鼻の下は見にくい」とって、「灯台下暗し」と同じような意味で使います。

山肌も 新芽が吹いて ふーんわり

♭♭♭ さくら、さくら ♭♭♭

New buds are beginning to sprout from the trees of the mountains. It causes to feel the mountain surface soft as if the mountains are covered with soft quilts.

あたりの山肌が羽毛布団でもかぶせたようにふーんわりとしてきました。木々の新芽が吹き出してきたんです。これからどんな模様が山肌に表れるのか楽しみです。桜が一面に咲くのか、新緑の中にポツンポツンと咲くのか。

しかしこうした光景は近年少なくなってきました。お金にはならない広葉樹林は次々伐採され、お金になる杉、檜が日本のいたるところで植栽されるようになってきたからです。

ところが思惑が外れ、安い外国産の杉、檜材が入ってくると、もう国産では太刀打ちできません。拡大造林された山々は放ったらかし状態です。今や国民病にもなっている花粉症の元凶です。国の農林政策の大きな誤りです。

白神山地が世界遺産になるほど広葉樹林帯は少なくなり、今や都会のど真ん中にもイノシシが現れたり、サルやシカが悪さをするのも、広葉樹林にできる餌が得られなくなったからです。

真の豊かさとは何か。21世紀の大きなテーマです。

 

冬知らず 夕日を追って 回れ右

Huyushirazu is the Japanese name of calendula. As its name suggests, cute flowers will continue to bloom during the middle of winter too. Every flower faces to the sunset now.

「冬知らず」はキク科キンセンカ属カレンデュラの和名です。名前の通り、真冬でも次から次に直径1cmくらいの可愛い花を咲かせ続きます。原産はヨーロッパの地中海沿岸地域だそうで、花期はは長く、6月から翌年の春にかけて咲く1年草です。

畑の片隅に捨てられたような場所で大振りに育ち、橙色をした花をいっぱい付けていました。どの花も夕日の方を向いていましたので、向日性の植物なんでしょう。

南房総や淡路島といった温暖な地では早くから栽培されていたそうですが、ここ大阪で初めて見ました。

いつも思うのですが、真冬にもどうしてこんな美しい花を咲かせるんでしょうね。花の役割は、昆虫を引き寄せて受粉し、種族を保つことなんでしょうが、その昆虫も少なく、こんなに寒くては本体を維持するだけでも大変なことでしょうしね。

しかし、この「冬知らず」に限らず、生物万般に言えることで、どんな逆境の地にも生きる生き物がいるということが不思議でなりません。

「逆境」と考えるのは人間の勝手で、彼らにとってはやはりそこが最適な地なんでしょうね。

折り雛に 思いを込めた 初節句

I sent a bouquet to my grandchild for her first festival. To that reply the picture of the bouquet and of Hina dolls folded with Chiyogami were sent to me.

このところいろいろな雛人形を取り上げてきましたが、千代紙で折られた雛人形の写真が届きました。なかなか風情があっていいものです。

小さい頃は、こんな気の利いた折り紙はなく、新聞紙を真四角切って、その折り紙で雛人形も折ったものです。

ちなみに、折り紙には2種類あって、洋紙で作られた折り紙を「折り紙」といい、和紙で作られた折り紙を「千代紙」というそうです。

折り紙は日本だけのものではなく、ヨーロッパなどでも独自に発達した折り紙があるそうですが、今では日本語の発音を移した「ORIGAMI」という呼称が海外でも一般化しています。

折り紙は芸術として複雑で優れた作品が数多く発表されていますが、折り紙の持つ幾何学的側面から、数学の一分野として研究もされ、構造力学として構造物の研究対象にもなっています。

日本独自の「千代紙」はその美しさが海外でもよく知られ、これを求めてわざわざ海外からやって来る人もいるほどです。

5寸(15cm)四方の真四角に込められた美しさはまさしく芸術品です。京千代紙、江戸千代紙、その歴史的背景を探るだけでも楽しいものがあります。

雛祭り 河津桜は 花絨毯

Cherry blossoms are not blooming yet in many parts of Japan during the time of Hinamatsuri. But the flowers of Izu ‘s Kawazu cherry tree are beginning to fall. The promenade seems to have laid a carpet with scattered cherry blossoms.

雛祭りも終わりました。3月12日に奈良東大寺二月堂のお水取りがあって、3月21日が春分の日、春のお彼岸の中日です。

いつもなら大体この1週間後位頃から全国の桜が咲き始めます。しかし、今年の桜前線は、関東方面で春分の頃、関西以西では25日頃、東北や新潟あたりだと4月のかかり。北海道になると4月下旬から5月にかけて。と予想されています。いよいよ本格的な春の始まりです。

しかし、静岡県の伊豆あたりに咲く河津桜は2月中旬頃には満開を迎え、昨日の雛祭りの日にはもう花も散り始め、遊歩道もまるで絨毯を敷いたような具合です。

こうしてみると日本も結構広いし、桜前線も必ずしも南から北へではないんですね。日本列島を縦断する山脈や、海流が様々な気象条件を作り出しているからなんでしょうね。

全国の桜を追っかけて一度は旅をしたいものだと前々から思っているんですが、全国の桜事情を見てみると1ヶ月以上かかることになるわけですから、これではとても無理です。

まあせいぜいこうして全国から届く桜情報を見てヴァーチャルリアリティで旅します。

 

娘(こ)は嫁ぎ 今年も飾る 雛祭り

♭♭♭ うれしいひなまつり♭♭♭

Daughters got married and left home, but he habitually decorated the dolls this year too. He has a pleasant expectation that his daughters may come home.

長年の習慣でこの時期になるとひな壇を飾ります。娘たちは皆嫁ぎ、家には老夫婦二人きり。ひょっとしたら娘たちが孫を連れて帰ってくるかもしれません。そんな淡い期待もないといえば嘘になります。

しかし、娘たちはそれどころではありません。この時期、孫たちにはいろいろな行事があり、故郷に帰る余裕もないはずです。

今や日本は完全に老人社会。65歳以上が4人に一人、2030年には3人に一人になるそうです。

核家族化もどんどん進み、息子や娘たちと同居する老齢者の割合もここ50年で半分以下になっているそうです。都会生活者では半分どころか、身近でもほとんど見当たりません。

年金制度も不十分とはいえ、昔に比べたら子供たちの世話にならなくても、なんとか食べるくらいにはなっているし、同居に伴う不都合よりも、好き勝手に生活できる自由は、子にとっても親にとってもお互いに気楽でいいという、意識の変化もあるでしょう。

雛祭りという伝統と現代社会の変化がはしなくも意識させられる日になりました。

お雛様 思い思いの 愛らしさ

♭♭♭ うれしいひなまつり♭♭♭

I found cute Hina dolls in a hundred yen shop. Hina dolls are all equal, just like everyone is equal.It does not matter whether the price is high or low. Cute things are cute, that’s all.

雛人形にも様々なものがあります。一式数十万円もする超豪華なお雛様や100円ショップにも並んでいるお雛様まで。お店で買わなくとも手作りの、それこそ折り紙のお雛様まで。小さい頃は、色折り紙もなく、新聞紙を真四角にして、それでお雛様を作りました。どれもみんなかわいいですね。

高価なものには高価なだけの丹精込めた美しさがあり、新聞紙で作った折り紙には心が込められています。

また飛躍しますが、これこそ日本伝統の平等感です。厳しくもこんなに美しい国土に恵まれ、四季折々の食べ物、お祭り、人が寄り合う国は日本だけです。

もちろん、だからといって日本が一番だとは思っていません。お雛様と同じで、様々な国にには様々な伝統と誇りがあります。

威張らず、さげすまず、これこそ、人と人が付き合う要諦であり、、国と国が付き合おう要諦でもあります。